Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画監督別10傑(44)黒沢清

2019-03-23 00:10:00 | コラム
~黒沢清のキャリア10傑~

明だけがクロサワじゃない、日本には世界に誇るクロサワがもうひとり居る、
なかなかにハンサムでクール、強引に例えると日本のデヴィッド・フィンチャーといったところか。

恐怖描写に冴えを見せる・・・といっても、ホラーテイストというより、もっと現実に根差した、生身の人間のおそろしさというか。

けっしてポピュラーではない、
けれども、いちど好きになったひとはとことん好きになる―そんな中毒性を宿す、なかなかに危険な監督なのだった。


(1)『CURE』(97)

『セブン』(96)公開の翌年に発表されたということもあり、和製『セブン』などとも評された、クロサワ中期の到達点。

しかし米産の犯人には(理解し難いものの)明確な動機があったが、こっちの犯人はそれさえ不明。

だから観終えたあとも、もやっとしたものが「ひたすら」残る。



(2)『カリスマ』(99)

周囲の木々を残さず枯らすといわれる奇妙な木「カリスマ」をめぐる物語。

一部では難解とされているが、いやいや、寓話としてかなり面白いと思う。



(3)『アカルイミライ』(2003)

オダギリジョーと浅野忠信が共演、「アカクラゲ」を象徴的に登場させながら奇妙な青春を紡ぐ会心作。

クロサワの映像はいつだって格好いいが、この映画はとくにキマッている。

敢えてカタカナにしたタイトルも時代にぴったりでグッド。

(4)『トウキョウソナタ』(2008)

壊れた家族が「なんとなく、再生。」するまでを静謐なタッチで描く。

夫役の香川照之が達者なのは当然、と思ったので、「くたびれた」妻を演じるキョンキョンの巧さに驚いた。



(5)『回路』(2000)

ネット社会を「あの世」に見立てた、斬新なホラー。

正直、筋はほとんど覚えていないが、麻生久美子と小雪がひたすら美しかった。



(6)『地獄の警備員』(92)

まだ無名だったころの松重豊が狂気の殺人者を嬉々として演じるスリラー。

低予算をものともしない「野心の塊」に、多くの作り手たちが勇気をもらったことだと思う。

(7)『クリーピー 偽りの隣人』(2016)

前半スリラー、後半SFの展開・・・が成功しているかどうかと問われれば、じつは返答に窮する。

ただ自分は、物語が破綻していたとしても野心のほうを買うタイプなので。

(8)『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(85)

クロサワの秘蔵っ子・洞口依子の初主演映画。

外観? はポルノだが、様々な実験を取り入れていて映画を学ぶ学生にとっては、よいテキストになるかと。



(9)『ドッペルゲンガー』(2003)

第二の自我(=ドッペルゲンガー)に翻弄されるひとびとをユーモラスに描く。

賛否は分かれたが、常連俳優・役所広司が楽しそうに演じているのがよい。

(10)『岸辺の旅』(2015)

自称「死人」とその妻の、奇妙な旅のゆくえ。

蒼井優が抜群の存在感を見せつけ、ある意味で主人公夫婦(浅野忠信×深津絵里)を喰ってしまっている。

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明日のコラムは・・・

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