[7月28日10:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
斉藤絵恋:「こんにちはー」
愛原:「早っ!?」
午前中、早くも絵恋さんが埼玉からやってきた。
既にキャリーバッグを持っており、いつでも出発OKといった感じであった。
愛原:「早くない?出発、多分夕方だよ?まだ、善場主任からの連絡も無いのに……」
絵恋:「リサさんと早く会いたくて来ちゃいました」
高橋:「事務所は遊び場じゃねぇ」
絵恋:「リサさんはどこにいますか?」
愛原:「トイレだよ。もうすぐ戻って来る」
絵恋:「そうですか。じゃあ、私もトイレに……」
愛原:「ここで待ってたら?もうすぐ来るよ」
絵恋:「はあ……」
絵恋さんは学校の制服を着ていた。
夏服なので、薄緑色の校章ワッペン付き半袖のブラウスに、埼京線のラインカラーのような濃いグリーンのプリーツスカートを穿いている。
高橋:「何でオメェ、制服なんだ?」
絵恋:「善場さんから『制服で来るように』って言われたんだけど?」
愛原:「えっ!?」
私は高橋と顔を見合わせた。
高橋:「先生」
愛原:「確かに制服なら着替えなくても済みそうなものだが、しかし却って目立つんじゃないかな?」
学校にはリサを狙った不審者が出没していたというし……。
高橋:「どうも、姉ちゃんの考えてることが分かりませんね……」
と、そこへ事務所の電話が鳴った。
愛原:「はい、愛原学探偵事務所です。……あ、善場主任、お疲れさまです」
電話の主は善場主任だった。
善場:「愛原所長、お疲れ様です。先ほどバイク便で資料等を送らせて頂きましたので、よろしく願いします」
愛原:「了解しました。あの、リサも制服に着替えさせた方がいいですか?」
善場:「そうですね。斉藤さんは埼玉から来るので、早めにそれだけ連絡しておきましたが……」
そういうことか。
さすがは善場主任。
恐らく、絵恋さんが早めにこちらに来ることを見越していたのだろう。
愛原:「お言葉ですが、制服姿の方が却って目立つような気がするのですが……」
善場:「はい、仰る通りだと思います。しかし、これは警視庁からの依頼でして……」
愛原:「はあ?警視庁が何の関係があるというんですか?」
善場:「テロ組織の検挙ですよ。恐らく、捜査が進んだのでしょうね。リサを狙うテロリストを泳がせて、確保しようということなのかもしれません。あいにくと私共は警視庁と直接繋がっているわけではありませんので、詳しい捜査内容は教えてくれないのです」
役人あるあるだな。
管轄が違えば、仲間意識など全く無い。
愛原:「でも、我々の行動は警視庁には伝わってる?」
善場:「はい、そういうことです」
愛原:「行き先は神奈川県相模原市ですが、そこまで警視庁が来るんですか?」
善場:「恐らく八王子まででしょうね」
愛原:「私達はどうすれば?」
善場:「普通に向かってください。恐らく警視庁の人が一般人に成り済まして尾行するでしょうが、特に気になさらず。あくまで彼らの狙いは、リサを狙うテロリストです」
愛原:「そ、そうですか」
善場:「詳しいことは資料に入っておりますので、それを読んでください」
愛原:「善場主任は行かれないのですか?」
善場:「私は行くことはできません。申し訳ありませんが、愛原所長方でお願いします」
愛原:「分かりました」
藤野自体は何回か行っているので、別に初見ではない。
路線バスもあるのだが、駅前からタクシーに乗れば楽に行けるだろう。
電話を切ると、リサがトイレから戻って来た。
絵恋:「リサさん、こんにちはーっ!」
リサ:「サイトー、早っ!?」
私と同じ反応をするリサだった。
絵恋さんのハグを素直に受ける辺り、特に絵恋さんを嫌っている様子は無いもよう(レズではないので、その度合いによっては退くこともあるが)。
リサ:「てか、どうして制服?」
愛原:「今、善場主任から連絡があった。これから藤野に行く際は、制服で行けってさ」
リサ:「そうなの?」
リサは目を丸くした。
もちろん、今のリサは私服である。
愛原:「どうやらオマエを狙うテロリストを泳がせる為らしい。今は制服の方が目立つだろ?」
