小説家の村上春樹さんの新作が初版50万部となり、話題を集めています

　2013年4月12日午前0時から販売された、小説家の村上春樹さんの新作小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」（発行は文芸春秋）が、話題を集めています。

　ある意味では、出版界・書店界は新作小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が注目され、たくさん売れるように話題をつくっています。



　東京都内の大手書店などでは、当日午前0時からの深夜営業によって同単行本を販売する様子がテレビニュースとして伝えられました。新刊を深夜に並んで購入する方々は、テレビ番組のキャスター・レポーターから、深夜に並んで本を買う動機などを質問され、それぞれ答える様子がテレビ映像として放映されました。

　3月15日に、文芸春秋は村上さんの3年ぶりの書き下ろし長編小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を4月12日に発売すると発表しました。そして、全国の書店やWebサイトの“ネット書店”で予約を受けつけ始めたところ、多くの予約が殺到したそうです。

　この結果、初版刷りの部数を当初の40万部から50万部に引く上げたとのニュースが流れました。ヒットする小説などが少なくなった現在、出版界・書店界によっては、久しぶりの救世主の登場です。

　2009年5月に発行された村上さんの前作の「1Q84」の時の騒動の再現で、売れる本の登場です。電子書籍が売れ始め、書店に本を買いに行く機会が減っている時に、村上さんの今回の本は救世主です。

　村上さんの今回の本は、事前には小説のタイトルと価格だけが公表され、以下のような談話だけが公表されました。「『1Q84』がいわばジェットコースター的な物語だったので、それとは少し違うものを書いてみたいという気持ちがありました。それがどんなものなのか、書いてみないとわからなかったけど」との談話を発表しています。

　WebサイトのAmazonの「村上春樹」のページを見ると、4月14日午前0時時点で、新作小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の書評が51件も掲載されています。その多くは、「これまでの作品と代わり映えしない」という酷評が半数以上のように感じました（当然、書評の全部は読んでいません）。

　出版界・書店界を含め、初版の50万部を購入した方々も、イベントとして楽しまれているという気がします。

　出版界・書店界は売れる本が少ないために、村上さん以外の“スター作家”として、最近ではミステリー作家の東野圭吾さんをスター作家にしています。新作「夢幻花」(むげんばな)をPHP研究所が4月18日に発行するという新聞広告が載っています。

　さらに、幻冬舎が「プラチナデータ」の文庫本を出したと、映画「プラチナデータ」の映像写真を効果的に利用して宣伝しています。光文社も「カッコウの卵は誰のもの 」の文庫本を発行したとの宣伝をしています。これらの販売促進活動は連動しているように感じます。スター作家の東野さんの作品は連動して売れるようです。注目されるヒット作品が少ない現在、ある程度のヒットは見込める作家を出版界と書店界は連携して利用しています。