Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

岩手一人旅 5 遠野

2009-09-26 20:24:13 | 国内旅行
宿を出て駅に荷物を預けたら、さあ街歩き開始。

まずは「遠野物語」ゆかりの品が多く展示されているという遠野市立博物館を見ようと、閑散とした駅前の通りをまっすぐ歩いていくと、なんと、来年の「遠野物語」発刊100年のために現在改装中で閉館。せっかくここまで来たのに~。

しかし来年の春まで閉館とあってはどうしようもない。
気を取り直してすぐ近くの「とおの昔話村」へ。
 村と言ってもここは一軒の宿。
 
昔、柳田國男が泊まったという部屋が残り、内部でつながった蔵の方には遠野物語関連の資料が展示されている。
蔵の方はビデオを多用してなかなかがんばった展示。

ここをゆっくり見ても時間はさほどかからない。
次はどうしようと考えるが、遠野の見所は広い田んぼの中に分散している。
レンタサイクルも考えたが、もう何十年もチャリには乗っていない。駅前でちょっとトライしてすぐ断念。自転車の乗り方は一度体が覚えれば忘れないというが、さすがに賞味期限があるのか。

幸いにしてちょうどバスが来たので、これに乗って「遠野ふるさと村」へ。
ここは広い敷地の中に江戸末期から明治時代にかけて建てられた曲がり家が5軒移築されている。
 
曲がり家というのは住居に馬小屋がつながった農家。間に広い土間を挟んで、90度に曲がった部分に馬のためのスペースがある。
そもそも遠野に来ようと思い立ったのも、実は遠野物語のためではなく、この曲がり家が見たかったからなので興味津々。

 こうして残っている家はもちろん豪農のものだろうから中の床や天井も立派。開口部がすべて雨戸の家は、なるほど日本家屋は夏向けに作られていると思う。冬は厳寒の土地なのに。
 一軒はちょうど茅葺屋根の葺き替え中。これまた目には美しいが、維持は大変だろう。

  
建物の中にはワイルドなお祭り用の人形があったり、縁側では工芸品を作っている人がいたり。
この村には他にも陶芸や草木染の体験施設があるのだが、日曜でそれなりのお客さんもいるのに活動している様子はない。
この商売っ気のなさが岩手らしいのだろうか。

 園内の田んぼでは稲穂が頭をたれて、新米ももうすぐ。

ふるさと村もゆっくり見たつもりだが思いのほか早く終わってしまった。
何本もないバスの時間が合わないので、タクシーを呼んでもらって次はカッパ淵へ向かう。
 お寺さんの境内を通り抜けて裏に回るとごく普通の田んぼの風景。
  
カッパが馬を引きずり込もうとしたという淵は思ったとおり、ほんの小さな流れ。

ここから歩いてすぐのところにあるのが「伝承園」。
 
ふるさと村に比べるとずっと狭い敷地だが、ここにも古い民家が何軒か移築されている。

  
重要文化財に指定されているというこの家は18世紀前半に建てられた物。
  
庭に立派なお風呂と雪隠が別棟で建っている。トイレの紐はつかまって踏ん張るためのもの。引っ張ってももちろん水は流れない。
 
中には養蚕の様子が再現され、圧巻はその奥。
  
オシラ堂。

オシラサマというのは養蚕の神様だそうだが、女性と馬の2体一組になっている。村の有力者の家でこれを祭り、年に一度、新しい着物に着替えさせた、と遠野物語にもあるが、これだけたくさん集められるとかなり怖い。

 一回りしたら小腹が空いたので食事処で焼き餅というものを注文。
一つ110円なりを払おうとしたら、「これは失敗して中の蜜が外に出てしまったので80円でいいです。」
黒蜜とクルミの入ったこのお餅、十分おいしかった。岩手の人って本当に商売っ気がない。

ここから駅へは路線バスに乗る。この路線も一日に2,3本しかないが、やってきたバスに他の乗客はなし。一番前の座席に座ると運転手さんが話しかけてきた。
「一人で旅行は寂しくないですか。遠野はのんびりしたところだから、次はもっとゆっくり来て下さい。」

なんていいところなんだ、岩手!

 また来ます。


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コメント (2)
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