[7月2日22:40.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]
稲生は自室でノートPCに向かい、ネットをやっていた。
友人のFacebookに『オフ会のお知らせ』があり、ちょうどそれが明日開催されるそうなので、参加を申し込んでみたという次第だ。
どういう友人かというと、大学時代のものだ。
稲生の場合、まだ卒業してから数年しか経っていないが、早くもオフ会が行われる見込みのようだ(因みに同窓会とはまた違う)。
稲生:(場所も大宮で近いし、これならドタキャンならぬ、“ドタ参加”もOKかもしれない)
稲生は参加希望の旨のコメントを投稿した。
稲生:(まだ少し早いけど、今日は長旅で疲れたし、僕もそろそろ寝るか……)
その前にトイレに行こうと、稲生は部屋の外に出た。
(効果音。ドアが開く音が二重)
稲生:「!!!」
マリア:「!!!」
(効果音。ドアが閉まる音が二重)
稲生:(あ……ありのまま……今、起こったことを話すぜ。「僕がドアを開けたら、真っ裸のマリアさんが目の前にいた」な、何を言ってるのか分からねーと思うが……。うん、きっと疲れて幻覚が見えてるんだ。きっとそうだ)
①このまま寝る。
➁もう1度確認してみる。
③電話する。
④窓から緊急離脱する。
(バッドエンド直行選択肢あり)
尚、今回は物語最中なのでそのまま自動選択されます。
稲生:「も、もう1度見てみよう」
稲生はそっと部屋のドアを開けた。
廊下の照明は消えているが、シャワールームの照明は点いていた。
その廊下の照明を点ける。
稲生:「そういうことか」
稲生は納得した。
マリアが2階のシャワールームに来ていたのだ。
元々は洗面台があった所をシャワールームに改築した所である。
どうしてわざわざそんなことをしたのかというと、説明するだけで長くなる。
まだ威吹がこの家に同居していた際、威吹と敵対していたり、稲生の類稀な霊力を狙った妖怪達の攻撃が頻発していた時期があった。
そのような背景があってあのようになった次第なのだが、やはり詳しい説明は長くなるので省略させて頂く。
とにかく、敵対妖怪対策の一環として施された増改築がこの家には一部行われており、シャワールームもその一環だったのである。
今でもそのシャワールームは使用可能で、前にもマリアが使用していた。
このシャワールーム、即席で作ったということもあって、電話ボックスほどの大きさのシャワーブースしかない。
つまり、脱衣所が無いのである。
だからシャワー使用直前・直後は、真っ裸の状態で一瞬だけでも廊下にいることになる。
稲生はそれを見てしまったのだ。
稲生:「マリアさん、さっきはどうもすいませんでした」
稲生がブース内にいるマリアに声を掛けると、シャワーの音が止んだ。
そして中から、マリアの声がした。
マリア:「あ、いや……。私の方こそ、勝手に使って申し訳ない。一言言うべきだった」
稲生:「廊下が暗くて、よく見えなかったので安心してください」
マリア:「ああ、分かった」
シャワールームの照明が逆光となっていた感はある。
とはいうものの……。
稲生:(初めて会った時よりも体付きが良くなって、体の痣も少し消えたみたい)
マリアが魔道師になったのは18歳。
それから何年も経って、“魔の者”が拘っていた25歳も過ぎたわけだが、ほとんど体に変化は無いという。
これは契約した悪魔の大体全てが慣習的に行う便宜の1つで、せっかく契約した魔道師に早死されては割りに合わず、また、なるべく長生きしてもらった方が都合が良い(悪魔的には元が取れる)ということで、ほぼ不老不死の状態にしてしまうというものである。
人間に対してはこのような便宜は図らない。
むしろ搾り取れるだけ搾り取って早死させた方が、その後で魔道師になってもらえるからである。
それでもマリアは少しだけだが、体が成長して人間時代に受けた暴力による傷痕も消えて来たように見えた。
稲生:「またお前か……」
部屋に戻ると、部屋の片隅に三角座りしている妖艶な女性がいた。
かつては黒ギャルの姿をしていたが、今は白ギャルの姿をしている。
七つの大罪の悪魔の一柱、“色欲の悪魔”アスモデウスの化身に他ならなかった。
化身なので、色々な姿に変化できるわけだ。
もし稲生がマスターに認定されたら、契約悪魔の第一候補としてエントリーされている者である。
仲が良いのか、マリアの契約悪魔である“怠惰の悪魔”ベルフェゴールと一緒に行動していることが多い。
今回はベルフェゴールの姿は無かった。
