Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「エブリシング~」と「生きる」二本立て

2023-04-08 15:29:38 | 機内食・映画・美術展

ちょっと余裕があったので、いつものごとく日比谷の映画館で二本立て。

まずは今年のアカデミー賞をいっぱい獲ったこちら。
 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

この日本語タイトル、近来まれにみる手抜きのひどいタイトルじゃなかろうか。
公開前の「おばさんが宇宙を救うSF」なる説明からも、アカデミー賞、特にミッシェル・ヨーの受賞がなかったら決して映画館で見ようとは思わなかっただろう。

税務署でいきなり亭主のキャラが豹変するあたりから訳が分からず、ストーリーを理解しようともがくうちにカンフーアクションが始まって、後はめまぐるしく場面が変わり、娘がとっかえひっかえ突飛なメイクと衣装で登場する。
この辺りからこの映画はストーリーなど関係なく、要するにコンピューターゲームを実写でやりたかっただけなのね、と納得して頭を悩ませるのをやめた。

映画は139分、ほとんどずっとアクションの連続。
ミッシェル・ヨーはさすが昔取った杵柄、キレッキレの動きで大活躍。
ではあるのだが、場面転換にも関わらずアクション・シーンは割と一本調子で、大音響なのに途中ちょっとウトウトしてしまったほど。
コメディーのつもりで作っているようではあるのだがジョークは小中学生並の下品さで、場内でも笑いはおきず。
で最後は家族の愛は宇宙を救う、ってなんとも古臭い結末でガクッと来る。

ミッシェル・ヨー、それにこれこそびっくりする姿で登場するジェイミー・リー・カーチスのアカデミー賞受賞はうれしいが、それ以外にいい所は見つけられず、この賞、時々「なんでこれが」と思う作品賞が出るがこれもその一つ。
やっぱりやめとけばよかった。

 とは言え今日は素晴らしいお天気、気分転換に日比谷ミッドタウンの外へ。

お昼にやって来たのは「Hola! Ginza 7」というスペイン料理屋さん。
 
入口がいささか入りずらいが、中は明るくていい感じ。

 
たっぷりのサラダにスープ、ジュースやコーヒーの飲み放題が付いたパエリアのランチが1200円とは、銀座とは思えないCPの良さ。
お味も良くて、機嫌も良くなる単純さ。

では二本目、とまたミッドタウン内に戻って
 「生きる Living」

黒澤明の「生きる」は大学生の時、名画座で一度見たきり。
志村喬と小説家役の伊藤雄之助が印象に残っているが、20歳前では「名画を見た」という感想しかなかったように思う。

今回これを見ようと思ったのはビル・ナイが大好きなのと、脚本がカズオ・イシグロだったから。
日本生まれながら英国で育ち、それゆえに英国らしさにこだわるイシグロがどのようにリメイクするか、興味があった。

結果、ストーリーはほぼオリジナルのまま、しかも見事に英国の話になっている。
イシグロだったか監督だったかが「日本人とイギリス人は似ている所が多い」とどこかで言っていた、それがうまくいかされているということだろうか。
特に父と息子、お互いに言いたいことがあるのに遠慮して言えずに終わってしまう所など、他国民ではこのような描写にはならないような気がする。

そしてビル・ナイ!ほとんど無表情のようで、そのしわっぽい顔のなんと雄弁なこと。
原作の志村喬はおじいさんのように思っていたが、実際は撮影時47歳だったそう。ビル・ナイの方は70歳なので公務員としては実は年を取りすぎているかもしれないが、その分このテーマには説得力十分。

そしてもちろん見る側のこちらがテーマがずっしり来る年ごろ。
途中、何度も涙ぐんでしまった。

1本目ははずしたが、2本目でお口直しできてよかった。


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