[10月26日18:00.宮城県仙台市泉区のぞみヶ丘 中央公園 KAITO]
アリス研究所で唯一の成人男性ボーカロイド、KAITO。
仕事が早めに終わったため、その足で地域の秋祭り会場である中央公園にやってきた。
アリス研究所が祭りの余興に、初音ミクやエミリー、シンディを出していることで、自分も何かできないかという自発的なものだったが……。
「出番があるかどうか分からないから、その辺ウロウロしてきな」
という敷島の反応の為、出店を回ることにした。
とはいうものの、精密機械の塊であるボーカロイドに、たこ焼きや焼きそばが食できるわけがなく……。
〔「千本桜ぁ♪世に紛れ♪キミの声も♪届かないよ♪」〕
「そこのカッコいい兄ちゃん!くじ引きどうだい!?」
ステージでミクが“千本桜”を独唱している中、くじ引きの屋台の店主に声を掛けられた。
「くじ引きですか。!」
KAITOは収録に行っていたテレビ局で、今日のラッキーカラーがブルーであることを聞いたのを思い出した。
今ステージに上がっているミクのシンボルカラーが緑(厳密にはエメラルドグリーン)なら、KAITOは、正に今日のラッキーカラーたるブルーである。
「じゃあ、是非」
「はいよ!1回100円ね!」
〔「さあ♪閃光弾を♪撃ち上げろー♪」〕
持ち歌を歌い切るミク。
観客は大盛り上がりだ。
ステージ裏で様子を見ていた敷島は、出店の方でカランカランという金の音が聞こえたような気がした。
[同日18:15.同場所 エミリー、シンディ、KAITO]
「へい、いらっしゃい!射撃いかが!」
シンディとエミリーが秋祭りにも関わらず浴衣姿で歩くと目立つ。
「射撃?」
シンディが右腕の袖を捲って、右手をマシンガンに変形させた。
「いいけど、店ごと無くなるよ?」
「失礼・致します!」
エミリーが、
「何言ってんだ、このバカ」
といった感じで、双子の妹の左腕を掴んでズルズルと引きずって行った。
「冗談よ!相変わらずカタいわねぇ!」
「だいたい・私達が・やったら・景品全て・ゲットで・商売の・邪魔だろう?」
「いいじゃない。そういうものだから。何だかさ、何気にここの景品高いよ?」
〔「……信じたものは♪都合のいい妄想を♪繰り返し映し出す鏡♪……『深刻なエラーが発生しました』……」〕
「次は福引ね。あー、でも、今日のラッキーカラーはブルーだから、私達じゃね……。姉さんがピンクで、アタシがイエローだからね……」
「お前・ブルーの・浴衣着てる」
「浴衣の色で、ラッキーになるかなぁ……?あれ?でも、もう特賞は出ちゃったみたいね」
「ごめんねー、美人さん達。さっき、カッコいい青髪の兄ちゃんが当てちゃったんだよー。1等はまだ当たってないから、それ頑張ってよ」
と、店主。
「ですって。じゃあ“ベタな残念賞の法則”で、ポケットティッシュだけ頂いて行きましょうか」
「……それなら・いいか」
[同日18:30.同場所 エミリー&シンディ、敷島孝夫]
ミクが最後の歌を歌う。
〔「……歩き続けた意味を問う♪考え続けた時間(とき)を振り返る♪思考巡らせ予測する♪……それはやがて♪ボクらの道しるべとなる♪」〕
ミクがそれでステージを盛り上げてる中、2人の鋼鉄姉妹はくじ引きで当てた20キロの米袋とエンジンオイルの入った一斗缶を軽々と抱え、再び射的の店の前を通った。
「あら?いつの間にか、1番上の1番小さい的……つまり、1番高い物が取られてるわね?」
シンディがそれを見つけた。
「……青い髪の兄ちゃんが、まるでスナイパーのように1発で当てたんだ……」
店主は茫然自失といった感じだった。
「ふーん……。だいたい想像つくけど」
と、そこへ、敷島が走って来た。
「おーい、2人とも!ステージへ上がれ!アンコールに応えるぞ!」
「イエス、敷島さん」
「えー?私達、歌えないよ?」
「分かってる!エミリーはピアノ、シンディはフルートでいいから!」
「はいはい」
