Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(23)

2012-10-30 00:05:08 | コラム
物を投げたり落としたり壊したりするのが好きだった。
物を盗るのが好きになるのは「もう少しだけ先」の話で、小学校低学年時は、物を盗るよりも壊すことで快楽を得ていた・・・のかな。

まるで赤ちゃんみたいだが、家の物を壊せば困るのは自分なので、だから自分の家と無関係な物を選んで壊した。

嫌なヤツだねー、たぶん精神病なのだろう、それでキャッキャいっていたんだ。

その日は隣りに住む下級生のNくんを子分にして、ちかくの畑に並ぶビニールハウスのビニール部分を「ひたすら」裂いて遊んでいた。
なぜって繰り返すが、それで快楽を得られるから。

ひとつ目を裂いたときは、Nくんは間違いなく「引いて」いた。
そりゃそうだ、Nくんは基本的に「いい子」であったから。

しかし不思議なもので、裂けば裂くほど罪悪感は消え失せ、その行為が楽しくなってくる。
そうして5分後には、すべてのビニールハウスのビニールが「マトモではない」状態になっていた。

「気持ちいいね」
「・・・はい」

ふたりで笑ったその直後、畑の主が登場した。

当たり前っちゃあ、当たり前の展開である。
日中だもの、こうした犯行は夜、密かにやることなのに。

「なにしてくれてるんだ、お前たちはっ!!」

という主の怒号にびびった自分、ここで素直に謝れば翌日からクラスで「全員から無視される」なんて展開にはならなかったのに、

「石川くんに、脅されたんです!」

と、いってしまったのだ。

「石川? あの石川が?」
「はい、あの石川くんです」
「・・・・・」

「ほんとうか?」と、自分にではなくNくんに聞く主。

「だよね?」と、Nくんに迫る自分。

「・・・は、はい」


石川くんは、自分のクラスメイトである。

超のつくイケメン。
スポーツ万能。
学力は「そこそこ」で、彼に恨みがあったわけではなく、いやむしろ憧れていた。

憧れからの反動? か、咄嗟に出た名前が石川くんだった。


主は自分らをほったらかしにして、石川家へ。

ばれるのは時間の問題、幸い父親も母親も外出中である、どうせなら早めに嘘がばれて、この主に何発かビンタされ「はい、おしまい!」にしたいところ。だったら素直に謝ればいいものを、それが出来なかったところをみると、やっぱり精神病なんだよね。

「牧野さん、どうするんですか」
「お前はいいよ、家に帰ってな」
「でも・・・」
「やろうっていったのは、自分なんだから」

間違った男気の見せかたとは、このことだろう。
とにかくNくんを家に帰し、主の再訪を待った。


・・・遅い、遅過ぎる。

揉めているんだろうか。

当たり前だ、バカヤロウ。


それから5分後―あろうことか、主の軽トラと父親の乗った車がほとんど同時に現れたのだった。

その10分後には、自分は血だらけ状態で号泣していた。

父親は、コトの流れを完全には把握してなかったはずである。
とにかく自分が悪さをして、畑の主を怒らせたのだと。それしか分かっていなかったんだと思う。

最初は拳ではなく、投げだった。
そこから顔面やボディ目がけての殴打が始まり、それがしばらく続いた。「お前ってヤツは!」「ヒトサマに迷惑かけて!」と怒鳴りながら。

深刻度はもちろん100だが、描写としては『あばれはっちゃく』以上『血と骨』以下、、、というか。
理想のワルガキ度? を挙げるとするならば、『どこまでもいこう』(99…トップ画像)なのだが。
あの映画のように、相棒(Nくん)も居たわけだし。


いやしかし、ほんとうに、ほんとうに怖かった。

生まれて初めて殴られたこの日は、
生まれて初めて父親を怖いと思い、
生まれて初めて母親の恐怖の顔を見て、
生まれて初めて母親の絶叫―「光永が死んじゃうから!」と、止めに入ったのだ―を聞いた、忘れられない日、、、なのである。


※『どこまでもいこう』のヒロイン、芳賀優里亜が好きだった




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明日のコラムは・・・

『The Fly』

コメント (4)
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