杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

「たまらん」第2号絶賛発行中!

2011-12-17 09:45:28 | しずおか地酒研究会

 フリー編集者平野斗紀子さんが創刊した地域コミュニティ新聞「たまらん」の第2号が今週発行されました(創刊号の紹介はこちら)。

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 今号では、12月17~18日にツインメッセで開催される『第49回技能五輪全国大会』にちなみ、洋裁部門の静岡県代表で出場するデザイン専門学校生と、彼女を指導する清水・次郎長通りの『ウサギヤ洋装店』店主・亀山泰子さんを特集しています。

 NHK朝ドラ「カーネーション」を楽しく観ているので、洋裁で頑張る女性たちのお話って、とても身近でタイムリーですね。記事にあったこの一節が心に残りました。

 

 

 

 

 

 「どんなに一流のデザイナーでも、かつてお針子として修業した時期が必ずある。デザインの勉強は縫製を知らなければ始まらないと亀山さんは断言する。人の身体を知り、布の素材や柄を活かし、着心地を演出するための基礎知識だからだ。

 

 既製服全盛のいま、メーカーは生産ラインに合った裁断や縫製をする技術者を求める。ファッション業界を目指す若者が東京の有名ブランドにあこがれ、生産ラインに取り組まれていく現状を見るにつけ、亀山さんは一着一着を丁寧に仕上げるオーダーメイドの技を覚えてから既製服の世界に行くべきではないかと疑問を抱く」

 

 ・・・職人仕事の本質ですね、これ。

 

 

 なお「たまらん(1部100円)」は以下の書店で絶賛発売中です。

●戸田書店静岡本店

●静岡谷島屋呉服町本店

●鷹匠のシエロアスール・マテリアル

●御幸町の次郎長屋

●呉服町の政豊

●呉服町のサンロード美容室

●七間町の美容室ミルソンズポイント

●安東米店

●池田の森ベーカリーカフェ

●清水区駒越のプティパレ・ア・ラメール

 

 定期購読(1年2000円)も受付中です。申込・問い合わせはタマラ・プレスのメールへ:tamara@iris.ocn.ne.jp

 

 

 なお、第2号ではしずおか地酒研究会でこんなメッセージ広告を出させていただきました。10月30日に岡部玉露の里で開いた『酒と匠の文化祭Ⅱ』の地酒川柳コンテスト最優秀作品です。読み手の「ばれてますよ・・・」さん、ご連絡をお待ちしています!!

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藤枝市民よろず講座で志太美酒試飲&パイロット版試写

2011-12-14 17:22:47 | 吟醸王国しずおか

 12月8日(木)の午後、藤枝市生涯学習センターで開かれた藤枝市観光協会主催の『市民よろず講座』に行ってきました。地域の魅力を学んでもらい、観光ボランティア等で活躍できる人材を育てようという講座で、11月からスタートして月1~2回、いろんなテーマで開かれるみたいです(こちらを参照)。

 私は第3回講座「なぜ美味しい?静岡県の地酒と志太美酒の魅力」を任され、地酒のお話&試飲と『吟醸王国しずおか』パイロット版試写を受講生に楽しんでいただきました。

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 受講生は平日午後に来られる方ですから主婦や熟年男性が多かったのですが、さすが藤枝市民、市内4銘柄や静岡酵母のことは“常識”といちいち頷いてくださって、かなりつっこんだ質問等も寄せられて、いつになく中身の濃い講座になったと思います。

 

 

 

 何より嬉しかったのが、パイロット版終了時に、ものすごい拍手をいただいたこと。パイロット版ですから、拍手はこちらから要求でもしない限りなかなかいただけないのがフツウなんですが、受講生のみなさんは本当に映像に見入ってくださったようです。

 

 「藤枝は、市内に、本当に実力のある素晴らしい酒蔵が4つもあって、県内いや国内でもなかなか類のない地域。市民のみなさんが誇りに思うべきだし、ご近所の酒蔵や酒販店を日頃から“馴染み”にしてほしい」と強くアピールしました。

