石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

サウジアラムコと五大国際石油企業の2019年業績比較 (2)

2020-03-23 | 海外・国内石油企業の業績

(アラムコ1社で5社合計と同じ生産量!)
1. 原油・ガス生産量 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-31.pdf 参照)
 昨年のアラムコの原油生産量は日量平均990万バレル(以下B/D)であり、天然ガス生産量は石油換算で330万B/D、あわせて1,320万B/Dであった。原油生産量及び天然ガスとの合計生産量は世界一である。IOC5社で原油生産量が最も多いのはExxonMobilの239万B/Dであるが、アラムコはExxonMobilの4倍強の生産量を誇っている。そして最も原油生産量が少ないBP(129万B/D)と比べると約8倍である。

 一方、ガスの生産量はアラムコの330万B/D(石油換算)をIOC5社と比較すると最も多いShell(179万B/D)はアラムコの54%、最も少ないChevronでもアラムコの3分の1弱であり、原油生産量ほどの大きな差は無い。因みに五大企業の石油と天然ガスの合計生産量は1,320万B/Dでありアラムコ一社と等しい。

 各社の原油と天然ガスの比率はアラムコが原油75%に対しガス25%で原油はガスの3倍である。これに対してIOC5社はExxonMobil、Chevron及びTotalの原油:ガス比率は3対2であり、Shell及びBPは原油とガスがほぼ同量である。アラムコはIOC5社に比べ原油の比率がかなり高い。

 これは両者のガスに対する取り組み方の違いにあると考えられる。即ちIOC5社の場合、近年天然ガスに対する需要が増加しているため独自の開発生産に力を入れており天然ガスの比率が年々高まる傾向にある。これに対してアラムコは原油の生産販売を目的とする国営石油会社であり、これまで天然ガスは国内の発電・造水向けであったためガス田開発にさほど積極的でなかったことがあげられる。

アラムコの場合、天然ガスは原油生産に伴って生産される随伴ガスを自家燃料として消費し、或は国内の電力・海水淡水化国営企業に供給している。最近では電力・海水淡水化用の需要が急増しており、今後は天然ガスの生産比率が高まるものと予測される。

 なお、上記の通りアラムコとIOC各社の原油生産量には大きな格差があるが、下記に示すように売上高(Revenue or Sales)に目立った差がない(Shellはむしろアラムコより売上高が大きい)ことに留意する必要があろう。

(続く)

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