一ヶ月前にドイツの週刊誌『シュピーゲル』に載せられたヴィーラント・ヴァーグナーの記事。
死んだり傷ついたりした者はいなかったが、攻撃の的となった人物は、警告を理解した。東京のコピー機製造会社フジ・ゼロックスの会長小林陽太郎の家の前に火炎瓶が二つ投げられた。この起業家は、日本と中国の間の相互理解に賛成し、愛国主義的な日本人の憎しみを招いたのである。
中国との和解は、目下日本では求められていない。昨年11月中国の原子力潜水艦が日本の領海に侵入したとき、アジアのライバル国は、1972年の国交正常化以来、最低点に到達した。
先週、北京は日本の反中国的気分を更に増大させた。北京の人民大会堂からの不安にさせる画像が日本人の居間に直接に放映された。中国の全人代が解放軍のための軍事費を12.6パーセント増やし、2兆2000億円にした。
更に中国政府は、見せかけの議会に対して、台湾侵攻のための文書による口実を提示した。中国共産党の権力者達は、台湾が独立を宣言した場合には、「非平和的」手段を台湾に適用すると脅した。その根拠は、新しく制定された「反国家分裂法」の中にある。
このエスカレーションは、東京に深い不安を呼び起こした。と言うわけは、北京は初めてこの文書でもって、必要な場合には台湾を中国に無理矢理取り戻すという圧力を加えたからである。中国はこれによって、同時に資源に依存している日本を挑発した。なぜなら、日本は台湾海峡とともに重要な海上交通が脅かされたと感じたからである。「この法律でもって中国は戦争を仕掛けることができる」と『産経新聞』は警告した。
台湾では何十万もの人が直ちに街頭へ出るということを北京政府は計算していたかもしれない。プラカードには、「併合はごめんだ。」「台湾人よ、立ち上がれ!中国の覇権に抵抗せよ!」とデモ参加者は、叫んでいた。東アジアの情勢に関して、危険なのは、中国と太平洋のライバル国である日本及びアメリカとの間の対立が激しくなるはやさである。というのも、ワシントンは、1979年にできた「台湾法」によって、台湾への攻撃を重大な懸念を引き起こす事柄として扱うように義務づけられているからである。
目下、たいていはイラクに心を奪われている他の世界は、耳をそばだてている。礼儀正しいアジア人達は、取引上の調和のなかで付き合っていたのではなかったのか?いずれにしても、中国は昨年日本の最大の貿易国であったアメリカに取って代わり、日本の最大の貿易国となった。台湾と中国との間の最近のチャーター便でもって、台湾と中国のと間でかすかな緊張緩和が始まったように見えた。
だが、新しい「反国家分裂法」の成立過程は、良くない結果を予想させる。中国の権力者達がこの法案を作成し始めたとき、彼らは、台湾の独立勢力が2004年12月の国会議員選挙で勝つだろうと予測していた。実際は、彼らは選挙に勝たなかったのだ。共産主義者達は、彼らの権力を台湾や日本に対して愛国心を煽ることと余りに強く結びつけていた。
大国中国の目覚めとともに、ライバル国の間の非常に古い対立が再び抗争の火だねとなりかけていると言うことは、偶然ではない。台湾は、1894年から95年にかけての日清戦争における日本の戦利品であった。台湾の植民地化とともに日本は東アジアにおける攻撃的な拡大を推進した。中国の朝貢国の代わりに、日本は、他のアジア人達の主人へと成り上がった。だから、中国にとっては台湾は、彼らの帝国の恥辱に満ちた分割の象徴である。その分割において日本は特に残酷な仕方で際だっていた。第二次大戦後も日本は台湾と親密な関係を保っていた。確かにかつての宗主国は、台湾島民を残酷に抑圧したけれども、大陸の共産主義者や1949年に台湾にやってきた蒋介石の国民党と比べると、日本人はましに思われた。多くの年配の台湾人は、初めて民主的に選ばれた李登輝元総統のように、今でも日本語を話す。日本の武士道について書いた本の中で、彼は、日本というサムライの国に記念碑を建てた。