 

 試飲用のお酒は、10月末に岡部・玉露の里で開いた『酒と匠の文化祭Ⅱ』用に購入したお酒が余っていたので、使わせていただきました。藤枝市、藤枝市観光協会ならびに試飲酒を保管管理してくださった初亀醸造様に心より感謝申し上げます。

 

 なお、以下は受講生にお配りした解説文です。口下手なライターゆえ、言葉が足りない部分は書いたものでフォローさせていただきました。今までの取材記事を練り直したものですが、日本酒の需要期ですから改めて掲載させていただきます。クリスマス&年末年始も静岡の酒をぜひぜひご愛顧くださいまし!

 

 

 

静岡県・志太平野の美酒  鈴木真弓(しずおか地酒研究会主宰)<o:p></o:p>

 

□酒通の常識?静岡の酒の全国評価<o:p></o:p>

 

静岡の地酒は全国的な評価が高く、平成10年から開催中の静岡県地酒まつりIN東京は、単独の県が首都圏で開催する地酒イベントとしては唯一、10年以上の実績を誇り、チケットは発売1時間以内に完売する「東京で最もチケットがとりにくい人気イベント」に成長しています。2008年の北海道洞爺湖サミットの晩餐会乾杯酒に焼津の「磯自慢」が選ばれる等、国内外にファンは広がっています。<o:p></o:p>

 とりわけ、大井川水系の志太地域は銘醸地として広く知られ、実力ある酒蔵が切磋琢磨して品質向上に努めています。これを支えるのが豊かな大井川地域の地下水です。<o:p></o:p>

 

毎年6月には志太地区6蔵が「志太平野美酒物語」という新酒イベントを開催しており、400席のチケットはつねにキャンセル待ちの人気ぶりです。<o:p></o:p>

 

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□原動力は静岡酵母<o:p></o:p>

 

静岡の地酒の人気の要因は、昭和50年代後半から静岡県工業技術センターで開発に取り組んだ「静岡酵母」にあるといわれています。<o:p></o:p>

 静岡酵母で造られた酒の特徴は、さわやかなリンゴやバナナのような香りが立ち、味はすっきり軽く、後味がきれいでスマートな味わいです。昭和61年全国新酒鑑評会では金賞10、入賞7、入賞率日本一を獲得し、酒造業界に革命をもたらしました。<o:p></o:p>

 

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□駿河湾の海の幸とベストマッチ<o:p></o:p>

 

静岡酵母の酒は、淡白な白身魚が多い駿河湾の海の幸や、静岡県の水が軟水で発酵が緩やかになるという特徴を活かしています。酸が低く軽い味わいなので、食事中も盃が進み、また上品な香りは女性や若者など日本酒初心者にも楽しんでいただけます。<o:p></o:p>

 

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□精米率の高い(=原料米をよく磨いた)酒を主力に<o:p></o:p>

 

 現在、静岡県で造られる酒は8割近くが特定名称酒(吟醸酒・純米酒・本醸造酒など)です(全国平均は4割弱)。<o:p></o:p>

 特定名称酒では、原料米の精米率に厳しい条件(大吟醸=5割以下、吟醸=6割以下、本醸造=7割以下)があり、添加する醸造アルコールは使用する米の1割以内と決められています。各蔵元は原料コストがかかっても量より質で努力しています。<o:p></o:p>

 

ちなみに、米の外側のたんぱく質や雑物質にはアルコール分解を妨げる成分が含まれています。これを多く削り取って使用するため、悪酔いしにくいという利点があります。<o:p></o:p>

 またアミン類など蒸し香(口中で臭くなる香り)のもととなる物質もそぎ落とされるので、酒臭くなりにくいといわれます。<o:p></o:p>

 

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□杜氏の技の交差点<o:p></o:p>

 