リサ:「確かに。でも制服、家にある」
愛原:「ああ。昼になったら一旦帰ろう。制服に着替えてくるんだ」
リサ:「了解」
それから1時間くらいして、バイク便がやってきた。
それはA3サイズの茶封筒であった。
開ける前に、リサに嗅がせてみた。
もしも今のがバイク便に扮したテロリストだとしたら、中身は怪しいものだろう。
BOWとして鼻の利くリサに嗅がせ、変な薬品や火薬の臭いがしなければOKである。
で、実際には紙とインクの臭いしかしないという。
どうやら本物のバイク便だったようなので開けてみた。
中には資料の他に電車のキップ、そして前泊の時に宿泊するホテルの宿泊券が入っていた。
愛原:「やっぱり夕方出発のようだな」
私は電車のキップを見て言った。
高橋:「先生、警視庁が付いてくるってどういうことっスか」
愛原:「テロ組織に対する捜査が進んだんじゃないかって主任が言ってた。別にオマエは関係無いと思うぞ」
高橋:「あいつら、必要とあらばベッケンバウワータイーホとかしてきますからねぇ……」
愛原:「必要ならそれも止む無しだろう。だから、オマエは関係無いだろうって」
高橋:「まあ、そうなんスけど、何だか落ち着かないっスね」
愛原:「制服警官じゃなく、一般人に成り済ました私服警官だそうだから、俺達は気にせず普通に向かっていいってことらしいぞ」
高橋:「そうですか……」
リサ:「先生、今から私、着替えて来ようか?」
愛原:「いや、いいよ。昼休みになったら、俺も準備するからその時で。でも昼まで絵恋さん達、ヒマになるけどな」
リサ:「大丈夫。夏休みの宿題進める」
絵恋:「私もです!」
愛原:「ははは……。まあ、給湯室のテーブルでも使って」
絵恋:「分っかりました!」
絵恋さんはリサと一緒にいられることが、とても嬉しいようである。
斉藤絵恋:「こんにちはー」
愛原:「早っ!?」
午前中、早くも絵恋さんが埼玉からやってきた。
既にキャリーバッグを持っており、いつでも出発OKといった感じであった。
愛原:「早くない?出発、多分夕方だよ?まだ、善場主任からの連絡も無いのに……」
絵恋:「リサさんと早く会いたくて来ちゃいました」
高橋:「事務所は遊び場じゃねぇ」
絵恋:「リサさんはどこにいますか?」
愛原:「トイレだよ。もうすぐ戻って来る」
絵恋:「そうですか。じゃあ、私もトイレに……」
愛原:「ここで待ってたら?もうすぐ来るよ」
絵恋:「はあ……」
絵恋さんは学校の制服を着ていた。
夏服なので、薄緑色の校章ワッペン付き半袖のブラウスに、埼京線のラインカラーのような濃いグリーンのプリーツスカートを穿いている。
高橋:「何でオメェ、制服なんだ?」
絵恋:「善場さんから『制服で来るように』って言われたんだけど?」
愛原:「えっ!?」
私は高橋と顔を見合わせた。
高橋:「先生」
愛原:「確かに制服なら着替えなくても済みそうなものだが、しかし却って目立つんじゃないかな?」
学校にはリサを狙った不審者が出没していたというし……。
高橋:「どうも、姉ちゃんの考えてることが分かりませんね……」
と、そこへ事務所の電話が鳴った。
愛原:「はい、愛原学探偵事務所です。……あ、善場主任、お疲れさまです」
電話の主は善場主任だった。
善場:「愛原所長、お疲れ様です。先ほどバイク便で資料等を送らせて頂きましたので、よろしく願いします」
愛原:「了解しました。あの、リサも制服に着替えさせた方がいいですか?」
善場:「そうですね。斉藤さんは埼玉から来るので、早めにそれだけ連絡しておきましたが……」
そういうことか。
さすがは善場主任。
恐らく、絵恋さんが早めにこちらに来ることを見越していたのだろう。
愛原:「お言葉ですが、制服姿の方が却って目立つような気がするのですが……」
善場:「はい、仰る通りだと思います。しかし、これは警視庁からの依頼でして……」
愛原:「はあ?警視庁が何の関係があるというんですか?」
善場:「テロ組織の検挙ですよ。恐らく、捜査が進んだのでしょうね。リサを狙うテロリストを泳がせて、確保しようということなのかもしれません。あいにくと私共は警視庁と直接繋がっているわけではありませんので、詳しい捜査内容は教えてくれないのです」
