海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「この選挙で米国は地球を共有しやすくなったか?」と題する『ガーディアン』紙の論説。

2006年11月13日 | アメリカの政治・経済・社会
中間選挙に続いてジョージ・W・ブッシュがカメラの前に現れたとき、彼は集まったメディア関係者に「なぜ憂鬱そうな顔をしているんだ」と尋ねた。実際は、憂鬱そうな顔をしていたのは、米国大統領と落選した共和党候補者だけだった。選挙の敗北が、当の国だけでなく、他の国々でもこれほど喝采されたことは滅多にない。ブッシュはやっと地球の大部分を纏めた。イランのアヤトラやヨーロッパ諸国の首相達や、アメリカ人の多数や、自分たちの政党が厳罰に値すると考えた何人かの共和党員は、選挙権者による非常に大きな打撃を祝っていた。これはイラクでなされた破局的な失敗に対する断罪的な判決だけではなかった。それは共和党が米国立法府を支配してきた12年間の終わりだった。
この選挙結果についての一つの非常に良い点は、それがアメリカ人や世界の残りに、民主主義はまだ米国で機能しているということを示したことである。数週間前、私が読者に、イラク戦争と汚職と不道徳とが共和党にパンチをくらわせると考えているということをリポートした。大西洋の両側でそれは早すぎる予測だと考えた人たちが沢山いた。彼らはケリー大統領候補に投じた間違った希望を思い出し、ゴアの幻滅を思い出し、共和党の投票マシーンの威力を大きく評価しすぎた。
投票箱は浄化の仕事をやってのけた。共和党は、彼らの当然の運命を蒙った。米国中に右翼の恒久的な覇権を作り出そうとする企ては、はじけた。この選挙についての楽観的な見方は、それが世界の残りに対してもっとスマートでより単独主義的でないアプローチをとるように米国を導くだろうというものだ。こういうことが起こるかどうかは、ブッシュが敗北に適応するか、それとも敗北を無視しようと試みるかに懸かっている。兆候は入り交じっている。ドナルド・ラムズフェルドは、やっと首を切られた。大統領は、上院と下院とをコントロールする民主党と協力すると約束した。このような敗北の結果、彼にはなだめるように聞こえる以外選択の余地はない。問題は、彼が非常に違った大統領になれるかどうかである。彼が以前と同じ対決的な路線にしたがって、統治しようとすれば、それは議会との対立を麻痺させるための処方箋になるだろう。その最後の数ヶ月が次に起こるであろうことによって形作られるトニー・ブレアは、ホワイト・ハウスが超党派的路線をとることを熱烈に望んでいる。次の18ヶ月間ブッシュのホワイト・ハウスと仕事をすることになりそうなゴードン・ブラウン(次期英国首相)も同様である。
民主党も、大きな決断をしなければならない。この選挙が民主党に対する熱狂の印しであるよりは、共和党に対する反感の記録であったということを、彼らの中の抜け目のない人たちは理解している。民主党は、混乱した、意見の分かれた政党である。少なくともイラク問題関してはそうである。3人の民主党員が一部屋でイラク問題について議論すると四つの異なる意見が出そうだと言われている。(以下省略)
[訳者の感想]この論説を書いたのはアンドリュー・ローンズリーという人です。ブッシュが今後どのような政策をとるか世界中が固唾を呑んで見守っています。ブッシュが今までとは違う大統領になれるかと聞かれれば、なれそうもないというのが正直な答えでしょうが。
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