 原料コストの高い造り方で、品質を磨いていくには、蔵元(酒蔵経営者)と杜氏(酒造職人)の強い意志が必要です。<o:p></o:p>

 

志太地域には、戦前、「志太杜氏」という職人集団が活躍し、戦後の高度成長期に全国から「南部杜氏(岩手)」「能登杜氏(石川)」「越後杜氏(新潟)」「広島杜氏」など優秀な職人たちがやってくると、プライドをかけて切磋琢磨しました。静岡県は地理的に、全国各地の職人たちが集まる“杜氏の技の交差点”のような地域になったのです。

そんな中から、静岡酵母という新しく難しい酵母に挑戦し、理想の酒質を創り上げた優秀な杜氏が輩出されました。

酒蔵の数が多い志太地域では、“競争原理”がうまく働き、蔵元も杜氏も高い志を持って酒質向上に努めました。これに大井川水系の良水の力が加わって、人気銘柄が数多く生まれたのです。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>呑んで美味しく、料理との相性もよく、悪酔いしにくく、酒臭くなりにくい、質の高い静岡の酒の価値が、鑑評会の大量入賞から25年余経た今、市場にしっかりと根付きました。<o:p></o:p>

 

この先、志太地区の酒蔵は、県内・国内はもとより、国際的にみてもフランスのボルドーやブルゴーニュのようなブランド銘醸地に発展していくと期待しております。<o:p></o:p>

 


ワインはしご酒

2011-12-11 14:13:14 | 地酒

 この冬はちょっとした“異変”に見舞われています。自他共に“日本酒党”を自認していた私が、立て続けにワインを外呑みしています。ワインしか置いていない店をはしごしてるってことですが

 

 

 

 昨日(10日)は親友の誕生日祝いに、両替町のフレンチビストロ・PEPINに行きました。カジュアルな雰囲気で、料理はどれも素材を活かした軽く食べやすい味付け。お値段も手ごろで、気負わずに行きつけに出来るなあと思いました。シャルドネを一本軽々と空けてしまいました。

 

 

 

 7日(水)は、NB協議会茶道研究会が終わった後、会員さんに鷹匠のVENTI DUEに連れていってもらいました。本場ナポリで修業したピザ職人さんが2年前に開いたお店で、某グルメランキングサイトでは静岡一美味しいピザの店とか(鷹匠3丁目21‐20 TEL054-260-4522)。

 

 ピザって(ダイエット中に付き)あまり積極的に食べに行くメニューじゃなかったんですが、久しぶりに食べて、改めてこんなに美味しい料理だったんだ~と再認識しました。生地と具材とチーズとソース・・・どれをどう組み合わせ、どう焼き上げるかって完璧な職人シゴトですね。ここでも(他のメンバーは飲めなかったので)シャルドネをほぼ一人で1本空けてしまいました。

 

 ちなみに昨日行ったPEPINは、食通でもあるその会員さんに推薦してもらったお店です。

 

 

 

 

 先月末は、いつもお世話になっている広告会社・三晃社の紺屋町ビル1階にオープンした松木一浩さんのお店 Le Comptoir de Bio-sにおじゃましました。松木さんと仕事の打ち合わせをした後で、ついでに食事とワインをいただいたんですが、シンプルな焼き野菜にワインが実によく合いました。

 

 

 私はワインに関してはほとんど無知で、お店で頼む時は店主に完全にお任せです。松木さんのお店では1杯目はスパークリングで、2~3杯目はタイプの違う白、4~5杯目はタイプの違う赤を松木さんに勧めてもらいました。プライベートで飲む時は、メモったり写メしたりしない横着派なので、何を飲んだのか覚えていませんが、ワインはとにかく食事との相性がすべてだという認識を深めました。

 

 

 

 日本酒はワインに比べて造り方が複雑ですから、呑み方もさまざまです。複雑だけど原料が日本のコメだから、日本人が口にするおかずには基本的に何でも合うと思います。コメの酒だから、酒だけでも呑める。アルコール度数がビールやワインや焼酎割りに比べて高いので、食事中グビグビ呑むというわけはいかないけど、温度が変わったり酒器の形状によっても繊細な味の違いが楽しめる。日本酒って日本人を象徴するような酒なんだなあと改めて実感します。

