ヒトリシズカのつぶやき特論

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人気ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」を再読した話の続編の続きです

2019年10月22日 | 
 人気ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」を再読した話の続編の続きです

 関東地方に台風19号が近づく2019年10月12日は強風・雨の天気だったために“晴耕雨読”となり、新刊の「希望の糸」を再読しました。

 この単行本「希望の糸」は、2019年7月5日に講談社から発行された単行本です。価格は1700円+消費税です。



 この単行本「希望の糸」では、3家族のそれぞれの人生が交錯し、ある事件が起こります(正確には主に2家族の人生が交錯し、事件が起こります)。

 以下は、このミステリーのネタばらしのさわりです。この点を留意して以下をお読みください。

 そのミステリーの中核は、東京都目黒区自由が丘で喫茶店「弥生茶屋」を経営していた女性経営者の花塚弥生(はなづかやよい)が何者かに殺害された事件です。

 この事件を担当する警視庁捜査一課は、「自由が丘喫茶店主殺害事件特別本部」を設置し、捜査一課の松宮修平(まつみやしゅうへい)らが担当します。

 捜査一課の松宮刑事は、この殺人事件が起こった背景に気がつき、事件の解明によって「一人の少女の運命を変えてしまうような秘密を、その親以外の人間が暴いていいわけがない」と苦悩します。

 今回は「一人の少女の運命を変えてしまうような秘密」とは何かは明らかにしません。「人口受精時に起こった診療ミスが、その原因です」とだけ記述します。

 捜査一課の松宮刑事の上司は、松宮刑事の従兄弟の加賀恭一郎(かがきょういちろう)です。あの人気単行本「新参者」シリーズの主人公である日本橋警察署にいた加賀恭一郎は、数年前に警視庁捜査一課に異動していました。

 その加賀恭一郎は「刑事というのは、(事件を)解明すればいいというものではなく、取調室で暴かれるのではなく(事件に関係した)本人たちによって引き出される真実というものがある。その見極めに頭を悩ますのが、いい刑事だ」と伝えます。

 この加賀の言葉は、東野圭吾さんの名著ミステリーの「容疑者Xの献身」で、探偵役の天才物理学者・教授の湯川学もつぶやいたものです。

 この「希望の糸」では、最後の部分で、探偵役の松宮刑事の生い立ちも明らかになります。

 松宮刑事の父親の真次は、金沢市の老舗旅館「たつ芳」(たつよし)の一人娘と結婚します。この父親は腕前のいい料理人として、老舗旅館で仕事をしていました。

 老舗旅館を経営する夫妻から、松宮刑事の父親の真次は、跡取りをほしがる夫妻から「一人娘と結婚してほしい」といわれます。婿養子になります。そして、芳原亜矢子が生まれ、その後に成人し、「たつ芳」の女将になります。

 芳原亜矢子が6歳の時に、母親は乗っていた乗用車が事故を起こし、半身不随になります。この時に、父親の真次は料理人修行として関東地方の料亭に出ていました。

 この乗用車事故によって、父親の真次は金沢市の老舗旅館「たつ芳」に戻り、半身不随の妻を介護しながら、一人娘の亜矢子を育てます。

 実は、母親の正美は高校生時代に、同級生の女性と同性愛者として、愛し合うようになり、成人になってからは、お互いに偽装結婚し、それぞれ子どもを設けます。

 父親の真次もこの事実を知り、一人娘の亜矢子が成人したら、正式に離婚し、別の人生を歩むことで納得していました。このため、関東地方の料亭で料理修行中に、松宮刑事の母親と知り合い、事実婚になります。

 しかし、母親の正美の相手の女性の夫が怒って、この二人を乗用車に乗せて、無理心中を図り、母親の正美が生き残り、半身不随になます。

 このため、父親の真次は、まだ正式に結婚していなかった松宮刑事の母親に分かれを告げ、金沢市の老舗旅館「たつ芳」に戻ったのでした。

 今回の新刊「希望の糸」では、もう一つの人生の物語の謎解きが描かれていて、もの語りの中身に深みを与えています。

 人気ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」を再読した話の続編は、弊ブログの2019年10月16日編をご覧ください。

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
単行本「希望の糸」 (桃太郎)
2019-10-22 15:06:51
東野圭吾さんの新刊単行の「希望の糸」はとても面白そうです。
捜査する捜査一課の松宮刑事の生い立ちが別の話として進んでいく点が面白い仕掛けです。
従兄弟の加賀恭一郎も登場する点もいいですね。
なかなか深い仕掛けです。

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桃太郎さま (ヒトリシズカ)
2019-10-22 16:31:47
桃太郎さま

コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。

人気ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」は、とても面白い傑作です。

殺人事件の捜査を担当する松宮刑事の生い立ちが別の話として並行して進み、とてもよくできた仕掛けです。
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東野圭吾さん (JJJ)
2019-10-22 17:08:46
東野圭吾さんの新刊の「希望の糸」は,なかなか複雑な物語のようですね。
お馴染みの加賀恭一郎が言う「刑事というのは、(事件を)解明すればいいというものではなく、取調室で暴かれるのではなく(事件に関係した)本人たちによって引き出される真実というものがある。その見極めに頭を悩ますのがいい刑事だ」は、いい言葉です。
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新刊の「希望の糸」 (虞美人草)
2019-10-22 19:14:23
東野圭吾さんの新刊の「希望の糸」は、とても面白いミステリーです。
最初は話が複雑で、どう展開して行くのか分かりませんでしたが、途中から話が見えてくる物語です。
捜査一課の松宮修平刑事はいい人です。
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JJJさま (ヒトリシズカ)
2019-10-22 22:06:44
JJJさま

コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。

人気ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」はとても出来がいいミステリー作品です。

加賀恭一郎が言う「刑事というのは、(事件を)解明すればいいというものではなく、取調室で暴かれるのではなく(事件に関係した)本人たちによって引き出される真実というものがある。その見極めに頭を悩ますのがいい刑事だ」という発言はその通りです。
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虞美人草さま (ヒトリシズカ)
2019-10-22 22:10:40
虞美人草さま

コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。

東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」はよく考えられた内容のいいミステリー作品です。途中から話の流れが見えて来るまでは、なかなか複雑なストリーです。
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東野圭吾さん (鎌倉市民)
2019-10-23 05:35:14
東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」は、なかなか複雑な話が入り組んだ傑作との印象を持ちました。
あの「新参者」シリーズの加賀恭一郎刑事も登場するので、面白そうです。
東野圭吾さんは様々なことを物語に盛り込む名人です。
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鎌倉市民さま (ヒトリシズカ)
2019-10-23 06:23:35
鎌倉市民さま

コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。

東野圭吾さんの新刊単行本の「希望の糸」はなかなか複雑な話が入り組んだ傑作です。

今回の殺人事件を担当する捜査一課の松宮刑事の生い立ちも明らかになる別の話が、この小説を傑作にしています。
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東野圭吾さん (落花生)
2019-10-23 18:53:52
東野圭吾さんの「新参者」シリーズが好きです。
加賀恭一郎が犯罪を犯す人間のサガを、人間とは何かを考えながら、追究する姿勢が好きです。
その加賀恭一郎の従兄弟の松宮修平刑事も魅力ある人物のようです。
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落花生さま (ヒトリシズカ)
2019-10-23 20:39:07
落花生さま

コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。

東野圭吾さんの名作の「新参者」シリーズは人気があるミステリーです。加賀恭一郎が犯人の動機を探り、人間の深いサガを暴いていく名作が続きます。

また人情も語ります。
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