ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその109-東京物語

2013年10月08日 | 邦画
親子の絆を問いただす日本映画の傑作の一本。

人間、生まれて成長していく過程で様々な人々と巡りあう。
付き合いの浅い人、深い人それぞれやはり「縁」と言うもので結ばれているのだろう。
人としての最大でかつ幸せな「縁」は愛する人との巡りあいにある。
老若関係なく男女の結ばれる媒体となるのはこの「縁」なのである。
自分を苦しい思いをして生んでくれた母親、一緒になって育ててくれた父親。
両親と自分ある意味深い「縁」で結ばれているのであろう。
そして家庭という環境で「絆」が両親と自分の間に芽生えてくる。
今回紹介する一本はこの親子の絆とはなにかと問いかける日本映画屈指の名作「東京物語」である。
ストーリーを紹介しておこう。
尾道に暮らす老夫婦周吉ととみは東京へ旅行に行くことにする。
今では離れて東京で暮らす子供たちを訪ねていこうというのだ。
子供たちに逢うのを楽しみにしている周吉ととみであったが、すっかり自分たちの家庭を持ち独立している子供たちは二人をけむたがる。
唯一やさしくしてくれたのは戦死した息子の嫁であった。
二人は満足した様子で尾道へと帰ってゆくのだが......
劇中で二人を煙たがった娘が小遣い銭を渡し二人を熱海旅行へ追いやる。
この一連のシークエンスの侘しさ儚さは未だに私の記憶に残っている。
監督は小津安二郎。
日本映画の巨匠であり欧州の映画監督から崇拝されている人物である。
以前このブログで紹介した「ルアーヴルのくつみがき」カリアスマキ監督も彼を崇拝している。
小津安二郎監督の映画は常に平凡である。
平凡な日常や親と子の絆を似たような題材で撮る。
しかし一作一作違った味があり全作品を観ても飽きることなど無い。
昨日このブログで紹介した「黒澤明」と「溝口健二」彼らに小津安二郎を加えたのが「日本映画三巨匠」である。
渡し自身とても小津監督は好きである。
とくに彼はふてぶてしい才能を持った監督である。
彼なら恋愛物からアクション物まであらゆる映画を撮れた世界でも珍しい実力を持った監督であると思う。
しかし彼はそれをせず映画人生を「平凡な日常」と「親と子の絆」だけにこだわり映画を撮り続けた。
日本だけではなく世界を代表する一本と言っても良いこの作品、まだ観ていない方には是非観ることをお勧めする。
1953年日本製作、1953年11月日本公開、モノクロ136分、監督:小津安二郎

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