杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

18世紀、イギリスの緑茶品評

2012-06-20 08:56:48 | 農業

 夕べ(19日)FM-Hiでオンエアだった『かみかわ陽子ラジオシェイク』でイギリスのお茶の歴史について少し触れました。

 

 

 台本を書く時、参考にしたのが、以前、県知事対談でお会いした角山榮先生の、川勝知事とのやりとり(こちらを参照、全文はこちらをダウンロード)と、先生の名著『茶の世界史~緑茶の文化と紅茶の社Img094
会』(中央公論新書)
。イギリスにお茶が入ってきたのは17世紀、東インド会社から輸入したものですが、当初は紅茶じゃなくて緑茶が主だったそうです。イギリス=紅茶と思いこんでいたので、先生の本でこれを知ったときは、目からウロコでした。

 

 

 1771年、エジンバラで発行された『ブリタニカ』初版で、商人がお茶を選ぶ基準が記述されていて、これがまたお茶の品評としては大変興味深いものでした。昨日のオンエアでも代読させてもらいました。

 

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「茶を扱う商人は、茶の色、香味、葉の大きさの違いによって、おびただしい茶の種類を区別している。普通の緑茶は、葉がやや小さくてシワがあり、よく乾燥して葉が巻き込んだような形をしている。色は薄黒いグリーンで、味はやや渋く、香りは快適である。

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   良質の緑茶は、葉が大きくてあまりシワがなく、乾燥中に葉がほとんど巻き込まないようにつくられている。色はブルーグリーンに近い薄い色で、実に何とも言えない素晴らしい香りがする。普通の緑茶よりも渋い味がするが、それでもはるかに心地よい味である。<o:p></o:p>

 

一方、ボヘア(紅茶の種類)は、他のいずれのものよりずっと小さな葉からできている。色は他の種類よりいっそう濃い色をしており、ときには黒味がかっている。同じく香りも味もよいが、味は甘さと渋さが混じり合ったような味である。緑茶はすべてどことなく、すみれの香りがするのに対し、ボヘアのほうはなにかバラの香りがする」。<o:p></o:p>

 

 

 

 

 緑茶も、あるいは日本酒も、味や香りの表現次第では、もっともっと魅力を伝えられると思いました。お茶専門店や地酒専門店、喫茶店や酒場は、もちろん店構えやサービスが大切だと思うけど、商品の特徴をちゃんと表現できるプロの売り手が増えて欲しいし、そういう人に気軽に会える店が増えて欲しい。18世紀の商人に負けるな!

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