BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html
1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(埋蔵量は増えても可採年数は低下!)
(3)1980~2018年の埋蔵量及び可採年数の推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G02.pdf 参照)
1980年末の世界の埋蔵量は71tcmであったが、2018年末のそれは197tcmであり、この38年間で2.8倍に増加している。埋蔵量は1990年、2001年及び2010年前後とほぼ10年毎に大幅に増加しており、以下のような4つの成長時期に分けることができる。
1980年代は年率4%前後の割合で伸び、1988年末の埋蔵量は95tcmに達した(第1期)。そして1989年には対前年比11%の大幅な増加を示し同年末の埋蔵量は106tcmとなった。その後1990年代は年間成長率が平均2%とやや鈍り2000年末の埋蔵量は139tcmであった(第2期)。2001年は前年比10%増加し同年末の埋蔵量は154tcmに達したが、2002年以降2007年までは年間成長率が1%以下に停滞している(第3期)。2008年から埋蔵量は再び増加の兆しを見せ2010年及び2011年の対前年比伸び率はそれぞれ4.4%、5.7%であった(第4期)。2011年から2016年の埋蔵量は横ばい状態が続き、その後2017年は対前年比で2.8%増加し、2018年末は197tcmfであり次の成長期にかかろうとしているように見受けられる。
一方可採年数の推移をみると1980年代は50年台前半であったが1990年代以降は50年台後半を維持し、2001年から2003年までは可採年数は60年を超えている。2004年以降は50年台後半に、また2015年以降は50年台前半に後退し2018年の可採年数は51年と1980年代の水準に戻っている。上に述べた通り可採埋蔵量は過去40年近い間に2.8倍にしている。これは世界各地に新しいガス田が発見され、或いは従来商業生産が難しいとされていたものが技術革新により実用化されたことを意味している。前者の新規ガス田発見の例としては中央アジアのトルクメニスタン、ロシアの北極海或いは東アフリカのモザンビーク沖における大型ガス田の発見があり、後者の技術革新の例としては米国のシェールガスや世界各国におけるコールベッドメタンの開発をあげることができる。しかし可採年数が低下している事実は新規発見を上回るベースで生産・消費が拡大していることを示している。(生産量・消費量については第2章、第3章参照)
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp