海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「クルド人の夢」と題する『ツァイト』紙の記事。

2008年02月26日 | 国際政治
ムソルグスキー:展覧会の絵(ピアノ&オーケストラ版)
カラヤン(ヘルベルト・フォン)
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る

イラク北部へのトルコ地上軍の大規模な攻勢は、公式にはトルコとイラクの国境地帯にいるPKKに向けられている。だが、問題の範囲はもっと広い。というのも、兵力の投入は、政治的にイラク北部でこれまで全面的に独立の行動をしてきたクルド人にも向けられているからだ。最近のエスカレーションは、長期的な趨勢にとって重要である。なぜなら、クルド人自治地域の野心的な政策に対して反対しているのは、トルコだけではなく、イラク、イランと米国だからである。
特に顕著なのは、米国がこの紛争で目立つほど静観していることである。コンドリーザ・ライス国務長官は、先週土曜日に、イラク北部の激化する戦闘を背景にして、トルコとの「絶対的な連帯」を誓った。米国の気分は変わりつつある。『ワシントン・ポスト』紙に掲載されたライス長官の言明は、イラクのクルド人に対して、これ以上最大限の要求をしてはならないという一つの警告であった。紛争が拡大した場合には、責任はクルド人にあるという訳だ。これは、イラクのクルド人にとっては、青天の霹靂である。イラクにおける米国の唯一の同盟者としての彼らの有利な立場を彼らは失ったのだ。
多くの観察者にとっては、1991年以来のイラク北部におけるクルディスタン自治領は、イラクの一部だと見なされている。バグダッドの国防省の兵隊には、この地域への投入は禁じられている。治安に責任を負っているのは、クルド人の「ペシュメルガ部隊」である。その際、この地域は、イランやトルコとの密接な関係から経済的に利益を得ており、国際的な石油会社との緊密な接触を保っている。クルド人地方政府は、バグダッドからの強硬な抗議に対して、広範な石油採掘協定を結んだ。
クルド人住民は、政治的には団結して政府を支持している。2005年には、住民投票で99%がイラクからの独立に賛成した。確かに、地方政府は、この要求に対して公式の拒否を伝えたが、過去の悲劇的な迫害と圧迫を考えれば、多くのイラク系クルド人は、サダム・フセインの没落以来のこの地域の発展を、歴史的な幸運だと感じている。もっとも、彼らの台頭の根拠は、全く偶然ではないのであるが。
クルド地域以外のイラクの不安定な状況は、クルド人の台頭に強く貢献した。バグダッドの権力の空白によって、その上、イラク内部の勢力は、クルド人の自治の段階的構築を妨げることができなかった。(以下省略)
[訳者の感想]米国はイランとイラクのシーア派イスラムの影響力を食い止めるために、どうしてもトルコの影響力を必要としているようです。クルド人が気の毒に成ってきます。コソボの独立を認めるなら、クルドの独立も認めるべきだと思うのですが。クルド人というのはイラン系人種でトルコ人ともアラブ人とも違うようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする