海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「将軍達の復帰」と題する『シュピーゲル』誌の記事。

2007年04月29日 | イスラム問題
4月28日、イスタンブール発:昨夜以来、トルコでは、とっくに死んだと思われていた幽霊が再び徘徊している。翌朝目が覚めると戦車がゴロゴロ走っているの聞こえるという不安である。参謀本部が一つの次のような声明を出したのは、23時30分だった。「トルコ共和国が危険に曝されているのを見るがいい。世俗主義に反する事件が重なり、数時間前に、議会で行われた大統領選挙の第一ラウンドは、軍の心配を解こうとしてない。誰もだまされてはならない。必要な場合には、軍は明確な立場をとるであろう。
この声明はトルコ国民を驚かせた。朝3時まで、テレビ局は、生中継で態度決定の可能な帰結について議論した。政治的陣営を横断するすべての政治的観察者のはっきりした意見は、これは将軍達の最後通牒だということだった。危機が先鋭化する唯一の可能性は、現在、大統領選挙の中止と、それに代わる議会の選挙である。
今日の午後まで、エルドガンの政府は、確かに少なくとも外に向かっては影響されていない振りをしている。軍部は、首相に従っているとタイイップ・エルドガンは、報道官セミル・チチェクを通して声明させた。
もし、苦情があるなら、そのために用意された制度的な道がある。トルコの赤十字社前に現れた際、エルドガンは、国民は国が危機に瀕することを認めないだろうと述べた。
エルドガンは本当にそんなに落ち着き払っているのかという疑問は残っている。それとも彼は選挙民の前でだけ、表情を変えないでいるが、幕の後ろでは、交渉しているかもしれない。エルドガンは、既にヤサール・ブユカント参謀総長と会談したとチチェク報道官は述べた。
この対立は、すでに何ヶ月も前から続いている。昨年秋以来、ケマル主義的でナショナリストの反対党CHPは、現在在任中のアーメト大統領と軍部の支持のもとで、五月に予定されている新しい大統領選挙は、その任期がこの夏に切れる現在の議会によっては行われないと声明した。新しい議会が大統領を選挙できるように、議会の選挙が先行すべきだ。
現在の議会では、エルドガン首相とギュル外相の率いるイスラム主義的な与党AKPが絶対多数を握っている。それゆえ、彼らは三分の二の多数が必要でない場合には、第三ラウンドで、自分たちが選んだ候補者を大統領にすることができる。一目見ると普通の民主主義的手続きのように見えることが、多くのトルコ人の目には、小さな文化革命となるだろう。84年間のトルコ共和国で、ケマル主義的で世俗主義的な陣営の出身でない大統領は一度もいたことはない。
穏健イスラム主義のAKPは、既に首相と国会議長とを立てているから、これまでのエリートたちは、軍部以外は、国家のレベルでは権力を奪われていだろう。この国のイスラム化を阻止するのは、今や軍部だけである。
野党の多くの代表と、彼らに近い政治観察者は、10パーセント枠をもった非民主的な選挙制度が投票総数の40%を顧慮しなくさせていると主張している。そういうわけで、最後の国会選挙で32%しか取らなかったのに、まるでトルコ国民の多数派を代表しているかのように、AKPが政権を握っている。それゆえ、政党は合意できる候補者を大統領職に任命すべきだ。
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