 

 それに比べてワインはやはり大陸的な感じがする。ブドウという生命力の強い果実がアルコールになって、さらに長寿を得て、したたかに生きながらえています。何かの食事と一緒に飲む時、他の食材と時には対立したり融合したりと、お口の中で戦争しているみたい。実に世界史的です。だからこそ、料理とワインがどんぴしゃで合えば、本当に強い。ソムリエという“交渉役”が必要だったのもうなづけます。

 

 

 比較文化論的に考えると、はたして日本酒にワインの手法が適合するのか、よくわかりませんが、とにかく静岡の街中には洋食&ワインの“強豪連合国”が続々誕生したことを思い知らされる年の瀬です。


中日新聞掲載「富士山に生息する動物」

2011-12-09 09:22:53 | NPO

 12月3日(土)の中日新聞朝刊に富士山特集第9弾『富士山に生息する動物』が掲載されました。世界文化遺産登録の動きでは、今の富士山の動植物の生態にはあまりスポットが当たっていないようですが、世界遺産に登録されたら何が大事って、今のこの富士山をどうやって維持管理していくか。それには、今の富士山がどういう状態かを正しく知っておかなければなりません。

 

 

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 今回の取材では、NPO法人静岡県自然史博物館ネットワークの三宅隆副理事長に、富士山には42種類もの哺乳類が生息していて、日本のバードウォッチング発祥の地だったということを教えてもらいました。

 

 ふだん何気なく、遠目から、見えた見えないで一喜一憂しているけど、富士山は、まぎれもなく野生動物の棲家なんだって認識を忘れていたような気がする。それに、外来種が急増していて、在来種の生息地が危機にさらされているという現実。このことは改めて紹介しようと思います。

 ・・・とりあえず、ネズミやモグラの名前がこんなにあったんだって知るだけでも勉強になりますので(苦笑)、ぜひご一読を。

 

 

 

〈富士山に生息する動物〉 変わりゆく環境の中、命をつなぐ希少種たち<o:p></o:p>

 

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 富士山の世界文化遺産登録推薦書草案がユネスコ世界遺産委員会に提出され、静岡県でも登録への気運醸成に努めている。その一環として、県が10月に開催した『富士山県民講座』は、富士山の文化的価値を県民に広く理解してもらおうと、各分野の専門家を講師にそろえた。第3回目のテーマは「富士山に生息する動物」。獣医師でNPO法人静岡県自然史博物館ネットワークの三宅隆副理事長に解説してもらった。<o:p></o:p>

 

 

富士山の哺乳類は42<o:p></o:p>

  日本には現在、100種類ほどの陸生哺乳類が生息している。静岡県にはこのうち50種類、富士山一帯には42種類が今までに確認されている。<o:p></o:p>

  富士山はおよそ10万年前から形成が始まった比較的若い火山。独立峰で他の山地との往来が難しいため、大型の哺乳類は意外と少ないが、コウモリ、ネズミ、モグラ類は複数種生息する。とくにコウモリ類は、キクガシラコウモリ、テングコウモリ、ヒメホオヒゲコウモリなど溶岩洞や樹洞性のコウモリが多い。富士山の名前が付いたフジホオヒゲコウモリというヒメホオヒゲコウモリの亜種もいる。<o:p></o:p>

  ネズミではヒメネズミ、アカネズミ、スミスネズミ等。モグラでは体長7084ミリという日本最小のヒメヒミズ、富士山固有のフジミズラモグラ、トガリネズミ等の小型種。<o:p></o:p>

  このほか、ニホンリス、タヌキ、アカギツネ、テン、アナグマ等も生息する。ネズミが多ければ、これを餌にするテンやキツネも多いということだ。<o:p></o:p>

 

