Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(214)

2017-07-18 00:10:00 | コラム
れいと「しょー」→「しょー」しゃんくのそらに(ショーシャンクの空に)

原作そのものが短編であったり、
長編でも、わずか数行の描写であったり。

それを、映画的イマジネーションによって、よく広げたなぁ! と感心した作品をいくつか挙げてみる。


プロムナイトのシーンを、ねちっこく描いた『キャリー』(76)…原作、スティーブン・キング




原作では短い言及に過ぎなかった遍路シーンを、敢えてクライマックスに持ってきた『砂の器』(74)…原作、松本清張

あの空気感は映画版が独自に創りあげたものだった『ブレードランナー』(82)…原作、フィリップ・K・ディック


そして、スティーブン・キングによる中編小説の一篇『刑務所のリタ・ヘイワース』の物語を、完璧な映画サイズに仕立て上げた『ショーシャンクの空に』(94)。


キングの小説は「世界一」といっていいくらい、映画との相性がいい。

自分にとっての5傑は・・・

(1)『キャリー』
(2)『ショーシャンクの空に』
(3)『デッドゾーン』(83)
(4)『ペット・セメタリー』(89)
(5)『シャイニング』(80)

・・・で、失敗作とされている『炎の少女チャーリー』(84)でさえ、いとおしいと思ってしまう笑


『ショーシャンクの空に』は、ホラーな展開も超常現象も一切起こらない、キング原作のなかでは極めて異色の映画。

簡単にいえば、「希望」を捨てぬ無実の主人公が、不屈の精神で脱獄を成功させるまでの物語。

よく知られた話だが、この映画は『ブレードランナー』と同様、劇場公開時はパッとしなかった。
米国公開時もそうであったし、それから半年以上も経過したあとに公開された日本でもそうだった。

自分も3度ほど劇場で鑑賞したが、いずれもガラガラ。

しかしそれから2年ほど経つと、メディアで盛んに取り上げられるようになった。
周囲でも「この映画が好き」というひとが増えて、あれ、みんな観ているの? って驚いたものである。

どんな役を演じても水準以上の結果を出す名優、モーガン・フリーマンの知名度の広がりとリンクしているようなところがあり、ひょっとすると、この俳優に助けられた面が大きいのかもしれない。(内容ではなく、作品への支持のことね。内容面における功績は、当然のことだもの!)


ちなみに自分の父親も、この映画が大好き。

(1)『E.T.』(82)
(2)『ショーシャンクの空に』
(3)『蜘蛛巣城』(57)

オールタイムのベスト3だそうだが、むしろ3位の黒澤が異色に感じるなぁ笑


映画のなかで刑務所長が主人公になることは「ほぼゼロ」で、きまって悪役である。

『ロックアップ』(89)のドナルド・サザーランドも、『告発』(95)のゲイリー・オールドマンも憎々しくて最高だったが、
それほど注目されなかったけれど、ショーシャンク刑務所のドンを演じたボブ・ガントンも悪くなかった。

信頼しつつ、「所詮は罪人だ」と思って下に見ていた主人公アンディの取った行動に驚き、怒り、そうして観念する。


この映画が優れているのは、主人公とその親友だけでなく、出所する老いた囚人の不安や、刑務所長の人間性まできちんと描き切っているところだと思う。

「その他、大勢なんて居ない」みたいなことを宮崎駿爺はいっていたが、まさにその精神が行き届いた名画。

そりゃあ、人気があって当然です。

劇場が満員になってほしかった・・・というのが、本音ではあるけれど!!





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明日のコラムは・・・

『お墓がない!』
コメント
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