インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

無我の境地

2013-11-24 21:26:23 | 潜在意識の世界
  雅太は、夢の中で紙に活字が書かれてあるのに気付いた。これまでも夢の中で活字を読んでいたことが何度かあった。そのたびに、雅太は何か重要なメッセージではと、必死に記憶しようと、夢の中でノートに転記していたのであった。むろん、夢のノートであるから、リアルな世界に持ち帰ることはできないわけで、雅太は自分の記憶力のなさを嘆くのであった。
 さて、雅太が活字を眺めていると、文字がずんずん増えていく。それはPC上で文字化けした感じで、得体の知れぬ記号が白紙を埋めていくのであった。雅太は、いつものごとく、「これは早く読み取らねば!」と焦ったのであるが、途中で何かばからしくなって、放棄した。
 そんなこと、どーでも良いではないか。夢の中で、雅太は何もかも考えるのを止めた。とたんに、より深い世界に、自分が送られていくのを感じたのであった。
 それは雅太の転生に関係するもののように思われた。古代のインドかも知れぬし、メキシコかも知れぬ。何か修行者が雅太を患者のように扱い、ベッドの上に乗せ、体の穴という穴から液体を抜き取り、壺の中に入れた。雅太は自我をも失った。深い闇の底に、意識が吸い込まれていった。そこは無我の境地であったのに違いない。夢であったが、まるで過去の体験を思い出すようなリアルな感覚であった。前世があれば、きっとそれだったに違いないと、雅太は直観した。
 体外離脱で面白い体験をしたがる自分が、何か次元の低いような存在にさえ思われた。夢の中の、無我の境地、これは何か恐ろしく崇高なもののように、雅太には感じられたのであった。