これに対して、日本は東南アジアでは、影響圏を中国に譲り渡した。中国は、2010年までにアセアンの国々と自由貿易圏を作ろうとしている。それには20億人が属することになる。東京はこの未来計画を不信の目で追っている。日本は、米作りの農家をアジアからの安価な米との競争から守るので、シンガポールを除いて、他の東南アジアの国々と二国間協定を結ぶことに成功していない。
この世界第二の工業国がアジアの隣人から孤立すればするほど、日本は核の傘で守ってくれるアメリカに頼るようになる。「有志連合」のメンバーとして、東京は、500名の自衛隊員をイラクに派遣した。それによって、日本は1945以来、初めて戦闘地域と軍事的に関わり合っている。それによって日本の沿岸でのアメリカ軍との共同作戦に弾みがついた。最近、東京は、ワシントンと共同で、台湾海峡における緊張の平和的解決に「戦略的関心」があると宣言した。最近出された『防衛白書』で、日本は初めて中国を潜在的な軍事的脅威であると表現した。(以下23行省略。)
与党の自民党は、野党民主党の大部分とともに、平和主義的な戦後憲法を変えようとしている。アメリカ占領軍が押しつけた戦後の新憲法では、「日本国民は、主権の行使としての戦争を放棄する」ことを誓った。これに対して、いわゆる自衛のための戦力の役割が新しい改憲案には、明記されるだろう。
日本の日章旗は、翩翻と翻るはずである。「アメリカとの関係にせよ、アジアとの関係にせよ、これまでわれわれは他の人たちによって指導されてきた。しかし、将来、我が国は他の人たちを導く外交政策を追求しなければならない」と小泉の後継者と目されている安部晋三は言う。
(以下23行省略)
訳者の感想:日本とアジア諸国の現在の危機的な関係が一月前にこのように書かれていたということが私の興味を引きました。日本が明治維新までは、中国の「朝貢国」だったと言うような書き方をしているのは、歴史的に正しくないと思いますが、ヨーロッパ人から見ると維新前の日本はそれぐらいの国にしか見えていなかったのかもしれません。第二次大戦以前に、ロンドンの郵便局で手紙を出そうとした日本人に対して、イギリスの郵便局員は「日本は、中国の一部だ」と言ったそうですから。
死んだり傷ついたりした者はいなかったが、攻撃の的となった人物は、警告を理解した。東京のコピー機製造会社フジ・ゼロックスの会長小林陽太郎の家の前に火炎瓶が二つ投げられた。この起業家は、日本と中国の間の相互理解に賛成し、愛国主義的な日本人の憎しみを招いたのである。
中国との和解は、目下日本では求められていない。昨年11月中国の原子力潜水艦が日本の領海に侵入したとき、アジアのライバル国は、1972年の国交正常化以来、最低点に到達した。
先週、北京は日本の反中国的気分を更に増大させた。北京の人民大会堂からの不安にさせる画像が日本人の居間に直接に放映された。中国の全人代が解放軍のための軍事費を12.6パーセント増やし、2兆2000億円にした。
更に中国政府は、見せかけの議会に対して、台湾侵攻のための文書による口実を提示した。中国共産党の権力者達は、台湾が独立を宣言した場合には、「非平和的」手段を台湾に適用すると脅した。その根拠は、新しく制定された「反国家分裂法」の中にある。
このエスカレーションは、東京に深い不安を呼び起こした。と言うわけは、北京は初めてこの文書でもって、必要な場合には台湾を中国に無理矢理取り戻すという圧力を加えたからである。中国はこれによって、同時に資源に依存している日本を挑発した。なぜなら、日本は台湾海峡とともに重要な海上交通が脅かされたと感じたからである。「この法律でもって中国は戦争を仕掛けることができる」と『産経新聞』は警告した。
台湾では何十万もの人が直ちに街頭へ出るということを北京政府は計算していたかもしれない。プラカードには、「併合はごめんだ。」「台湾人よ、立ち上がれ!中国の覇権に抵抗せよ!」とデモ参加者は、叫んでいた。東アジアの情勢に関して、危険なのは、中国と太平洋のライバル国である日本及びアメリカとの間の対立が激しくなるはやさである。というのも、ワシントンは、1979年にできた「台湾法」によって、台湾への攻撃を重大な懸念を引き起こす事柄として扱うように義務づけられているからである。
