秋田の小児科医、敦子さんの、これがデビュー作。敦子さんらしいデビューの仕方が、嬉しい。食べるという人にとっては何よりの楽しみの中で、アレルギーという制限のあることの辛さ。そんな辛さを抱えている女の子の視点で、わかりやすく食物アレルギーのことを教えてもらえる紙芝居です。
敦子さんのお手紙に、昨年調布の小学校で食物アレルギーによるアナフィラシキーで女の子が亡くなりました。適切な対応をしていれば救えたかもしれない命でした。とありました。覚えています。チーズ入りのチゲをおかわりしたんでしたっけ。私の周囲にも、いました。卵が食べられないって、本当に大変。お菓子でもパンでも、麺類のつなぎに入っていることもあったりで、それを食べないようにして暮らすのは、食べるという楽しみで気を抜けないという現実です。
ちょっとくらい、大丈夫でしょ。なんていうことが命取りになることもある。それは怖いことだけれど、知っていなくてはいけないこと。好き嫌いではない、食べたいんだけど、食べられないんだ。そんなことを、敦子さんは、子どもたちがわかるように、きちんと伝えてくれました。
生きていく上で大事なことを伝える手段として、紙芝居というのは、とても有効なのではないでしょうか。もっと活用されていい分野。テレビやPCよりも、ずっと自分たちの身近で起こりえることとして、子どもは見てくれるのではないでしょうか?
これは、集団の場で、みんなで見てほしいもの。幼稚園で、小学校で、ぜひ活用をしてほしいものです。うちに眠らせているのは、もったいない。近所の幼稚園に寄贈させていただこうと思っています。
敦子さん、おめでとうございます。これからも小児科医ならではの作品を、どんどん世に出してください。