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 富士山に生きる希少種<o:p></o:p>

  珍しいところでは、天然記念物のヤマネ。標高1250メートル付近から上の混交林に多く生息する。樹洞を利用することが多いが、シジュウカラ用の巣箱に入ることもある。シジュウカラはモグラやネズミ等の獣毛やコケを巣に運ぶ。そのコケの中でヤマネがちゃっかり寝ていることもある。シジュウカラには災難だが、ヤマネにとっては快適な生息地なのだろう。<o:p></o:p>

  ツキノワグマはブナ等の落葉広葉樹林を中心に生息する。木の実や昆虫等を餌にするが、森林伐採や有害駆除等の要因のほか、富士山が独立峰で他山との往来ができないことから遺伝的な問題が加わり、生息数は減少傾向にあると思われる。静岡県レッドデータブックで、絶滅のおそれのある地域個体群にも指定されている。<o:p></o:p>

  また富士山西斜面の滑沢から大沢付近、北斜面の青木ヶ原、東斜面の木の根沢ではニホンカモシカも棲む。標高1300メートル以上の混交林で観察できる。<o:p></o:p>

 

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 日本で初めてバードウォッチングが始まった野鳥の聖地<o:p></o:p>

  富士山は野鳥の生息地としても知られる。富士山東麓の須走は、戦後、日本で初めてバードウォッチングが開催された地でもある。現在までに約220種余の鳥が確認されていて、代表的なところでは、ホシガラス、イワヒバリ、アマツバメ、カヤクグリ等。<o:p></o:p>

  ホシガラスは標高1700~2500メートルのハイマツやブナ林に生息する。体に星のような斑があり、カラスらしくガァーガァーと鳴きながらハイマツの実等を食べる。五合目の食堂の傍でも見られることがある。イワヒバリは標高2700~2900メートル地帯に少数が生息する。11月頃になると標高の低いところに移動し、冬場は数羽から10羽前後の群れで生活する。チョロリロリ…という澄んだ鳴き声が特徴だ。<o:p></o:p>

  一方、夏鳥の代表格がアマツバメ。4月上旬に渡来し、五合目付近の岩の隙間を住処として10羽前後の群れをなし、チリチリチリーと金属的な声を鳴きながら飛んでいる。カヤクグリは3月下旬頃から11月下旬ごろまで亜高山帯で生息する。ミヤマハンノキ等の低い木々にとまって、チィーチィーチリチリと愛らしくさえずる。<o:p></o:p>

 

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 富士山に出現した“シカ道”<o:p></o:p>

  ツキノワグマ等の減少が懸念される一方で、近年、シカやイノシシが増加し、樹木や農作物に被害を与えるようになった。とくにシカは10数年前から激増中で、森林地帯では樹木の皮や根っこがかじられ、さらにササも食い荒らされて枯れ、一部ではシカが食べない種類の野草が群生するようになった。<o:p></o:p>

  今年、三宅さんたちが富士山麓5カ所で行った定点観測でも、いたるところにシカの足跡が見られ、シカ道”が形成されているところも多い。「さまざまな意見があると思うが、森林を守るために適切な管理計画を作成し、個体数調整が必要な時期に来ているのでは」と三宅さんは語る。<o:p></o:p>

 

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 侵略的外来種の増加<o:p></o:p>

  さらに、富士山の動物を取り巻く環境で大きな変化といえば、外来種の増加だ。三宅さんの観測では、富士山本体にはさほど数がいないと思われていたハクビシンが頻繁に記録写真に写っていたという。ハクビシンは県内でも最も数が増えた外来種で、元々は台湾から持ち込まれて来たとされる。<o:p></o:p>

  鳥では中国原産のガビチョウ、ソウシチョウといった外来種が急増している。両種とも日本生態学会により「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されている要注意種である。<o:p></o:p>

  ソウシチョウは富士山で標識調査を実施している人によると、今では最優占種になっているという。生息場所を占領された在来種に負の影響が出るのは時間の問題だろう。<o:p></o:p>

