(注)本シリーズ(1~18回)は「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0474BpOil2019.pdf
BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html
5.世界の石油精製能力(続き)
(精製能力の増強に意欲的な中国、インド!)
(2) 国別石油精製能力
(表http://bpdatabase.maeda1.jp/1-5-T01.pdf 参照)
世界で最も高い精製能力を有する国は米国で、2018年は1,876万B/D、世界全体の19%の設備を保有している。第二位は中国の1,566万B/D(シェア16%)であり、両国だけで世界の3分の1強の精製能力がある。精製能力1千万B/D以上はこの2カ国だけであり、第3位のロシアは660万B/Dである。
2011年に日本を追い抜いたインドの2018年の精製能力は497万B/Dで対前年比5.8%増である。一方の日本は前年横ばいの334万B/Dとなり両国の差は広がっている。石油消費量でも日本の385万B/Dに対してインドは516万B/Dと日本の1.5倍である。日本では石油企業の合併により精製設備の集約が推し進められる一方、インドは慢性的な精製設備不足に悩まされており(次項「精製能力の推移」及び主要国の「製油所稼働率」参照)、両国の精製能力の格差は今後ますます広がるものと思われる。
日本は2017年までインドに次いで世界第5位であったが、2018年は韓国の精製能力が前年比1.4%増の335万B/Dとなり、わずかではあるが日本を追い越し日本は世界第6位に下がっている。第7位以下はサウジアラビア(284万B/D)、ブラジル(229万B/D)、イラン(223万B/D)である。サウジアラビアは原油の生産国であり国内に数ヶ所の輸出専用製油所が稼働、石油製品の輸出により付加価値の増大を追求しているが、それと共に国内の石油製品の需要が急増しているため製油所の新設が相次いでいる。
精製能力を前年と比較すると世界全体では+1.4%増であった。上位10カ国の中ではインド(+5.8%)、イラン(+5.7%)、中国(+2.8%)などが高い伸びを示している一方、日本、ロシア及びブラジルは前年と変わっていない。
(続く)
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