石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

サウジアラムコと五大国際石油企業の2019年業績比較 (3)

2020-03-26 | 海外・国内石油企業の業績

(メジャー5社の合計額を2倍弱上回るアラムコの利益!)
2.純利益(Net income) (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-32.pdf 参照)
 昨年のアラムコの純利益は882億ドルであった。これに対してIOC5社は最も利益の多いShellが158億ドル、これに続くのがExxonMobil 143億ドル、Total 113億ドル、BP 40億ドルであり、Chevronが最も少ない 29億ドルであった。

 なお「純利益(Net income)」の言葉は各社決算資料で下記のごとく表現が異なるが、「株主に帰属する純利益」と称する場合が多いようである。

Saudi Aramco: Net income
Shell: Income/loss attributable to shareholders
ExxonMobil: Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)
Total: Consolidated net income (Group share)
BP: Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
Chevron: Net income

 上記のごとくアラムコの純利益はIOC各社と大きな開きがあり、アラムコを100とした場合、各社の利益水準はShell 18、ExxonMobil 16、Total 13、BP 5、Chevron 3となる。いずれもアラムコの2割以下であり、5社でトップのShellでもアラムコの6分の1、Chevronは30分の1にとどまっている。またIOC5社の利益を合算しても484億ドルであり、アラムコ1社の半分強にすぎない。

 国営企業として長い歴史を有し既に確固たる収益基盤を確立しているアラムコと日々競争に晒され利益の確保に苦闘する純粋の民間企業であるIOC5社の利益を単純に比較することは無謀とも言えよう。しかし国際会計基準に沿った決算書類の費目を横並びに比較することで格差の理由がある程度浮かび上がると考えられる。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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石油と中東のニュース(3月26日)

2020-03-26 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)

・サウジ、外出禁止時間を午後3時~翌朝7時までに延長。違反者は罰金1万リアル

・UAE、ドバイとアブダビの空港閉鎖

・ドバイ、民間企業に従業員8割以上の在宅勤務を指示

(石油関連ニュース)

・英バークレー銀行、今年の原油価格見通しを12ドル下方修正。Brent $31, WTI $28に。 

・GCC各国の国営石油企業、油価下落で設備投資・経費削減。アラムコは投資を250-300憶ドルに


(中東関連ニュース)

・アブダビ証券取引所を株式会社化、アブダビ開発ホールディングADQ傘下に

・ドバイの医療コングロマリットNMC、会社ぐるみの詐欺容疑で負債66億ドルに膨らむ

・トルコ司法当局、サウジ人ジャーナリスト殺害事件で容疑者20人を起訴。 *

 

*「どうなる?カショギ事件の幕引き」(2019年4月)参照。

 

 

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