海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「人はどのようにして聖戦士になるか」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年10月08日 | テロリズム
フリッツとダニエルは、外国人ではなくて、ウルムとノイキルヒェン生まれの若者でありながら、ドイツ国内でテロを実行しようとした。こんなことがどうして起こるのか?ショイブレ内務相は、「ドイツで育った者は誰でも、このような過激化に対して本来免疫がなければならない」と言った。われわれドイツ人は、いくつかの点で良く知られているが、全体主義的イデオロギーに対する特別の免疫性は確かにその中には入っていない。その上、ドイツ人の聖戦士は、既に10年以上前から、聖戦の戦場にひしめいている。
 デトモルトと出身のシュテファン・スミュレクは、1997年にドイツ国内でレバノンのヒズボラにリクルートされ、ベイルートでテロの訓練を受け、テル・アビブ空港で逮捕された。デュースブルク出身のクリスチアン・ガンツァルスキーは、1999年に、妻と四人の子供と一緒に、アフガニスタンにあるアルカイダのキャンプに赴き、チュニジアのジェルバで大多数ドイツ人の観光客に対するテロ攻撃に巻き込まれた。ブラウボイレン出身のフランク・フィッシャーは、チェチェンで聖戦士として死んだ。ベルリン出身の改宗者ソニア・Bは、2006年春に、彼女の二歳の息子アブダラとともに、イラクで自殺攻撃に出撃した。ドイツ人の改宗者だけでなく、ベルギー人、フランス人、オランダ人、ルーマニア人、オーストラリア人、ジャマイカ人そして、アメリカ人もジハードのイデオロギーに対して免疫がない。
 アルカイダやヒズボラやその他のテロ集団は、馬鹿ではない。彼らは、改宗者を治安関係者の「プロファイリング」に対する手段としてわざと利用した。ここでは、数の上ではほんのわずかだが、危険なグループが問題なのだ。
 従来のように、個別の場合に、監視措置を講じなければならない。けれども、大雑把な容疑を扱う者は、「頭巾論争」の統合政策上の双方の損害のみを注意しなければならない。
 「頭巾の下には、過激主義者が隠れている」という考え方に従って、われわれは「すべての改宗者は、治安上のリスクだ」と考えることは止めなければならない。
 それでは、どうして、彼らは聖戦士になるのか?
 聖戦士の成績表を見ると厭になる。イスラム教徒からイスラム原理主義者に、更に、聖戦士へと変貌する者は、改宗者であろうとなかろうと、直ちに自分はエリートだと考えるある集団に属していることが分かる。そこでは、人は、兄弟あるいは姉妹として受け入れられる。聖戦士としては、人は自分よりももっと偉大な何かのために戦うのだ。人は、疑いを持たない人生を送り、唯一の真理しか知らず、誰が友で、誰が敵か分かっている。
イデオロギーに完全に服従することによって、聖戦士は、新たな生活を贈られるのである。
 彼は個人的には、ウイン・ウインの状況にある。つまり、二つのシナリオがある。イスラム教の聖戦士として、不信仰者に勝ち、その際、イラン革命のように、新しいカリフ国を作り出す。それとも、そこへの途上で死に、殉教者となる。そうすれば、彼にはアラーと72人の処女の隣に座ることが保証される。女性の聖戦士を天国では夢の男が待っている。殉教者はエゴイストではない。彼はその死によって、家族と友人のために、40の座席を確保することができる。(中略)
 誰が聖戦士になるのか?
 西欧の聖戦士のプロファイルを扱う研究は、まさに、統一的なプロファイルは存在しないという結論に達した。もっとも、大抵の聖戦士は、社会の中流階級の出身であり、教育も受け、客観的に見ると、多くを約束された未来の展望も持っている。聖戦士のかなり多くの両親は離婚していて、自分にはアイデンティティがないと感じている。家族に死者がおり、研究に問題がある。他の聖戦士は、中近東のモスレムの運命と連帯を感じ、イスラムが西欧によって脅かされていると感じている。しかし、これらすべては、説明の基礎としては不十分である。なぜならば、該当者の99%は、ジハードの中に救いを求めてはいないからである。
[訳者の感想]西欧文化圏出身のジハーディストがどうしてでてくるのか、本当の理由はまだ分かっていないようです。しかし、これを読むとなぜ、高等教育を受けた若者が「オーム教」の信者になって、サリン・テロをやったのかが少し分かるような気がします。
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