Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

なぜ団地の階段は、あんなに狭いのか

2015-01-24 01:40:12 | コラム
先日の、とある夕刻のこと―。

取材から帰還、5階の自宅(団地)まで階段でチャリを運ぼうとすると、ちょうど階段を上り始めた新聞配達員の後ろ姿が見えた。

何階まで届けるのか知らんが、団地特有の狭い階段だからねぇ、このひとが下りてくるまで待つことに決める。

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ん?

おかしいな、いっこうに下りてこない。

たぶん、いつも見るおじいちゃんだろう。
見た感じ、70歳くらい。

そりゃあ時間を要するわな、急かしたら死んじゃうかもしれん、煙草でも吸ってゆっくり待とうじゃないか。

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それにしたって、遅過ぎやしないか?
最上階まで行ったとしても、自分が住む5階である。

もう5分くらい過ぎているし、ひょっとしたらほんとうに死んでいる?
自分、第一発見者になるの!?

いやいや、ちょっと待て。
父親が自分のところを訪れたときのことを思い出してみろ。

駅から自宅に案内する際、近道だからと「ちょっと険しい道」を通った。

男なんだから大丈夫でしょ? と。

しかし父親は、道中で2度も足を止めて休んだのである。

えっ。
うちのとーちゃんでも、こんな感じになるのかと軽くショックを受けた。

でも、そうだよな。
スコセッシと同年の70代なんだから当然のこと、そもそも40代の自分が「険しい」と感じるのだから、父親には堪えたろう。
ごめんなさい。

・・・とかなんとか、煙草吸いながら考えていたらば、ようやくおじいちゃんが下りてきた。

見た感じは70歳くらい―と書いたが、ほんとうのところは分からない。
自分がこの団地に住み始めた10年くらい前から見かけるひとだったが、当時から70代顔だったわけで、
だからひょっとすると老けている50代かもしれないし、童顔?? の90代かもしれない。

ともかくいえることは、ごくろうさまです! くらいだろう。

しかしこのひと、配達の様子はスローペース過ぎて(気の毒になり)見ていられないが、口は達者なひとである。

この日も自分を見るなり、挨拶なしでマシンガントークが始まる。

「―紙が売れなくなったねぇ。だけど配達がちっともラクにならないのは、どういうことかねぇ。部数減っているんだから、ラクになってもいいのに。でも夏の時期よりいいよ。冬は、動けば動くほど寒さが和らぐからね。夏はね、もうダメ。ゆっくり動いても、汗が滝のように流れてくる。ここもあと2階分くらい増えればね。きっとエレベーターつくんだけど」
「ですよね、ごくろうさまです」
「(聞いてない)イチローどこに移籍するんだろう」
「あぁ気になりますね、やっぱりマーリンズですかね」
「(聞いてない)逸ノ城はバケモノだね」
「そうですね、嫌いな食べ物はカレーだそうですよ」
「(聞いてない)俺は安倍晋三のことが大嫌いなの」
「自分もです。どうも信用出来ない」
「(聞いてない)まだ、あと3棟も残っているんだよ配達場所が」
「たいへんですね、ほんとう、ごくろうさまです」
「(聞いてない)さあて、行くか」


まったく会話が成り立っていないのだが、このひとがそれであと3棟を頑張って配達出来るのであれば、聞き役に徹しようじゃないの。

なにしろ、アンチャンなら数分で終わるところを、このひとは数十分を要して配っているのだから。

敬老、敬老の精神だよね。

がんばれおじいちゃん!!


※団地を舞台にした映画で最も優れているのは、おそらく『みなさん、さようなら』(2013)だろう。




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(110)』

コメント (1)
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