海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「オバマの中国訪問」と題する『フィナンシャル・タイムズ・ドイツ語版』の記事

2009年11月18日 | 国際政治
バラク・オバマ大統領が4月にロンドンのG20で初めて他の世界の指導者たちと出会ったとき、化学については沢山議論された。殆ど同年齢のメドヴェージェフ・ロシア大統領との出会いが行われた和やかな雰囲気や、いささか取り澄まして、愛想のないメルケル連邦首相がアメリカに与えた謎についてもいろいろ論じられた。只一人の男だけが肯定的にせよ、否定的にせよ、感情の入り込む余地を与えなかった。中国の胡錦涛主席は、同じ表情で握手を繰り返し、どの写真でも同じ姿勢を取っていた。彼に対しては個人的な関係を築くことは困難だ。彼の国民もそう考えている。だが、彼と一緒に仕事をすることはできるし、しなければならない。このことを、オバマ政府の多くの人たちは確信している。
なぜならば、中国と米国とは、世界の運命が頼っている二本の柱だからだ。そのことは、グローバルな金融危機と経済危機とが明らかにした。イランと北朝鮮という危機の火種もこのことを明らかにした。米国政府にとっては、今こそ中国政府と実務的なテーマについて対話を始める時である。ジョージ・W・ブッシュ政府のポールソン財務長官が生命を吹き込んだ経済対話から、最高レベルにおける戦略や経済についての対話が生まれた。
互いに猜疑の目で見ている両国の軍人も、その間に、対話の回路を築いた。
実務的なレベルは、確かに技術官僚である胡錦涛の心に届く最善の通路である。世界観上の議論や政治体制の問題は、イデオロギーに関して自信を失った中国指導部にとっては、恐怖の対象である。中国が持っている実務的レベルでの協力をする用意を西側はしばしば、過小評価してきた。中国の権力者達は、自分たちの経済的成功によって自分たちを正当化しており、それゆえ、具体的な技術上の問題に取り込むことには、もっと関心を持っている。
このことを、他ならぬ、カリスマ的なオバマ大統領は、認識した。ここで攻勢に出ているのは、第一級の法律家であるオバマであって、その複雑なテーマへの細部にこだわった近づき方は、治水工学技術者である胡錦涛にとっては、それほど異質のものではない。オバマ政府は、中国政策を脱構築し、細部に分けた。それは、テーマを個別的に細分し、異なる路線に置いた。その際、違いは列車が交差せず、まして、衝突しないようにすることだ。(後略)
[訳者の感想]この論説の執筆者は、ザビーネ・ムスカットという女性です。米国政府がどうやって、中国と良い外交関係を築くのに苦心しているかを書いていると思います。
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