報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「異形との戦い」

2022-09-16 16:07:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日15:00.天候:曇 新潟県新潟市北区 ドライブイン“はんごろし”]

 外では怒声や罵声、そして何かがぶつかる音など、大騒ぎであることが分かる。

 マスター:「さ、こっちです」

 マスターに案内された私達は、『ヤリ部屋』に向かった。
 要は、越後羅洲のメンバーが引っ掛けた女を連れ込んで【あらあら】【うふふ】する部屋のようだ。
 意外にもそこは畳部屋だった。
 しかし、汚い布団が敷かれたままになっており、ゴミも散らかっていた。

 愛原:「なるほど。ここなら見つからないってわけだ」
 マスター:「あ、いや、ここじゃないっス」
 愛原:「えっ?」
 マスター:「まあ、ここでもいいんスけど、極東の奴ら、鋭いんで、もっと見つからない場所に行った方がいいかもっスね」
 愛原:「どういうことだ?」

 マスターが押し入れを開けると、そこには何と仏壇があった。
 厨子を開けると、小さな仏像が入っている。
 マスターがそれを退かすと、仏像の下から鍵を取り出した。
 そして、布団を引き剥がす。
 布団の下には、跳ね上げ扉が付いていた。
 マスターはその鍵穴に鍵を差し込んで回した。
 そして、跳ね上げ扉を開けると、地下へ続く梯子があった。

 愛原:「こんなもの……」
 マスター:「サツや敵対組織に踏み込まれた時の脱出用です。この下は倉庫になってんですが、奥に進むと、また上に上がる梯子があります。そこを上ると、反対側に出られますから」
 愛原:「ま、マジか……」
 マスター:「マサには俺から言っときますから、どうか御無事で」
 愛原:「あ、ありがとう」

 私は礼を言って、地下に降りた。

 マスター:「電気のスイッチが、降りた所にありますんで」
 愛原:「分かった!」

 その間、マスターが懐中電灯で上から私達を照らしてくれる。

 リサ:「あった!スイッチ!」

 リサがスイッチを入れると、素掘りの空間が広がっていた。
 照明は坑道にあるような簡易的なもの。
 確かに、奥まで続いていそうだ。

 愛原:「どうもありがとう!」

 私が上に向かって手を振ると、マスターは跳ね上げ扉を閉め……る、直前!

