BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html
(石油自給率が改善する米国、悪化する中国!)
(5)石油の需給ギャップおよび自給率の変化(2000年~2018年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G04.pdf 参照)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G05.pdf 参照)
石油生産国の中でも人口が多く産業規模の大きな国は同時に多くの石油を消費する。例えば米国と中国はそれぞれ世界1位と8位の産油国であるが、消費量では世界1位と2位である。両国を合わせた世界シェアは生産量で20%、消費量では34%に達する。両国とも消費量が生産量を上回るため、米国は1965年以前から既に石油の輸入国であり、中国は1990年代前半に輸入国に転落している。
米国の場合2018年は生産量1,531万B/Dに対して消費量は2,046万B/Dであり、差し引き515万B/Dの需要超過で石油自給率は75%となる。1965年に78%であった米国の石油自給率は年々低下し1990年代には50%を切り、そして2000年代は40%を割るなどほぼ一貫して低下してきた。しかし同国の自給率は2007年の33%を底に改善しつつあり、2018年にはついに75%に達している。現在米国は必要な石油の4分の3を自国産原油で賄っていることになる。
一方、中国の場合1992年までは生産量が消費量を上回り自給率100%であったが、その後純輸入国に転じている。しかも生産と消費のギャップは年々広がり、2010年に537万B/Dであった需給ギャップが2018年には973万B/Dに拡大している。この結果2010年には43%であった自給率も2018年は28%まで落ち込んでいる。米国と逆に中国は必要な石油の7割を輸入に頼っていることになる。
インドも中国同様に年々需給ギャップが拡大している。2010年の同国の需給ギャップは248万B/Dであり、自給率は27%であった。その後需給ギャップは年々拡大しており、2018年は429万B/Dに達している。その結果2018年の自給率は17%にまで低下している。
近年産油国としての存在感を示しつつあるブラジルは、2010年は生産213万B/Dに対して消費量は271万B/Dで自給率は78%であったが、2016年以降は90%近くに達している。
(石油篇消費量完)
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