東日本大震災復興支援ソング“花は咲く”だったり。
元々この秋祭りも実は2011年から始まったもので、元々は春と夏にしか祭りをやっていなかった。
春祭りは追悼のため中止、その分を秋に回したのが始まりだ。
仙台市泉区は内陸部で高台の地域が多く、海からの津波の被害は無かったが、崖崩れなどは発生した。
住宅地域も例外ではなく、エミリーは崩壊した道路の復旧作業に当たったという。
因みにその時、敷島は仕事で東京にいた。
[同日20:00.アリスの研究所 敷島、アリス、鋼鉄姉妹、ボカロ・オールスターズ]
「エミリー、シンディ、ミク。今日はありがとう。おかげで、祭りは大盛況だったよ」
「お役に立てて何よりです」
「イエス」
ミクは笑顔で答え、エミリーも微笑を浮かべて頷いた。
だが、シンディは皮肉る顔をした。
「ま、ごくごく一部の所では盛り下がったみたいだけどね」
「何がだ?」
敷島はシンディの態度に苦笑いが半分、呆れが半分だ。
「シンディ。私達が・景品を・当てたから・か?」
「あれはいいのよ。お米もエンジンオイルも、どうせ売れ残りの放出品だろうから」
リンとレンはエンジンオイルの入った一斗缶を覗き込んでいた。
「お米屋さんで、何でエンジンオイル?」
「さあ……?」
「KAITOが温泉旅行と金一封当てたからだよね?」
シンディはニヤッと笑った。
「なにっ!?」
敷島の驚きの言葉に、リンが続けた。
「ぬねの!」
「白状しなさい!」
「あ、いやっ、その……!これはその……暇つぶしに……」
KAITOは申し訳なさそうに、のし袋に入った温泉旅行券と金一封を差し出した。
「これは……お返しした方がよろしいですよね?」
「さすが、強欲の悪魔に取り憑かれたKAITOっとだよねー」
「金運抜群だね」
リンとレンがからかう。
「それはミュージカルの役だよ!」
KAITOは慌てて否定した。
「ノー!」
アリスがパシッとKAITOが持っていた二通の熨斗袋を奪い取った。
「このアリス・シキシマ!1度もらったものは絶対に返さない主義よ!」
「今、強欲の悪魔に取り憑かれてんの、こいつだから……」
敷島はボソッと双子ボーカロイドに言った。
「シャラップ!」
「あ、聞こえた?」
「タカオ!すぐにこれで、旅行の予約をしなさい!」
「マジで行くの!?これは金券ショップで、換金した方がお得……」
「お黙り!シンディに鞭で引っ叩かせるわよ!」
「どこに鞭があるんだよ!?」
シュルッとシンディは自分のコスチュームの腰のベルトを外した。
実はこれ、ベルトじゃなく……。
「そんなところに隠してたのか!」
「働きの悪い下級ロボットは、これで引っ叩いてやったものよ」
「財団でも・やってました」
エミリーは妹の所業を恥ずかしそうに言った。
「どこの温泉だよ?まあ、所詮商店会のヤツだから、近場の秋保とか作並とか、その辺か……」
敷島は熨斗袋の中身を開けた。
すると、その中に入っていたものは……。
アリス研究所で唯一の成人男性ボーカロイド、KAITO。
仕事が早めに終わったため、その足で地域の秋祭り会場である中央公園にやってきた。
アリス研究所が祭りの余興に、初音ミクやエミリー、シンディを出していることで、自分も何かできないかという自発的なものだったが……。
「出番があるかどうか分からないから、その辺ウロウロしてきな」
という敷島の反応の為、出店を回ることにした。
とはいうものの、精密機械の塊であるボーカロイドに、たこ焼きや焼きそばが食できるわけがなく……。
〔「千本桜ぁ♪世に紛れ♪キミの声も♪届かないよ♪」〕
「そこのカッコいい兄ちゃん!くじ引きどうだい!?」
ステージでミクが“千本桜”を独唱している中、くじ引きの屋台の店主に声を掛けられた。
「くじ引きですか。!」
KAITOは収録に行っていたテレビ局で、今日のラッキーカラーがブルーであることを聞いたのを思い出した。
