ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

アントレプレナーシップセミナーで伝統工芸に新価値を与える講演を拝聴しました、

2015年02月27日 | 汗をかく実務者
 アントレプレナーシップ(起業家)セミナーとの冠をつけた「伝統産業に新価値創造!新たな『市場』を生み出す取り組み」というタイトルの講演を伺いました。

 当初は、このタイトルから、お役人が支援するような建前的な態勢の話を想像していました。実際には中身がしったりしたいい話でした。

 この講演では、株式会社和える(あえる、東京都港区)の代表取締役の矢島里佳さんと株式会社せん(秋田市)の代表取締役の水野千夏さんのお二人が登壇しました。偶然ですが、お二人ともに26歳という若い起業家です。



 この講演会は慶応義塾大学藤沢キャンパスにある應藤沢イノベーションビレッジと経済産業省傘下の中小企業基盤整備機構が主催したものです。若い起業家の方々が新規事業お越しに励んでいる実践例を示すことが目的のようです。

 代表取締役の矢島里佳さんは和服姿で自社の事業モデルを語ります。



 日本の伝統工芸の良さを和服で表現しています。分かりやすい言葉で、考えを伝えます。

 和えるは、日本各地の伝統工芸品を良質な製品として企画して販売する事業を展開しています。たとえば、幼児が離乳食を食べ始める時の食器として、愛媛県の砥部焼という陶器製と徳島県の大谷焼という磁器製、石川県の山中漆器の3種類の食器を販売しています。

 その特徴は、陶器も磁器も漆器も形状デザインは同じで、食器の内側に“返し”と呼ぶわずかな出っ張りを設け、幼児がこぼしにくいデザインにしています。飽きがこないシンプルなデザインで、日本の伝統工芸の良さを表現しています。

 想像ですが、少子高齢化が進む日本では、両親や両方の祖父・祖母は伝統工芸として磨かれた良質な食器を子供・孫に与えたいというニーズに答えています。

 株式会社和えるが販売する代表商品は、藍染めの産着(うぶぎ)、ファイスタオル、靴下の3点セットを桐箱に詰めた“出産祝い”セットです。定価は2万5000円(税別)です。

 幼児のころから、日本の伝統工芸である藍染めを身につけて育った子供は、日本の伝統工芸の良さを肌で感じ「日本のホンモノの価値観を持つだろう」と伝えます。日本の藍には「抗菌作用や紫外線の遮断、防臭、防虫などの優れた性質を持っていることを伝え、藍染めの伝統を後生にも伝えたい」とも語ります。

 この“出産祝い”セットは最初の商品であり、株式会社和えるの代表商品に育っているそうです。

 代表取締役の矢島里佳さんは慶応大学の学生だったころに、ビジネスプランコンテストで2009年、2010年に入賞し、自分の考えた日本の伝統産業を基にした事業化を図ります。財団法人東京都中小企業振興公社が主催した2010年のビジネスプランコンテストでは「学生起業家選手権」優秀賞受賞を受賞します。そして、日本各地にある伝統産業の製品の価値があまり市場として受け入れられないという事実を知り、その市場価値を再生する事業を始めます。

 そして、2011年3月16日に株式会社和えるを設立します。現在、資本金は500万円です。創業当時は製品を全品買い取る仕組みを貫いたために、事業資金が不足する”黒字倒産”の危機にも面したそうです。

 現在は、直営店「aeru meguro」を東京都品川区に出店し、さらに今年は京都市にも直営店を設ける計画です。事業運営の安定化に努めているようです。

 この続きは次回になります。

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3 コメント

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若い方が起業 (アイアン)
2015-02-27 06:27:26
現在の若者の中にも、しっかりと考えて、既存の価値を変革して新市場をつくる仕事をする方が出ているのですな。
こうしてみると、ビジネスプランコンテストも役に立っています。
もちろん、その中のごく一部が市場で勝ち残るのでしょが!
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若いアントレプレナー (与作)
2015-02-27 11:29:25
若い女性のアントレプレナーが頑張っている話はいい話です。
人間、真面目に考えると、いいプランができます。
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若い起業家 (ももたろう)
2015-02-27 12:53:43
若い女性の起業家が日本の伝統産業を生かす製品化・事業化を考え、実践しているいい話です。
若い柔軟な発想がいい結果をもたらしています。
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