海外のニュースより

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「マグレブ発のテロは、ヨーロッパを脅かす」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年04月13日 | テロリズム
 ヨーロッパの治安関係者にとっての警戒信号は、今年1月26日に来た。アルジェリア過激派テロ組織「説教と戦闘のためのサラフィア・グループ」(GSPC)の実際の指揮官であるアブ・アブドル・ワダウドは、GSPCを「イスラム的マグレブのためのアルカイダ組織」に改名すると告知した。この声明は、GSPCがアルカイダの指導者オサマ・ビン・ラディンや彼の副官アイマン・ザワヒリと協定を結んだことを示唆していた。
 イスラエルの反テロ専門家達は、新しい改名がGSPCのアルカイダ戦略とイデオロギーへのコース変更を意味するだけでなく、マグレブ地域がバルカン半島、あるいは東南アジアにおける状況と似た聖戦地域への転換を意味すると考えた。なぜならば、「マグレブ」とは、北西アフリカのアルジェリア、リビヤ、モーリタニア、モロッコ、チュニジア、西サハラに及ぶ広大な地政学的地域を包括しているからである。
 名称変更は、新しい「GSPC」の意図を示している。世俗的なアルジェリア政府と戦って、倒すことを意味するだけではない。グローバルな聖戦日程の戦略に一致して、マグレブ地域アルカイダの幹部は、他の穏健なアラブ政府の転覆も目標にしている。
 「GSPC」は、1990年代にアルジェリアで荒れ狂った内戦において「武装イスラム軍」(GIA)という別のテロ集団から分裂して生まれた。1998年に元のGIAのエミルであったハッサン・ハタブは、GSPCを創設した。アルジェリアにおけるテロの元兇であった「イスラム救済戦線」とは違って、GIAとGSPCとはアルジェリア政府との和解を拒否した。彼らは、彼らの戦力を1979年から1989年まで続いたソビエトに対するアフガン戦争に従軍した人々から得た。当時、4,800人のアルジェリア人がソビエトの赤軍に対して闘った。戦闘経験で鍛えられ、軍事的ノウハウを手に入れて、彼らは、1990年代に彼らの故郷に帰ってきた。彼らはイスラ原理ム主義者とアルジェリア政府との内戦に火を注いだ。この内戦では、1万人が犠牲となった。GSPCの今日までの歴史は、多数の権力闘争とイデオロギー上の路線闘争によって形成された。
 穏健派のハッサン・ハタブが2003年にGSPCの指揮者を解任され、ナビル・シャラウイ、別名アブ・イブラヒム・ムスタファが新たなイスラム主義の指導者になった。彼はもともとはGIAに属して、GSPCに鞍替えした。彼は組織の作戦領域をアルジェリア国境外に伸ばし、リビアとチャドに訓練キャンプを創設した。アルジェリア政府との衝突で、彼の幹部達は大きな損害を被り、2004年6月にアブ・イブラヒム・ムスタファは命を落とした。
ムスタファの後継者になったのが、アブ・アブドル・ワダウドである。
 アルジェリアのイスラム主義者は、自分たちの作戦をフィルムに収め、インターネットで流した。(中略)GSPCのウエッブサイトの「ロゴ」では、開かれた『コーラン』のページに「判断は神のみがなさる」と書かれている。これはイスラム教初期から知られた解決法である。「ロゴ」では、コーランの上の方に別の詩句が書かれている。「誰も信者をイスラム教から脱落するように誘わなくなるまで、彼らと戦え。神が敬われるまで彼らと戦え」と書かれている。(以下略)
[訳者の感想]イスラム過激派の影響力は、これまでのイスラム穏健派の国々を脅かし始めたようです。
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