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(利益水準が低い日系2社、各社の戦略で明暗分かれたメジャー5社の上流部門!)
4.上流・下流部門の業績比較
JXTG及び出光は元来石油精製事業を専業とし市場も日本国内にとどまっていた。その後、吸収合併を重ね或は事業の多角化を進めた結果、例えばJXTGは日本鉱業の吸収合併により非鉄金属事業が同社の事業の一翼を占めている。また出光は豪州石炭事業或は高機能材などに手を広げている。
これに比べメジャーズは創業当初から石油・天然ガスの開発生産に取り組み、また世界を相手に事業展開を行うエネルギー専業企業としての長い歴史を有している。JXTG、出光両社も石油天然ガスの開発に取り組んでいるが、メジャーズなど世界のエネルギー企業に比べて大きく出遅れている。
ここではJXTGについては決算書が示すセグメント別業績の内、エネルギー事業(いわゆる石油下流部門)と石油・天然ガス開発事業(いわゆる上流部門)の営業利益を取り上げ、また出光もセグメント別営業利益の燃料油部門と資源部門をそれぞれ下流あるいは上流部門とみなしてメジャー5社と比較する。
4-1上流部門の利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-13.pdf 参照)
日系2社の上流部門の利益はJXTGが768億円(7億ドル)、出光は80億円(7,400万ドル)であった。これに対してメジャー5社の上流部門の利益はExxonMobilが61億ドルと圧倒的に多く、これに次ぐのがBP27億ドル、Total20億ドルである。Shell及びChevronは共に赤字であり、その額は前者が▲8億ドル、後者が▲67億ドルであった。
メジャーズのうちChevronは今期、シェールガス・石油鉱区を積極的に除却し、またShellも天然ガスへの移行を促進するなど上流事業の再構築を行っている。このような戦略の違いが上流部門の今期利益に反映していると考えられる。
4-2下流部門の利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-14.pdf 参照)
日系2社の下流部門の利益は、JXTGが90億円(8,300万ドル)の欠損、出光は213億円(2億ドル)の利益であり明暗を分けている。一方メジャーで下流部門の利益が最も多いのはBPの14億ドル、続いてShell の10億ドルであった。その他3社はいずれも10億ドル未満であり、それぞれExxonMobil9億ドル、Chevron 6.7億ドル、Total 5.8億ドルであった。メジャーズ5社の利益はいずれも出光を上回っており、BPは出光の7倍である。
なお各社の上流部門と下流部門の利益を比較すると、ExxonMobil、BP、Totalのメジャーズ3社とJXTGは上流部門が下流部門の利益を上回っており、Shell、Chevron及び出光は下流部門の利益が上流部門を上回っている。
以上
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