 マスター:「うわっ!?」
 愛原:「!?」

 窓ガラスの割れる音がして、マスターが仰け反る。
 その拍子に、跳ね上げ扉がバタンと閉まった。

 愛原:「な、何だ!?」

 ①上に戻る。
 ②奥に進む。
 ③高橋に連絡する。
 ④リサに意見を聞く。

 愛原:「リサ、どう思う?」
 リサ:「実はBOWの気配がしたの。もしかしたら、兄ちゃん達が戦ってるのって……」
 愛原:「な、何だって!?」

 私はスマホを取り出した。
 しかし、地下のせいて圏外になってしまっている。
 取りあえず、地上に上がらなくては。

 愛原:「取りあえず、地上に戻ろう!」
 リサ:「先に上がるね!」

 リサは梯子を昇った。
 私も後に続く。
 リサのスカートの中が見えるが、互いに気にする様子は無い。
 今日はピンク色のショーツを穿いているようだ。

 リサ:「あ、開かない!」
 愛原:「なに!?」

 どうやら、オートロックになっているらしく、地上側からでないと開かないようである。
 しかし、そこはBOWのリサ。

 リサ:「ウゥ……!」

 第1形態に戻ると、鬼の力で扉をこじ開けた。

 ゾンビ:「アァア……!」
 リサ:「やっぱり……!」

 地上に戻ると、マスターは食い殺されており、そこにはどちらのメンバーだか分からないが、ゾンビが1匹いた。
 リサの姿を見ると、呻き声を上げながら近づいて来る。

 リサ:「はっ!」

 リサは鋭く長い爪でゾンビを引き裂いた。

 ゾンビ:「ギャアアアアッ!」

 リサに何度も爪で引き裂かれたゾンビは、血しぶきを上げながらその場に倒れた。
 残念ながら、マスターは既に息が無い。

 愛原:「こりゃマズい!急いで善場主任に電話しないと……!」

 しかも、外から銃声も聞こえる。
 音からしてマグナム、つまり高橋が発砲しているようだ。
 私はスマホを取り出して、善場主任に連絡した。

 愛原:「もしもし!愛原ですが……」
 リサ:「でやっ!はっ!」

 私が電話している間、外から新たなゾンビが侵入しようとしている。
 リサが防いでくれている。

 愛原:「……そうです!場所は新潟市北区……のドライブイン“はんごろし”です!」
 善場:「分かりました。詳しい場所は、所長のスマホのGPSで検索しますので、何とか持ち堪えてくたさい」

 因みに、抗争場所は店の裏手の駐車場。
 県道側に、違法改造車など駐車するわけがない。
 なので、車は裏手の駐車場に止めてあるのだ。
 従って、表側に止めてある車やバイクは、後から乗り込んで来た極東戦線の物だろう。

 愛原:「高橋、大丈夫か!?」

 私も自分の荷物から組み立て式のショットガンを準備すると、窓の外に飛び出した。

 高橋:「先生、御無事でしたか!?」
 愛原:「ああ!だが、マスターが食い殺された」
 高橋:「マジっスか……」
 愛原:「それより、状況は!?」
 高橋:「最初は普通にケンカしてただけなんスけど、そしたら、極東の奴ら、急にゾンビ化しやがったんです!ニッシー(西川)やサトエ(佐藤)も食い殺されて……」
 西川ゾンビ:「アァア……!」
 佐藤ゾンビ:「ウゥウ……!」
 高橋:「あのザマです……!」
 愛原:「一思いに楽にしてやれ」

 高橋以外の殆どがゾンビ化した極東に食い殺されたか、感染してゾンビになったかしたらしい。

 マスターゾンビ:「ウゥ……」
 愛原:「あっ、マスター!」

 そうだ!
 ゾンビに食い殺されたということは、マスターも感染したということだ。
 私達の気配に気づいたマスターが、店の中から出て来てヨロヨロと呻き声を上げながら近づいて来る。

 高橋:「センパイ、サーセン、許してください」
 マスターゾンビ:「許してくれ……」
 高橋:「えっ!?」

 高橋が一瞬、銃を引っ込めた。
 だが!

 マスターゾンビ:「アァァァァッ!!」

 高橋に飛び掛かって来た。

 リサ:「うりゃっ!!」

 リサが長い爪で、マスターの頭を貫いた。

 リサ:「時々、いるんだよ。一瞬だけ正気に戻るゾンビが……」
 愛原:「そ、そうだ!だから、映画版のゾンビは喋るんだった!」
 リサ:「そういうこと」

 これで戦いは終わりではなかった。
 極東戦線が乗って来たと思われる、古い年式のプレジデント。
 そこのトランクが中からこじ開けられた。
 そこにいたのは……。

 愛原:「な、何だあいつは!?」

 それはタイラントともネメシスとも取れる異形であった。

 リサ:「これが私が感じた気配の正体!」
 愛原:「何だって!?」

 そいつはリサ以上に長く鋭い爪を持ち、リサよりも長く鋭い牙を持っていた。

 金田ゾンビ:「アァア……だま……された……ウゥウ……!」

 車の下から、極東戦線の支部長である金田が這い出て来た。
 そして、ヨロヨロと立ち上がると、呻きながら、うわ言を呟いた……。
 騙された、と。
 誰に?
 分からない。

 愛原:「おい、喋れるのか!?それなら……」

 ベタ過ぎる展開。
 金田ゾンビは、異形の物に首を狩られた。

 愛原:「気をつけろ!ハンターみたいな、首狩り即死攻撃を仕掛けてくるぞ!」
 高橋:「はい!」

 ここでボス戦開始!
 一体、どうなる!?

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