Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

「文字」の威力、映画篇

2015-01-20 00:10:00 | コラム
映画は映像で「ひとがたり」を表現するものであって、「あんまりことばに頼っちゃいけない」というひとが居る。

ことばを紡ぐ職業に就いているものの、概ね納得。

要は、安易にことばで説明するなってこと。
悲惨な境遇にあるキャラクターに「あぁ悲惨だ」なんていう台詞を与えちゃいけない、表情で表現しろよと。

安易なことばで説明したくないから、多くの映画作家が悩む。
悩んだ末に、ハッとするシーンが生まれるというわけだろう。


いっぽうで、ことばを文字にして表現する手法―テロップ―がある。

テレビの世界では「笑いを強調するために」、映画の世界では「(状況などを)簡潔に説明するために」多用されるが、このテロップひとつでもインパクトを残すことは充分に可能で。

以下の10作品は、自分をハッとさせた「技ありのテロップ術」である。


(1)『JFK』(91)

「この映画を、真実を探究する若者に捧げる―」

世界で屈指の「おしつけがましい」監督、オリバー・ストーンだが、あぁなるほど、このことをいいたくて、180分の大作を仕上げたのだなぁと呆れながらも感動した。

(2)『レイジング・ブル』(80)

「―そこでパリサイ人たちは盲人であったひとを、もう一度呼んでいった。
神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは私たちには分かっている。
すると彼はいった。
あのかたが罪人であるかどうか私は知りません。ただひとつの事だけ知っています。私は盲であったが、いまは見えるということです」

『新約聖書』の『ヨハネによる福音書』から引用、最初はどういう意味か分からなかったが、30回以上観た現在の自分には「見える」。

※デ・ニーロの独演シーンからテロップまで。

哀しいじゃないか。
でもこのラストは、けっして悲観的ではない。

40年しか生きていないが、人生ってこういうものなんだな、、、と、思う。




(3)『ツイン・ピークス劇場版』(92)

川を流れるテレサ・バンクスの死体に、わざわざ「テレサ・バンクス」という説明テロップが入る。

大爆笑!!

(4)『砂の器』(74)

「旅の形はどのように変わっても、親と子の宿命だけは永遠のものである」

物語だけで充分伝わるのでクドい、、、ともいえるが、いやいや、10年かけて映画にした橋本忍にとっては、これは必要なテロップだったのだと思う。

(5)『フィールド・オブ・ドリームス』(89)

「すべての親へ―」

この短いことばに、グッときたひとは多いことだろう。

(6)『アメリカン・グラフティ』(73)

青春を謳歌していた彼らがどうなったのか―それを伝えるエンド・テロップには、「ベトナム」という文字がある。

・・・・・。

(7)『街の灯』(31)

これは特例。
無声映画における「字幕としての」テロップだから。

もちろん、ラストの「あなたね…」のことを指している。

(8)『フェイク』(97)

「ジョーは現在もマフィアに50万ドルの懸賞金をかけられ、隠遁生活を送っている」

実録物の王道テロップとして、本作を代表としておこう。

(9)『カノン』(99)

「注意! 感受性を傷つけるおそれがあります」

娘の首を撃つシーンの前に登場。

どこまでも尖ったヤツだぜ、ギャスパー・ノエというひとは。

(10)『許されざる者』(92)

「人生の師、ドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げる」

もう、なんもいえないよ。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(261)中村雅俊』

コメント (2)
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