昨日の弊ブログの2014年10月8日編の続きです。米国カリフォルニア大学教授の中村修二さんをはじめとする3人がノーベル物理学賞を受賞したことに関連するものです。
2014年10月6日に日本経済新聞紙朝刊は中面に、見出し「企業、報酬維持の公算」という、日本の特許法改正の動向を伝えています。
この記事はサブ見出しに「社員の発明、会社帰属へ 議論進展」とうたっています。日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞紙 電子版にも掲載されています。


特許庁が2014年6月18日に、特許制度に関する有識者委員会を開き、企業の従業員の研究者などが発明した“職務発明”について論点整理を行ったことが議論の始まりです。企業の社員の発明にともなう特許権の帰属を、条件付きで社員側から企業側に移す方向で議論を進める方針を明らかにしています。
今回、10月6日に日本経済新聞紙が報じた見出し「企業、報酬維持の公算」の記事は、8月末に日本の企業側からある種の“譲歩案”が示され、早ければ現在開催されている臨時国会に法改正案が提出される流れになりつつあるという記事です。
一般の方があまり詳しくない特許法の改正の動きを伝えている“タイミングのいい記事”でした。ところが、2日後の10月8日に、その議論のきっかけを与えた人物の一人である米国カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校教授の中村修二さんが、今年のノーベル物理学賞を受賞するという大ニュースが報じられます。
企業の従業員の“職務発明”に対する不満による裁判は、既にオリンパスや日立製作所などの従業員が起こし、ある程度の金額での判決が出て、“和解”していました。しかし、中村さんが元の勤務先の日亜化学工業(徳島県阿南市)を相手に訴えた裁判では、2011年に東京地方裁判所は「請求額の200億円を支払うよう」に命じる判決を下し、金額の多さなどが大きなニュースになります。この判決内容を巡る一連の報道などによって、企業側は従業員の“職務発明”に対して対応の整備を求められます。
現在の特許法では、特許権は発明した社員に帰属(所有)するのが原則であり、勤務する企業側にその権利を譲渡するなどした場合には発明の対価を受け取ることができるとなっています。
今回の特許法改正では、会社側が正当な報酬を支払う体制の確保などを条件に、特例として特許権を従業員側から企業側のものとするように制度を見直す方向のようです。
今回の特許法改正では、「従業員の職務発明に対する対価を合理的に算定する」ように企業に求めます。大企業では、既に従業員からの申請に基づき、当該発明に対する発明者の特定を行い(実はこれが予想以上に困難)、2~3カ月かけて対価を算定する体制をつくり始めています。
企業の従業員は当該特許に対する“対価請求権”の代わりに、“報償請求権”を得ます。かなり大胆にいえば、特許訴訟を裁判所ではなく、企業内で行うようなものです。これに対して、連合や知財権研究者などは「企業が支払う従業員への対価が引き下げられる」との懸念を表明しています。
10月8日のノーベル物理学賞は学術面での評価です。一方、発明に対する対価は実務面での事業規模などから産出される評価です。ある意味、別の視点ですが、今回のノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんの一連の言動が、今回の特許法改正に影響を与えるのか注目されます。
2014年10月6日に日本経済新聞紙朝刊は中面に、見出し「企業、報酬維持の公算」という、日本の特許法改正の動向を伝えています。
この記事はサブ見出しに「社員の発明、会社帰属へ 議論進展」とうたっています。日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞紙 電子版にも掲載されています。


特許庁が2014年6月18日に、特許制度に関する有識者委員会を開き、企業の従業員の研究者などが発明した“職務発明”について論点整理を行ったことが議論の始まりです。企業の社員の発明にともなう特許権の帰属を、条件付きで社員側から企業側に移す方向で議論を進める方針を明らかにしています。
今回、10月6日に日本経済新聞紙が報じた見出し「企業、報酬維持の公算」の記事は、8月末に日本の企業側からある種の“譲歩案”が示され、早ければ現在開催されている臨時国会に法改正案が提出される流れになりつつあるという記事です。
一般の方があまり詳しくない特許法の改正の動きを伝えている“タイミングのいい記事”でした。ところが、2日後の10月8日に、その議論のきっかけを与えた人物の一人である米国カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校教授の中村修二さんが、今年のノーベル物理学賞を受賞するという大ニュースが報じられます。
企業の従業員の“職務発明”に対する不満による裁判は、既にオリンパスや日立製作所などの従業員が起こし、ある程度の金額での判決が出て、“和解”していました。しかし、中村さんが元の勤務先の日亜化学工業(徳島県阿南市)を相手に訴えた裁判では、2011年に東京地方裁判所は「請求額の200億円を支払うよう」に命じる判決を下し、金額の多さなどが大きなニュースになります。この判決内容を巡る一連の報道などによって、企業側は従業員の“職務発明”に対して対応の整備を求められます。
現在の特許法では、特許権は発明した社員に帰属(所有)するのが原則であり、勤務する企業側にその権利を譲渡するなどした場合には発明の対価を受け取ることができるとなっています。
今回の特許法改正では、会社側が正当な報酬を支払う体制の確保などを条件に、特例として特許権を従業員側から企業側のものとするように制度を見直す方向のようです。
今回の特許法改正では、「従業員の職務発明に対する対価を合理的に算定する」ように企業に求めます。大企業では、既に従業員からの申請に基づき、当該発明に対する発明者の特定を行い(実はこれが予想以上に困難)、2~3カ月かけて対価を算定する体制をつくり始めています。
企業の従業員は当該特許に対する“対価請求権”の代わりに、“報償請求権”を得ます。かなり大胆にいえば、特許訴訟を裁判所ではなく、企業内で行うようなものです。これに対して、連合や知財権研究者などは「企業が支払う従業員への対価が引き下げられる」との懸念を表明しています。
10月8日のノーベル物理学賞は学術面での評価です。一方、発明に対する対価は実務面での事業規模などから産出される評価です。ある意味、別の視点ですが、今回のノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんの一連の言動が、今回の特許法改正に影響を与えるのか注目されます。