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ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

京都大教授の講演から再生可能資源としての植物のすごさを再確認しました

2012年03月14日 | イノベーション
 京都大学が開催した「未来の自動車は“植物”で創る」という生存圏シンポジウムを拝聴しました。京大生存圏研究所が中心になって進めている、植物由来の「セルロースナノファイバー」を利用する研究開発成果の発表会です。

 「未来の自動車を“植物”で創る」とは、植物を原料とするプラスチックと、植物を原料とするセルロースナノファイバー(CNF、セルロースミクロフィブリル)を強化繊維として組み合わせて、自動車ボディーなどの部品を実用化しようとする研究開発プロジェクトです。





 現在、広範に利用されているプラスチックは、石油を基に合成した人工有機材料です。これに対して、最近話題になっているのは、“バイオプラスチック”と呼ばれる植物原料のプラスチックです。実用化が進んでいるのは、トウモロコシに含まれているデンプンや、サトウキビから得られる糖分から乳酸をつくって、ポリ乳酸というバイオプラスチックを合成するものです。

 このポリ乳酸は、水分によって加水分解されて低分子化され、土壌などの環境中の微生物などによって最終的には二酸化炭素と水にまで分解される“生分解性プラスチック”として注目されています。

 最近、バイオプラスチックが注目されている理由は、石油の基になる原油の枯渇が予想され、原油価格の高騰が続いているためです。その石油代替の候補として、植物を原料にする基盤となる研究開発が始まっています。例えば、米国では収穫されるトウモロコシの約40%は、バイオエタノールの原料になっています。ガソリンの代わりになる、バイオエタノールをつくっており、食料となるトウモロコシを原料にしている点が議論になっています。

 同シンポジウムの基調講演「植物バイオマスの総合的利用に向けたリグニン代謝工学」を、京大の梅澤俊明教授が話されました。内容はとても難しいものでした。



 同講演の冒頭に、植物の持つすごい潜在能力を強調されました。針葉樹などの大木は背丈50メートルの大木として立っている仕組みは、細胞壁をセルロースナノファイバーという繊維を「リグニン」「ヘミセルロース」という“接着材”が結合させている構造体になっているそうです。考えてみると、一見すると軟らかい植物が、強風にも耐えて立っています。

 リグニンは「脱水素重合生成物である」と、学術的に説明されました。3次元の網目構造を持つ巨大な高分子です。とても複雑な構造をとっているので、すべてが解明されていないそうです。

 稲なのどのイネ科植物が水田ですくっと立っていられるのも、セルロースナノファイバーという繊維を「リグニン」「ヘミセルロース」で接着した細胞膜のおかげです。自然界の植物が持つ「セルロースナノファイバー」「リグニン」「ヘミセルロース」を人類が本格的に利用できれば、大きな可能性が高まります。

 植物はある程度の環境を与えれば、どんどん増える再生可能資源だからです。

 梅澤教授は、再生可能資源として、リグニンを利用するための先進的な研究開発の「リグニンの代謝工学」を進めています。その研究開発成果を期待したいと思います。

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