 

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 富士山にアライグマ!?<o:p></o:p>

  富士山麓の富士宮市の旧花鳥山脈では、2003年に県内で初めて、アライグマが確認された。テレビアニメの人気でペットとして飼われたが、成長すると気性が荒くなるため、捨てられたり逃げられたりで、アニメ放送から10年ぐらい経って日本各地で野生化したアライグマが見られるようになった。<o:p></o:p>

  このような外来種の増加は、病原菌の人への感染や日本在来種動物への影響、農業被害や神社仏閣等の歴史的建造物の破損など、さまざまな問題を引き起こす。<o:p></o:p>

 

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  標高差によって動植物が生息する環境が大きく変化する富士山。最近では野焼きをしなくなった影響で山麓の高原地帯も、本来の高原らしさが失われつつあるという。そんな中、富士山という厳しい自然を“我が家”とし、種を残そうと必死に生きる鳥や動物の存在に、我々も心を寄せていかねばならない。彼らも富士山の一部、なのである。(文・鈴木真弓)<o:p></o:p>

 

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参考文献

 ○しずおか自然史(NPO法人静岡県自然史博物館ネットワーク編・静岡新聞社)<o:p></o:p>

 ○恐るべし外来生物(?法人静岡県文化財団)<o:p></o:p>

 ○まもりたい静岡県の野生生物―県版レッドデータブック(静岡県環境森林部自然保護室編・羽衣出版)<o:p></o:p>

 ○富士登山ハンドブック(社団法人富士自然動物園協会編・自由国民社)<o:p></o:p>

 ○富士の鳥(浅見明博・堀田明著・保育社)<o:p></o:p>

 

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富士錦に小田島さん!

2011-12-06 22:59:07 | 地酒

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 12月5日(月)は終日、富士山麓で過ごしました。お天気が良くて富士山もこのとおり。雪をかぶったキレイな富士山が見えると、それだけでトクをしたって感じですね。

 

 

 午前中、杜氏が交替したという富士錦酒造を訪ねたら、新杜氏はなんと懐かしや、小田島健次さんでした。

 

 

 

 

 小田島さんと初めてお会いしたのは20年ぐらい前。喜久醉の前杜氏の富山初雄さんが、曽我鶴(掛川)の杜氏をかけ持ちしていたとき、自分の後継者だと紹介されました。まだ小田島さんは40歳そこそこだったと思います。

 

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 その後、曽我鶴、葵天下(旧大須賀町)、小夜衣(菊川)、萩錦(静岡)の県内4蔵の杜氏をかけ持つという大車輪の活躍で、そのことを1998年2月5日付毎日新聞朝刊「しずおか酒と人」で紹介させていただきました。これが当時の挿絵です。

 
 

 

 昨日お会いしたときは、少し髪が白くなっていたけど、昔と全然変わらず。「もう60歳になっちゃったよぉ」と照れ笑いされるので、「私も来年50歳ですよぉ」と自嘲しちゃいましたが、小田島さんは還暦にはとても見えない若々しくてクレバーな職人さん。富士錦の清信一社長も「内々の人間には気付かない課題や改善点を的確に指示してくれる。ものすごい刺激をもらっています」と大満足のよう。

 

 小田島さんも清さんのことを「今まで勤めた蔵にはいないタイプの経営者。やりがいがあります」と相思相愛みたい。

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 ちなみに上の挿絵で紹介した蔵人さんのうち、まかないの菅原テツさんだけは今も小田島さんと行動を共にされています。私が描いた挿絵のことをよく覚えていてくださって、「今度描くときは顔のしわを取ってね~」と冷やかされました。

 

 

 

 今期は萩錦酒造(静岡市)と掛け持ちだそうですが、富士錦のような(静岡県内では)規模のある、販売戦略もしっかりしているメーカーで、職人タイプの小田島さんがどんな酒を造るのか、大いに興味が湧きますね!