うたことば歳時記

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小雪

2016-11-07 13:52:12 | 年中行事・節気・暦
 今日は立冬です。でも埼玉県の中央部にある我が家の周辺では、日溜まりは暖かく、菊の花が盛んに咲いていて、冬の実感はありませんが、さすがに夜は寒くなりました。あと2週間で次の節気の小雪になるので、そろそろ小雪について書いてみます。といっても、あまり書くことがなくて困ってしまうのですが・・・・。

 小雪は例年なら11月22日か23日です。ちょうど勤労感謝の日あたりと覚えておけばよいでしょう。初雪が舞い始める頃と言うのでしょうが、初雪の便りは地域によって全く異なりますから、小雪という節気は、地域によっては気候の目安にはあまり向いていませんね。

 1981年から2010年までの気象庁の統計によれば、主要都市の初雪の平均値は、札幌10月28日、仙台11月24日、新潟11月24日、東京1月3日、長野11月21日、名古屋11月20日、金沢11月29日、京都11月25日、広島12月11日、福岡12月25日、宮崎1月21日だそうです。

 10月から翌年の1月までばらつくのですから、そもそも日本一律の暦で節気に採り入れること自体に無理があると思います。東京が1月なのに、名古屋・京都が11月というのは、関東に住んでいる者としては驚きですね。雪のクリスマスなど経験がないものですから。関東より西で、私は暖かい地方と思い込んでいる広島や福岡でも、12月には降っているのもびっくりします。よくよく考えれば、福岡は日本海側ですし、広島の北を遮る中国山地は高い山ではありませんし、京都と名古屋も一山越えれば若狭湾ですし、空っ風の吹く関東とは事情が異なるようです。山陰から嫁いできた家内は、山陰は雪が降っても暖かいのに、関東の冬は晴れていても寒いとこぼしています。もっと寒い地域はいくらでもありますが、東京は初雪が遅いことは確かですね。そんなこともあって、この時期の「小雪」はここ関東ではピンと来ないのですが、仙台・新潟・長野・名古屋・金沢・京都の人にとっては、実際とほぼ合っているようです。

 この時期の七十二候では、まず初候は「虹蔵不見」で、「にじかくれてみえず」と読みます。しかし虹が出現する条件は、雨が止んだ後に太陽が照り、しかも太陽高度があまり高くないことです。虹は太陽とは反対側に見えますから、太陽が高いと出現しません。夏の夕立後には条件がそろいますので、虹を見た経験も多いことでしょう。そのため虹は夏のものという印象がありますが、冬は太陽高度も高くはなく、条件さえ揃えば出現するはずです。

 次候は「朔風払葉」で、「さくふうはをはらう」と読んでおきましょう。「朔」とは一日(ついたち)とか、暦が最初に戻った日を意味します。そして十二支を方角に当てはめると、暦の最初の日は北を意味する子(ね)の日です。そういうわけで、朔風は北風を意味しています。北風が木の葉を散らすというのですから、これも地域差や樹木による差はあるものの、概ね実情に合っているのでしょう。

 末候は「橘始黄」で、「たちばなきばみはじむ」と読んでおきましょうか。橘の実が黄色くなり始めるというのですが、橘が現代の何に当たるかということはさておいて、柑橘類と理解すれば、我が家の周辺ではもうとっくに黄色くなっています。早稲種だからでしょうか。

 節気とは関係ありませんが、11月23日は勤労感謝の日です。このことについては、私のブログ「うたことば歳時記」に「私の授業 古墳時代の信仰(2)」と題してお話ししていますので、そちらを御覧下さい。


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