Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

polygraph

2012-10-15 00:15:00 | コラム
「すべて虚偽だと認めたらどうですか。どうなんですか」
「6月の手術は本当です。やったんです」

ほとんどのひとは、馬鹿だなぁと思ったことだろう。

いや自分だってそう思った。
ただそう思いつつ、なんというのだろう、なぜだか、こころが少しだけ痛かった。

同じようなコメントを残したひとが、森口尚史氏の知人にひとりだけ居た。
「どうして自分の名前を出したのか分からない」としつつ、「こころが痛いです」と発したのだ。

記者たちに囲まれ、突っつかれている、あの感じ。
「オーバーに」とヒトコト発すれば「嘘なんでしょ」と返され、モゴモゴと「嘘といわれれば、嘘です」。
ホラ吹き特有の「視線の泳ぎ」を勘付かれないよう、出来るだけ目を瞑って話す。
証拠? となるパスポートを掲げ「観光目的」と答えたときには、笑い声さえ漏れた。


ホラ吹き、ここに誕生。

iPS細胞の技術と山中伸弥氏の「権威」に乗っかっちゃった感のある森口氏は、確かに糾弾されるべきなのだろう。
だろうが、昔の自分を見ているような気がして、とてもじゃないが馬鹿にする気になれない。
そういう意味で「こころが痛い」のであり、森口氏の知人のいう「痛さ」とは、たぶん種類のちがうものだと思う。

過去の自分を重ねて論じたら、あるいは森口氏だって不快に思うかもしれない。
オメーと一緒にすなっ! なんて。

では森口氏の嘘が高尚な理由? から発せられたものかというと、どうもそんな感じはしない。
権威にしがみつこうとする欲が見えて、簡単にいえば功名心にかられた、、、というか。

本人は「研究者としては終わりだと思います」とあっさり? 観念しているが、ついつい余計なことまで考えてしまう。
妻子は居るのだろうかとか、親御さんは健在なのだろうかとか。


どう見たって悪いと思われるもの「ひとり」と、それを糾弾する「ひとりではないもの」の構図。

自慢にもならないが、自分はこの構図をふつうのひとより沢山経験してきた。裁判に携わっているひとには、敵わないだろうけれど。

「ある時期」に限定すれば、後者の存在になることも多かった。それは私服保安員をやっていたときで、対「窃盗犯」において、、、である。
しかしその時期を加えても、前者の存在になったことのほうが多い。
つまりそれだけ、ホラを吹いてきたというわけである。

だから森口氏の、なんともいえない弱りぶりがヒトゴトとは思えないのだ。

幼いころのホラはクラスで無視されるだけだったけれど、
ついには信用をなくし、女子を傷つけ、なにかあるとすぐに疑われるような存在になってしまった。

「すぐばれるような嘘を、なぜ・・・」と、周囲は呆れるだろう。
いってしまえば虚言癖というのは一種のビョーキで、でたらめなことをいって自我を保っているようなところがある。
新聞社や雑誌社に熱心に売り込んでいたという森口氏もまた、そのような人物だったのかもしれない。


ここまでも推測60で書いていたが、ここからは推測100で。

かつての自分も(少し前までの)森口氏も、嘘なんてばれない、ばれそうになったら「技術」で切り抜けられる・・・と、根拠のない自信を持っていたはず。
じつは根拠ゼロというわけでもなく、それでうまく切り抜けられたという実績? があるから、嘘をつくことになんの躊躇もなくなってしまうのである。

嘘発見器(ポリグラフ=polygraph)にかけられても、動いてはいけない方向に針を動かさないという自信を「なんとなく」持っている。
そう、『氷の微笑』(92…トップ画像)のシャロン・ストーンのように。

しかし『トゥルー・ロマンス』(93)でクリストファー・ウォーケンがいっていたが、
人間が嘘をつくときにする「しぐさ」というものは、じつは何通りもあるのだ。

機械は騙せても、人間は騙せない―森口氏の言動を鵜呑みにしなかった新聞社も多かったように、嘘がばれていないと思っているのは本人だけだったりするのである。


イタい人間だな―ネットニュースのコメント欄にそう書いてあったが、まさにそのとおり。

自分は同種の人間を見た気がして、こころに痛みを感じ、そうして過去を回想し、あぁ随分とイタい人間だったんだなぁと軽く落ち込んだ、、、というわけだ。


※このコラムにぴったりの曲といったら、これしかない。改めて聴くと、格好いいね。




…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『トラビスのEQ』

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする