東京ナイト

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「宮本常一著作集31 旅にまなぶ」

2010-03-09 23:20:21 | 
本は「宮本常一著作集31 旅にまなぶ」(作品社)



数年前、府中であった宮本常一の展覧会で買った本。
宮本常一の本を読んでいつも思うのは、視点が定まっていると言うこと。
文献なども参考にはするけれど、自分の目で見たものや聞いたことから類推して、人々の暮らしのありかたや成り立ちを明らかにしていく。その着実さと、そこからぱっと生まれる飛躍が読んでいて心地いい。

講演や様々な本のうち「旅」に関してまとめられたこの本も発見がいろいろ。
例えば、「家とムラ」という論文で、東日本と西日本の農家一軒当たりの建坪を比べると東の方がかなり大きい。耕作地も東のほうが大きく、ここから、東は必然的に大家族で経営することになるし、西は比較的、少人数の家族単位が見られるとの事。
家を継ぐのは東は長男で、西は必ずしもそうでなかった。

で、ここから明治・大正期に出た人材の話になるんだけど、西の方が多くの人材が出たらしい。それはどうやら、東は長男が家に縛られ、東京などに出られなかったため、相対的に西の人材の方が活躍したのではないかと宮本は推測している。
うーむ、なるほどねー。
家族構成の東西の違いから、様々な推理をはたらかせて、なるほどと思わせる飛躍は鮮やか。

他にも、宮本が地方の人々から様々な話を聞く中で、明治以降の学校教育を受けた人の話は、必ずしも鵜呑みに出来ないという指摘も面白かった。
つまり、読み書きが出来るので、昔読んだ事柄も自分の事例として話してしまう危険だけでなく、「自分の見聞にさらに自分の意見」が加わってしまうようになってきたとの事。単純な伝承者ではいられなくなってしまっているとの指摘は面白い。

などなど、宮本常一の本はいつ読んでも発見があるね。

ジャチェック・ウツコは問う「デザインは新聞を救えるか?」

2010-03-09 08:06:24 | Weblog
ネットサーフィンをしていたら興味深い動画を見つけました。

http://www.ted.com/talks/lang/jpn/jacek_utko_asks_can_design_save_the_newspaper.html

世界中で新聞の部数の減少が見られていますが、東欧で発行されている新聞は、「デザイン」を激変させることで新しいメディアとしての輝きを取り戻したとの事。
その立役者となったデザイナーさんの講演です。
とても明確で力強い発言に驚きました。
いろいろなヒントになりそうです。