今ステージに上がっているミクのシンボルカラーが緑(厳密にはエメラルドグリーン)なら、KAITOは、正に今日のラッキーカラーたるブルーである。
「じゃあ、是非」
「はいよ!1回100円ね!」
〔「さあ♪閃光弾を♪撃ち上げろー♪」〕
持ち歌を歌い切るミク。
観客は大盛り上がりだ。
ステージ裏で様子を見ていた敷島は、出店の方でカランカランという金の音が聞こえたような気がした。
[同日18:15.同場所 エミリー、シンディ、KAITO]
「へい、いらっしゃい!射撃いかが!」
シンディとエミリーが秋祭りにも関わらず浴衣姿で歩くと目立つ。
「射撃?」
シンディが右腕の袖を捲って、右手をマシンガンに変形させた。
「いいけど、店ごと無くなるよ?」
「失礼・致します!」
エミリーが、
「何言ってんだ、このバカ」
といった感じで、双子の妹の左腕を掴んでズルズルと引きずって行った。
「冗談よ!相変わらずカタいわねぇ!」
「だいたい・私達が・やったら・景品全て・ゲットで・商売の・邪魔だろう?」
「いいじゃない。そういうものだから。何だかさ、何気にここの景品高いよ?」
〔「……信じたものは♪都合のいい妄想を♪繰り返し映し出す鏡♪……『深刻なエラーが発生しました』……」〕
「次は福引ね。あー、でも、今日のラッキーカラーはブルーだから、私達じゃね……。姉さんがピンクで、アタシがイエローだからね……」
「お前・ブルーの・浴衣着てる」
「浴衣の色で、ラッキーになるかなぁ……?あれ?でも、もう特賞は出ちゃったみたいね」
「ごめんねー、美人さん達。さっき、カッコいい青髪の兄ちゃんが当てちゃったんだよー。1等はまだ当たってないから、それ頑張ってよ」
と、店主。
「ですって。じゃあ“ベタな残念賞の法則”で、ポケットティッシュだけ頂いて行きましょうか」
「……それなら・いいか」
[同日18:30.同場所 エミリー&シンディ、敷島孝夫]
ミクが最後の歌を歌う。
〔「……歩き続けた意味を問う♪考え続けた時間(とき)を振り返る♪思考巡らせ予測する♪……それはやがて♪ボクらの道しるべとなる♪」〕
ミクがそれでステージを盛り上げてる中、2人の鋼鉄姉妹はくじ引きで当てた20キロの米袋とエンジンオイルの入った一斗缶を軽々と抱え、再び射的の店の前を通った。
「あら?いつの間にか、1番上の1番小さい的……つまり、1番高い物が取られてるわね?」
シンディがそれを見つけた。
「……青い髪の兄ちゃんが、まるでスナイパーのように1発で当てたんだ……」
店主は茫然自失といった感じだった。
「ふーん……。だいたい想像つくけど」
と、そこへ、敷島が走って来た。
「おーい、2人とも!ステージへ上がれ!アンコールに応えるぞ!」
「イエス、敷島さん」
「えー?私達、歌えないよ?」
「分かってる!エミリーはピアノ、シンディはフルートでいいから!」
「はいはい」
東日本大震災復興支援ソング“花は咲く”だったり。
元々この秋祭りも実は2011年から始まったもので、元々は春と夏にしか祭りをやっていなかった。
春祭りは追悼のため中止、その分を秋に回したのが始まりだ。
仙台市泉区は内陸部で高台の地域が多く、海からの津波の被害は無かったが、崖崩れなどは発生した。
住宅地域も例外ではなく、エミリーは崩壊した道路の復旧作業に当たったという。
因みにその時、敷島は仕事で東京にいた。
[同日20:00.アリスの研究所 敷島、アリス、鋼鉄姉妹、ボカロ・オールスターズ]
「エミリー、シンディ、ミク。今日はありがとう。おかげで、祭りは大盛況だったよ」
「お役に立てて何よりです」
「イエス」
ミクは笑顔で答え、エミリーも微笑を浮かべて頷いた。
だが、シンディは皮肉る顔をした。
「ま、ごくごく一部の所では盛り下がったみたいだけどね」
「何がだ?」
敷島はシンディの態度に苦笑いが半分、呆れが半分だ。
「シンディ。私達が・景品を・当てたから・か?」
「あれはいいのよ。お米もエンジンオイルも、どうせ売れ残りの放出品だろうから」
