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なんで満月を「十五夜」って言うの

2024-09-09 08:35:01 | 私の授業
以下の話は、高校日本史の教諭を定年退職した私が、近くの小学校でお話したミニ授業の様子です。対象は6年生、10人。「 」内は担任や生徒の発言です。

なんで満月を「十五夜」って言うの

みんな元気かな?。今日はどんなお話をしようかな。そうだ、9月17日は十五夜のお月見だから、十五夜のお話をしましょうか。それにしても、何で十五夜って言うんだろう。17日の夜だから、今年は十七夜でもいいのにね。昔のカレンダーは、「暦」って言うんだけど、月の形の変化をもとにして作られていたんだよ。月が全く見えない日から、段々見えるようになり、満月になります。そしてまた少しずつ見える部分が欠けて、ついには全く見えなくなります。月が全然見えない日には、月はどこにあるんだろう。と言うか、月はどうして見えないんだろう。だれかわかるかな? 。「はーい、月は太陽と一緒に上って、また一緒に沈むから、太陽が明るすぎて見えないんだよ」。うん、正解です。よく知ってたね。びっくりしたよ。それでね、月は一日ごとに少しずつ出るのが遅くなるんだよ。出るのが遅くなるということは、沈むのが遅くなることでもあるんだけど、だいたい、一日に約50分遅くなるのさ。あくまでも平均するとだよ。月と太陽が、ほぼ一緒に出て一緒に沈む日、つまり月が見えない日を1日目と数えると、二日目には太陽が西に沈んでも、月は少し遅れて太陽を追いかけるように西に沈む。この日の月は、細い細い月が、運がよければ西の空の低いところに見える。そして三日目にはもう少しだけ太くなった月が、やっぱり西の空のやや高いところに見える。これが三日月だね。みんな三日月は見たことあるでしょ。夕方に西の空に見えたはずだよ。こうやって段々、月の見える部分が大きくなって、遂には満月になる。そしてこれ迄とは反対側が少しずつ欠けてきて、遂には見えなくなってしまいます。これで月の満ち欠けが一回りしたわけだ。この一回りするのに何日かかるのかな。「30日かな」。うん、よくできました。細かく言えば29.5日なんだけど、まあ約30日でよいでしょう。だから30日で月の形の変化が一回りするから、30日で一月って言うんだよ。もっとも現在のカレンダーでは、28日や31日の月もあるけどね。ついでだけど、24時間で一日と言うけど、日はお日様の日だから、太陽のことだね。太陽は24時間で一回りするように見えるから、太陽の一回りという意味で、24時間を一日、つまり一太陽って言うわけだ。今まで何も考えずに一月とか一日っていう言葉を使っていたと思うけど、その理由がわかったかな。「へーえ、そうなんだ。知らなかったよ」。またまたついでだけど、12カ月で1年というけど、年という言葉は、もともとは穀物が秋に実ることなんだ。だから今年の秋のみのりから来年のみのりまでを一みのりと数えて、12カ月間の期間の名前にしたんだよ。このことは小学生にはかなりむずかしいけど。
 (春の収穫祈願祭を祈年祭と呼びましたが、それは稔りを祈る祭を意味しています。つまり年とは、本来は期間の呼称ではなく、秋の稔りのことなのです。漢和辞典を検索してみて下さい)
 この月の一回りを時計に当てはめて考えてみましょう。ただし月は時計の針と反対回りなんだけどね。黒板に時計を書いて考えてみましょう。月が見えない1日目を12時とすると、満月は何時のところになるかな。「ちょうど半分だから、6時のところです」。そうだね。そうすると満月の日は何日目になるのかな。えーと、ひと回り30日の半分だから・・・・。「15日目」。よくだきました。もうわかったでしょ。何で満月の夜を十五夜って言うかが。「うん、わかったよ」。今までよく考えもしないで十五夜って言ってたと思うけど、15日目に満月になるからです。もうわかったよね。ついでのことにもう一つ。それじゃあ満月が上ってくる、つまり見えるようになる時間はいつごろかな。これはね、一日目の見えない月は太陽とほぼ一緒に動いているから見えないということだったのをヒントにすればわかるよ。「太陽が沈んだ頃ですか」。そうだね。よくできました。いいかい、満月は太陽と正反対の位置にあるわけだ。だから太陽が沈む頃に見えてくるんだね。
  あのね、今日は一杯新しいことを勉強したけど、おうちに帰ったら、お父さんお母さんにクイズで聞いてごらん。何でもそうなんだけど、勉強したことを誰か他の人に説明すると、忘れなくなるものです。先生が色々知っているのは、頭がいいからではなく、勉強したことを、毎年毎年生徒に話しているからなんだよ。何度も話しているうちに、覚えちゃうわけだ。だから今日勉強したことをよくよく覚えるために、クイズで聞いてみるんだよ。きっとよく知ってるねって褒められるから。そして17日の十五夜の夕方には、本当に太陽が沈む頃に月が出て来るか、東の空を眺めてみましょう。人に話すと覚えるよって言ったけど、実際に経験として確かめると、もっと忘れないものです。いいですか。満月が上ってくるのを確かめることを宿題としておきましょう。いいかい、わかったかな。「はーい」。それじゃあ今日のお話はおしまいにします。


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