ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその333-愛と希望の街

2018年11月10日 | 邦画
格差社会への強烈なメッセージ。

今の日本は裕福になったものだ。
私の幼い頃には、貧乏な家庭が多く、私の家庭もその例にもれなかった。
しかし、私の記憶では、1980年代以降、日本に「中流階級」が確立され、昔の貧困層も数を減らしたと思っている。
今や日本の家庭に、その貧乏を振り返る者も、興味を抱く者もいないだろう。
本日紹介する映画は「愛と希望の街」
監督大島渚のデビュー作である。
ストーリーを紹介しておこう。

正夫は貧困層の家庭で暮らす中学生。ある日彼は街で富裕層の家庭で暮らす京子と言う女子高生と出会う。
純真な京子は、正夫の家庭環境に哀れみを持ち、彼と友達となる。
正夫も京子と心が通じあい、お互い良い友達関係を続けていたのだが.........

ストーリーの後半で、京子は正夫がある「詐欺」をしていたことを知る。
彼女は大いに怒り、悲しみ、正夫の元を離れてゆく。
しかし、正夫は貧困のあまり、それをしなければ生活ができなかったのだ。
この映画には、当時(昭和30年代)の格差社会に対する強烈なメッセージを発信している。
何故同じ人間なのに、何も悪いことをしてもいないのに貧富の差に苦しまなければいけないのか。
この映画は観る者の心を締め付けてやまない。
そしてラスト、光さえ飲み込んでしまう、ブラックホールのような、救いようのない悲しさに観るものは心うたれるだろう。
この映画は、間違いなく大島渚の代表作であり、傑作である。
まだ観ていない方には、是非観ることをお勧めする。

1959年日本製作、モノクロ、62分、監督:大島渚


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