ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその82-笙野頼子

2013年05月18日 | 
圧倒される文章のうねり。

小説には様々なジャンルが存在する。
そして様々な文章がそこに収められている。
言葉は文章として形成されてゆきそれが物語へと発展してゆく。
この物語の中に読者である我々は引き込まれてゆくのだ。
文章自体に魅了されて引き込まれる場合、物語の面白さの故あって引き込まれる場合それは人それぞれによって違うだろう。
今回紹介する小説「タイムスリップコンビナート」などは前者の「文章によって引き込まれていく」一編である。
「去年の夏ごろである。マグロと恋愛する夢を見て悩んでいたある日、当のマグロともスーパージェッターとも判らんやつからいきなり電話が掛かって来て.....」
まったく意味不明の文章からこの小説ははじまる。
物語のあらすじを紹介したいがそのようなものはこの一編にはない。
全てイメージを言葉にした文章展開である。
その文章は読み進むうちに徐々にうねりを上げそのグルーヴの中へ読むものを引きずり込む。
それがなんとも言えぬ快感になり、いっきに読み終われるだろう。
この小説は難解な小説ではない。
私は映画でも音楽でも小説でもそれに接して「判らない」ものは存在しないと思う。
ようはそれ自体自分合っているか、それが好きか嫌いかの判断で良いのである。
その点この「タイムスリップコンビナート」私の好きな小説であり感性ともベネフィットしたものと言える。
あまり一般的な小説の部類には入らないの多くの方にお勧めはできないが興味を持たれた方は一読する価値はあると思う。

著者笙野頼子、芥川賞受賞作品。


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