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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

ネット証券4社の『資産倍増プロジェクト』始動(その1)

2011-03-02 18:56:35 | リンク
今日の午前中に東証で、大手証券4社(SBI、カブドットコム、マネックス、楽天)による共同プロジェクト『資産倍増プロジェクト』立ち上げ関する記者会見がありましたので、行ってきました。

詳しくはこちら
「インターネット証券4社による『資産倍増プロジェクト』立ち上げのお知らせ」

最初にマネックス証券の松本社長から「プロジェクト背景について説明」。

・オンライン証券は12年前に立ちあげた。その間、よきライバルに恵まれながら、活動をしてきた。その結果、日本の株式投資の環境は大幅に変わってきた。お互いに競いあう形で個人投資家の皆さんに対するサービスの基準は飛躍的によくなったと考えている。
・今回は、一緒に力を併せてこのプロジェクトをやっていきたい。企業の枠を超えてやる。それはひとえにお客様の資産形成を強力にサポートしていくという大義・目標に向けて、4社で力を合わせてプロジェクトを進めていきたい。
・高度経済成長時代の内閣では所得倍増計画が言われたが、最近の政府は強いメッセージが聞こえてこない。であれば、我々が所得倍増計画になぞった形で、「所得倍増プロジェクト」と銘打って、お客様の資産が本当に倍増に向けてできることがあるのではないか。

【ネット証券の強さ】
(1)手数料無料のノーロードファンドなど、コストを抑えた投資ができる
(2)アセットクラスや運用スタイルごとに種類が豊富
(3)いつでもお取引が可能で、投信積立による自動買付けに対応
(4)1,000円から積み立てることができ、少額から投資が可能

次に、活動予定について、カブドットコム齋藤社長から。

【活動予定】
(1)共同イベントの開催 (2011年7月2日(土) 両国国技館で大規模イベント開催予定)
(2)共同キャンペーンの実施
(3)投資信託に関する共同広告・PR展開
(4)共同ウェブサイトの設立と、投資信託による資産運用の普及啓蒙活動・・動画なども含め
(5)4社共同での書籍出版
(6)4社専用投資信託の組成・販売・・・素晴らしい商品を提供できるのではないか。

大規模なイベントについては楽天証券の楠社長から説明。

・両国国技館で個人投資家向けの投信をテーマにした最大のイベントを実施したい。
・社長4名によるパネルディスカッション、著名な方を読んで講演会(未定)、運用会社のブース出展。ネット証券・運用会社の人に個人投資家が直接話を聞けるような形にしたい。


最後に、マーケットシェアについて、SBI証券井土社長から

・ネット証券主要5社の株式取引売買代金シェア(個人部門)は71.4%。それに対して、株式投資信託設定額シェアは1.6%(3713億円)。これが現状。
・この1.6%を飛躍的に伸ばすことが最大の目的であり、実現可能だと考えている。
・理由は2つ。1つは、従来個人投資家はコストや投資条件に対して非常に敏感。2つめはネット投資家は投資に対しての意識・リテラシーが高い。SBIは他の3社と異なり、支店がある。支店で「分散投資」や「積み立て投資」のセミナーを開催している。対面営業の販売スタイルを変えたいと考えてのことだが、支店でセミナーに参加するのは(実は)ネット投資家。セミナーで話を聞いて、ネットで投信を購入している。したがって、皆様のニーズにお応えできるように、投資に対する啓蒙活動に力を入れたい。そうすれば、株と同様、投信にもネットを活用するのではないか。さらに言うと、不招請勧誘の禁止や投信の回転売買の禁止など、対面の営業スタイルに逆風。我々にとっては千載一遇のチャンス。


投信をつくっている会社にも目を向けよう

2011-03-01 13:47:04 | リンク
投資信託を購入する場合、ついつい商品に目が向きがちですが、投信をつくっている会社(=運用会社)をみる視点も大切にしたいものです。
というのも、運用会社の「運用哲学」なりがきちんとあって、それに沿った商品をつくって、運用を行うのが本来の姿だと思うからです。

一般に、運用会社を評価するチェックポイントとして「5P」があげられます。これは投信評価会社や外部評価機関、金融機関などの機関投資家が運用会社を選定する際のチェック項目として使われているもので、具体的には以下の5つです。

1.Philosophy(フィロソフィー);投資哲学
2.Process(プロセス);投資プロセス
3.Portfolio(ポートフォリオ);投資対象の選定と構成比率
4.People(ピープル);人材の資質
5.Performance(パフォーマンス);投資成果

詳しくはこちらの本にも書いています。

例えば、運用会社のトップやファンド・マネジャーの話を聞いて、「理念に共感したから」と購入を決めてしまうのはちょっと勇み足かもしれません。ちょっと冷静になって、2~5についても調べる&確認してみましょう。2ではどのようなプロセスで個別銘柄のリサーチを行っているのか、投資対象の本源的な価値の評価尺度は?などを調べたいですし、4ではファンドマネジャーやアナリストの育成方法や評価方法なども知りたいですよね。

昨年末にインベストメントセミナーに参加した、仏の独立系運用会社コムジェストのHPでは、運用哲学のところに以下の項目が詳しく書かれています。
投資哲学
投資スタイル
運用プロセス

運用会社のHPをみるとき、運用会社主催の運用説明会に参加するとき、販売会社での商品説明会などに出かけたとき--などには、商品だけでなく、1~5の視点で運用会社についても理解・納得できるかどうかを考えてみるとよいかもしれません。