海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「政治家たちは資本主義革命に気付いていない」と題する『シュピーゲル』誌の論説。

2008年02月29日 | 国際政治
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ハンブルク発:企業が赤字を抱えている場合、職場を減らさねばならないということは、経営経済学上の論理である、何年も前から、われわれはこのことを観察し、知的には後をたどることができた。企業があまりに生産費が高かったり市場を無視して生産したりすれば、費用は高くなり、売り上げは低下し、決算が赤字になると銀行は、資金の供給を少なくする。経営の失敗に対して、被雇用者が犠牲になる。こういうふうに、市場経済は作用し、何人は、これが自由市場経済の代価なのだと自らを慰めるかもしれない。
 しかし、ジーメンス、BMW、ヘンケル、あるいはコンチネンタルなどのDAX市場に上場されている大企業が、優れた製品を作り、多くの分野で市場の牽引役を務め、何十億ユーロという利益をあげているのに、その従業員を何千人と解雇するということは、被雇用者や労働組合員を不安にするだけでなく、保守党のCDUに所属する政治家までも憤慨させる異常な出来事である。
 政治とメディアは、このような厚顔無恥な経済に対して責めを負うべき人間をすばやく見つけた。それは、欲望の塊で無慈悲な経営者であり、自分の利益しか考えない考え方と管理棟のなかでのセルフ・サービスである。トップの経営者は、その批判者たちにこのような論証をしやすくしている。被雇用者のところでは、実質賃金がよろめいているのに、六人の人間からなるダイムラー経営陣はの所得は、去年、1480万ユーロ(23億円)増えて、250億ユーロ(4兆円)に上がった。平均して、ドイツの経営者の所得は2007年度には18%上昇した。
 このような不平等な展開においては、人気取り的な要求がすばやく持ち出される。経営者に株オプションを与えることは制限されなければならない。その上、株の投機期間を延長することや、株主に対する投票権を株の所有期間と結びつけることが考慮されねばならないなどである。「短期的な投機を減らすためのインセンティブを設けなければならない」と『ベルリン新聞』に属する社会民主党の政治家は言った。
 株オプションは、大量解雇の原因なのか。経営陣は、本当に株のチャートを上げ、彼ら自身のオプションを上げるために、従業員を首にするほど彼らは冷酷に計算しているのか?経営者のためのオプションが存在せず、投機期間が延長されるならば、システムは、修復されるのか?
 ある「経済政策のスポークスマン」の口から出たこのような経済的な主張は、われわれを驚かす。なぜならば、その論証は、システムの問題がもっと差し迫ってたてられるべき場合には、当該の人間にスティグマを与える。社会は、どれほど長く、株式市場の力に、したがって、シェアホールダーの価値への定位とグローバル化の強制に耐えるだろうか。超資本主義は、民主主義を破壊するのだろうか?
あらゆる重圧で資本主義の新たな時代がわれわれの上にのしかかってきた。(中略)今や、世界中で活動しているフォンド会社やヘッジ・フォンドや独裁国の国営フォンドが主導権を握っている。経営者は、強力な株式売買人の「召使い」である。それを感じない者は、去らねばならない。(後略)
[訳者の感想]金融資本があまりに肥大した資本主義の現状に疑問を投げかける好論文だと思います。筆者はアンドレアス・ネルティングという人です。
コメント (1)
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