(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)
(ランクが上がった国と下がった国が半々!)
3.MENA諸国の2018年と2019年の比較
(表http://menarank.maeda1.jp/12-T02.pdf 参照)
今回と昨年の平和指数、世界ランク及びMENA各国間のランクの変動を比較してみると、まずMENAの平均順位は昨年の116位が今回は115位に上がり、平均指数のスコアも昨年の2.516に対して今年は2.512でありわずかながら改善している。
国別に見ると指数が上がった国が10カ国1機関、下落した国は9カ国であり、良くなった国と悪くなった国がほぼ半ばしている。世界ランクではアップした国が8カ国、ダウンした国は8カ国1機関、順位に変動が無かった国は3か国であった。これらの中で順位を大きくアップさせたのがカタール(56位→31位)及びヨルダン(98位→77位)である。これに対して世界ランクが下がった国はモロッコ(71位→90位)、UAE(45位→53位)、イラン(131位→139位)などである。
カタールは一昨年6月、イスラム過激派支援を理由にサウジアラビア、UAEなど4カ国から断交されており、この結果昨年は指数、ランク共に大幅に悪化したが、その後GCC内での孤立の影響は少なく治安が安定していることが評価され、今回は世界ランクが元に戻りMENAトップの座に返り咲いた。その他のGCC諸国はサウジアラビア、クウェイトが現状維持、オマーン及びバハレーンはスコア、順位とも上昇したが、UAEはGCC6カ国の中で唯一スコア、順位とも下がっている。
中東の大国であるトルコ、エジプト及びイランを見ると、トルコはスコア(2.898→3.015)、ランク(149位→152位)共に平和度が下がっている。またイランもスコア(2.439→2.542)及びランク(131位→139位)が下落している。一方エジプトはスコア(2.632→2.521)及びランク(142位→136位)とアップしている。トルコ及びイランは治安が不安定なシリアの影響を受けているためと考えられ、エジプトは軍事政権下で国内の反政府運動が抑え込まれていることが平和度を高めているものと思われる。
MENAの下位国を見ると、シリアはスコアが3.600から3.566に改善しており、世界ランクも前回の最下位から1ランク上がっている。同国内で猛威を奮ったイスラム国(IS)の動きがほぼ終息したことが平和指数の改善につながったと考えられる。
(続く)
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