リンとレンはエンジンオイルの入った一斗缶を覗き込んでいた。
「お米屋さんで、何でエンジンオイル?」
「さあ……?」
「KAITOが温泉旅行と金一封当てたからだよね?」
シンディはニヤッと笑った。
「なにっ!?」
敷島の驚きの言葉に、リンが続けた。
「ぬねの!」
「白状しなさい!」
「あ、いやっ、その……!これはその……暇つぶしに……」
KAITOは申し訳なさそうに、のし袋に入った温泉旅行券と金一封を差し出した。
「これは……お返しした方がよろしいですよね?」
「さすが、強欲の悪魔に取り憑かれたKAITOっとだよねー」
「金運抜群だね」
リンとレンがからかう。
「それはミュージカルの役だよ!」
KAITOは慌てて否定した。
「ノー!」
アリスがパシッとKAITOが持っていた二通の熨斗袋を奪い取った。
「このアリス・シキシマ!1度もらったものは絶対に返さない主義よ!」
「今、強欲の悪魔に取り憑かれてんの、こいつだから……」
敷島はボソッと双子ボーカロイドに言った。
「シャラップ!」
「あ、聞こえた?」
「タカオ!すぐにこれで、旅行の予約をしなさい!」
「マジで行くの!?これは金券ショップで、換金した方がお得……」
「お黙り!シンディに鞭で引っ叩かせるわよ!」
「どこに鞭があるんだよ!?」
シュルッとシンディは自分のコスチュームの腰のベルトを外した。
実はこれ、ベルトじゃなく……。
「そんなところに隠してたのか!」
「働きの悪い下級ロボットは、これで引っ叩いてやったものよ」
「財団でも・やってました」
エミリーは妹の所業を恥ずかしそうに言った。
「どこの温泉だよ?まあ、所詮商店会のヤツだから、近場の秋保とか作並とか、その辺か……」
敷島は熨斗袋の中身を開けた。
すると、その中に入っていたものは……。
誤=赤字20億
正=赤字2億
交通規制が敷かれたおかげで、さいたま新都心駅西口行きのバスが北与野駅止まりとなって、普段は見聞きできない行き先表示内容や放送内容が確認できて貴重でした。
さいたまスーパーアリーナの半分くらいが中央区だったはずで、私のようなバス・フリークスはともかく、それ以外の中央区民は【お察しください】。
ま、私的には北与野駅前の無法駐輪を何とかしてくれれば文句は無いんですが。
ま、世界大会なんだから盛り上がって当然だけどな。ツール・ド・フランスをはじめとする自転車レースは本場ヨーロッパではサッカーに次ぐ人気スポーツで、日本にもファンが多い。そんなかっけ~競技の世界スター達の生レースが見れるとなると、日本じゅうからチャリヲタが新都心に結集するわけだ。鉄ヲタやアニヲタと違い筋肉質のチャリヲタ集団は、体育会的にウザかったw
しかし、意外と一般人もお祭り感覚で結集していた。弱虫ペダルのヒットとかの影響もあったのかもしれないが、チャリブームは少なくとも顕正の広布より確実に進んでいるようだ。いずれはチャリ競技も、フィギュアスケートのようにマイナーからメジャーなスポーツになるかもしれない。顕正衛護のチャリも、ママチャリからロードレーサーにグレードアップするかもしれないw
テレ東の中継がクソだったのとかを除けば大成功の大会……と言いたいところだが、問題は主催のさいたま市である。去年20億の大赤字を出しておきながら、清水市長の独断でムリヤリ今年も開催したのだ。赤字上等で街おこしに賭けたと言えなくもないが、ワリを喰うのはさいたま市民でチャリに興味ない奴だろう。まして浦和区中心に予算を回す清水市長。どう思うだろう?チャリ知らず&浦和区外のさいたま市民は……?
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シンディ:「KAITO、あんた、アタシのカスタムパーツ勝手に使ったね?ボーカロイドが射撃で的を1発で当てるなんて有り得ないわ!」
KAITO:「す、すいません。何か、余ってるっぽかったんで……」