目下、たいていはイラクに心を奪われている他の世界は、耳をそばだてている。礼儀正しいアジア人達は、取引上の調和のなかで付き合っていたのではなかったのか?いずれにしても、中国は昨年日本の最大の貿易国であったアメリカに取って代わり、日本の最大の貿易国となった。台湾と中国との間の最近のチャーター便でもって、台湾と中国のと間でかすかな緊張緩和が始まったように見えた。
だが、新しい「反国家分裂法」の成立過程は、良くない結果を予想させる。中国の権力者達がこの法案を作成し始めたとき、彼らは、台湾の独立勢力が2004年12月の国会議員選挙で勝つだろうと予測していた。実際は、彼らは選挙に勝たなかったのだ。共産主義者達は、彼らの権力を台湾や日本に対して愛国心を煽ることと余りに強く結びつけていた。
大国中国の目覚めとともに、ライバル国の間の非常に古い対立が再び抗争の火だねとなりかけていると言うことは、偶然ではない。台湾は、1894年から95年にかけての日清戦争における日本の戦利品であった。台湾の植民地化とともに日本は東アジアにおける攻撃的な拡大を推進した。中国の朝貢国の代わりに、日本は、他のアジア人達の主人へと成り上がった。だから、中国にとっては台湾は、彼らの帝国の恥辱に満ちた分割の象徴である。その分割において日本は特に残酷な仕方で際だっていた。第二次大戦後も日本は台湾と親密な関係を保っていた。確かにかつての宗主国は、台湾島民を残酷に抑圧したけれども、大陸の共産主義者や1949年に台湾にやってきた蒋介石の国民党と比べると、日本人はましに思われた。多くの年配の台湾人は、初めて民主的に選ばれた李登輝元総統のように、今でも日本語を話す。日本の武士道について書いた本の中で、彼は、日本というサムライの国に記念碑を建てた。
これに対して、日本は東南アジアでは、影響圏を中国に譲り渡した。中国は、2010年までにアセアンの国々と自由貿易圏を作ろうとしている。それには20億人が属することになる。東京はこの未来計画を不信の目で追っている。日本は、米作りの農家をアジアからの安価な米との競争から守るので、シンガポールを除いて、他の東南アジアの国々と二国間協定を結ぶことに成功していない。
この世界第二の工業国がアジアの隣人から孤立すればするほど、日本は核の傘で守ってくれるアメリカに頼るようになる。「有志連合」のメンバーとして、東京は、500名の自衛隊員をイラクに派遣した。それによって、日本は1945以来、初めて戦闘地域と軍事的に関わり合っている。それによって日本の沿岸でのアメリカ軍との共同作戦に弾みがついた。最近、東京は、ワシントンと共同で、台湾海峡における緊張の平和的解決に「戦略的関心」があると宣言した。最近出された『防衛白書』で、日本は初めて中国を潜在的な軍事的脅威であると表現した。(以下23行省略。)
与党の自民党は、野党民主党の大部分とともに、平和主義的な戦後憲法を変えようとしている。アメリカ占領軍が押しつけた戦後の新憲法では、「日本国民は、主権の行使としての戦争を放棄する」ことを誓った。これに対して、いわゆる自衛のための戦力の役割が新しい改憲案には、明記されるだろう。
日本の日章旗は、翩翻と翻るはずである。「アメリカとの関係にせよ、アジアとの関係にせよ、これまでわれわれは他の人たちによって指導されてきた。しかし、将来、我が国は他の人たちを導く外交政策を追求しなければならない」と小泉の後継者と目されている安部晋三は言う。
(以下23行省略)
訳者の感想:日本とアジア諸国の現在の危機的な関係が一月前にこのように書かれていたということが私の興味を引きました。日本が明治維新までは、中国の「朝貢国」だったと言うような書き方をしているのは、歴史的に正しくないと思いますが、ヨーロッパ人から見ると維新前の日本はそれぐらいの国にしか見えていなかったのかもしれません。第二次大戦以前に、ロンドンの郵便局で手紙を出そうとした日本人に対して、イギリスの郵便局員は「日本は、中国の一部だ」と言ったそうですから。
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