役人あるあるだな。
管轄が違えば、仲間意識など全く無い。
愛原:「でも、我々の行動は警視庁には伝わってる?」
善場:「はい、そういうことです」
愛原:「行き先は神奈川県相模原市ですが、そこまで警視庁が来るんですか?」
善場:「恐らく八王子まででしょうね」
愛原:「私達はどうすれば?」
善場:「普通に向かってください。恐らく警視庁の人が一般人に成り済まして尾行するでしょうが、特に気になさらず。あくまで彼らの狙いは、リサを狙うテロリストです」
愛原:「そ、そうですか」
善場:「詳しいことは資料に入っておりますので、それを読んでください」
愛原:「善場主任は行かれないのですか?」
善場:「私は行くことはできません。申し訳ありませんが、愛原所長方でお願いします」
愛原:「分かりました」
藤野自体は何回か行っているので、別に初見ではない。
路線バスもあるのだが、駅前からタクシーに乗れば楽に行けるだろう。
電話を切ると、リサがトイレから戻って来た。
絵恋:「リサさん、こんにちはーっ!」
リサ:「サイトー、早っ!?」
私と同じ反応をするリサだった。
絵恋さんのハグを素直に受ける辺り、特に絵恋さんを嫌っている様子は無いもよう(レズではないので、その度合いによっては退くこともあるが)。
リサ:「てか、どうして制服?」
愛原:「今、善場主任から連絡があった。これから藤野に行く際は、制服で行けってさ」
リサ:「そうなの?」
リサは目を丸くした。
もちろん、今のリサは私服である。
愛原:「どうやらオマエを狙うテロリストを泳がせる為らしい。今は制服の方が目立つだろ?」
リサ:「確かに。でも制服、家にある」
愛原:「ああ。昼になったら一旦帰ろう。制服に着替えてくるんだ」
リサ:「了解」
それから1時間くらいして、バイク便がやってきた。
それはA3サイズの茶封筒であった。
開ける前に、リサに嗅がせてみた。
もしも今のがバイク便に扮したテロリストだとしたら、中身は怪しいものだろう。
BOWとして鼻の利くリサに嗅がせ、変な薬品や火薬の臭いがしなければOKである。
で、実際には紙とインクの臭いしかしないという。
どうやら本物のバイク便だったようなので開けてみた。
中には資料の他に電車のキップ、そして前泊の時に宿泊するホテルの宿泊券が入っていた。
愛原:「やっぱり夕方出発のようだな」
私は電車のキップを見て言った。
高橋:「先生、警視庁が付いてくるってどういうことっスか」
愛原:「テロ組織に対する捜査が進んだんじゃないかって主任が言ってた。別にオマエは関係無いと思うぞ」
高橋:「あいつら、必要とあらばベッケンバウワータイーホとかしてきますからねぇ……」
愛原:「必要ならそれも止む無しだろう。だから、オマエは関係無いだろうって」
高橋:「まあ、そうなんスけど、何だか落ち着かないっスね」
愛原:「制服警官じゃなく、一般人に成り済ました私服警官だそうだから、俺達は気にせず普通に向かっていいってことらしいぞ」
高橋:「そうですか……」
リサ:「先生、今から私、着替えて来ようか?」
愛原:「いや、いいよ。昼休みになったら、俺も準備するからその時で。でも昼まで絵恋さん達、ヒマになるけどな」
リサ:「大丈夫。夏休みの宿題進める」
絵恋:「私もです!」
愛原:「ははは……。まあ、給湯室のテーブルでも使って」
絵恋:「分っかりました!」
絵恋さんはリサと一緒にいられることが、とても嬉しいようである。
イラストが添えられていたが、1人は浅井会長の奥さんだと分かるが、もう1人は誰だ?
この件、顕正会員は詳しく知らないのだろう。
アホな元顕のイメージで、会側が会員に知らせることは無いだろうと思うからだ。
ただ、妙観講員を始めとする法華講ガチ勢が猛攻を仕掛けることは想像できるはずで、単に「街折の停止」を呼び掛けることはするだろう。
もちろん疑問を持ってその理由を聞いてくる会員に、上長は、「俺も知らん」「本部からの通達だ」「余計な事は聞くな」というお決まりの返答をすることが想像できるのである。