アスモデウス:「襲わないの?今ならあのコ、杖も持っていないし、真っ裸だから簡単にヤれるよ?」
アスモデウスはからかうように笑った。
キャミソールへそ出しにホットパンツの姿は、正に完璧な痴女である。
稲生:「冗談言うな。わざわざ嫌われるようなことはしないさ」
アスモデウス:「童貞さんはカタいねぇ……」
稲生:「悪かったな!契約もしていない悪魔の囁きには乗らんよ」
アスモデウス:「おっ、契約していたら聞くんだ?」
稲生:「だから、色々と便宜を図ってくれるんだろ?分かってるよ。お前達の『信心』は」
アスモデウス:「いいねぇ。色々と勉強してるんだねぇ。よーし。じゃ、しょうがないからそのホットになった下半身は、お姉さんが何とかしてあげようっ!」
稲生:「いや、いいよ!絶対気がついたら、いつの間にか勝手に契約書にハンコが押されてるってオチだから!」
アスモデウス:「ちっ!」
稲生:「やはりか!……僕はもう寝る!」
アスモデウス:「でもその下半身じゃ寝れないでしょ?」
稲生:「自分で何とかするからいいよ」
アスモデウス:「それならぁ……」
アスモデウスはスーッと消えて、またスーッと現れた。
アスモデウス:「これでも使って」
アスモデウスの手には使用済みのブラ・ショーツが握られていた。
淡いピンク色の控え目なデザインである。
稲生:「マリアさんのじゃないか!ダメだよ!早く戻してこい!」
アスモデウス:「本当にカタいねぇ……。ま、私と契約したら、あのコと好きなだけヤれるよう『便宜』を図ってあげるねぇ……」
稲生:「分かったから、早く!」
アスモデウス:「はいはい」
アスモデウスはマリアの下着を手に、シャワールームに戻った。
マリア:「無いと思ったらオマエか!」
ベルフェゴール:「全く。アスモのお茶目さん♪」
アスモデウス:「いいじゃない。好きな人だったら、これくらい……」
マリア:「アホか!」
ベルフェゴール:「そういう問題じゃないよねぇ……」
因みにベルフェゴールはタキシード姿のジェントルマンになっているが、マリアは気にしていなかった。
どうせ悪魔だからというのがあるのだろう。
マリア:「この悪魔め!」
ベルフェゴール:「まあまあ。ボク達悪魔も、契約先を探すのに色々と苦労しているんだよ。察して察して」
マリア:「うるさいな」
アスモデウス:「ベルフェの契約手口も面白いけど、アタシはあんまそこまでしたくないなぁ……」
ベルフェゴール:「まあ、やり方は悪魔それぞれだから。やっぱり『消耗品』の人間と契約するより、魔道師の方が利益率は高いよね」
アスモデウス:「言えてる。そもそもこれって……」
ベルフェゴール:「うん、そうだね。だからこの場合は……」
マリア:(傍から見たら株投資家の話だな。こいつら……)
マリアはノースリーブのワンピース型の夜着を羽織り、脱いだ服とタオルを持って1階に下りた。
マリア:「まだ油断はできないから、ユウタの護衛頼むぞ。私も師匠に契約の口添えしてやるから」
アスモデウス:「はーい」
ベルフェゴール:「じゃ、ボクは外を見張っておこう」
マリア:「何かあるのか?」
ベルフェゴール:「2ヶ月早い月見酒♪」
マリア:「コラぁ!」
稲生は自室でノートPCに向かい、ネットをやっていた。
友人のFacebookに『オフ会のお知らせ』があり、ちょうどそれが明日開催されるそうなので、参加を申し込んでみたという次第だ。
どういう友人かというと、大学時代のものだ。
稲生の場合、まだ卒業してから数年しか経っていないが、早くもオフ会が行われる見込みのようだ(因みに同窓会とはまた違う)。
稲生:(場所も大宮で近いし、これならドタキャンならぬ、“ドタ参加”もOKかもしれない)
稲生は参加希望の旨のコメントを投稿した。
稲生:(まだ少し早いけど、今日は長旅で疲れたし、僕もそろそろ寝るか……)
その前にトイレに行こうと、稲生は部屋の外に出た。
(効果音。ドアが開く音が二重)
稲生:「!!!」
マリア:「!!!」
(効果音。ドアが閉まる音が二重)
稲生:(あ……ありのまま……今、起こったことを話すぜ。「僕がドアを開けたら、真っ裸のマリアさんが目の前にいた」な、何を言ってるのか分からねーと思うが……。うん、きっと疲れて幻覚が見えてるんだ。きっとそうだ)
①このまま寝る。
➁もう1度確認してみる。
③電話する。
④窓から緊急離脱する。
(バッドエンド直行選択肢あり)
尚、今回は物語最中なのでそのまま自動選択されます。
稲生:「も、もう1度見てみよう」
稲生はそっと部屋のドアを開けた。
廊下の照明は消えているが、シャワールームの照明は点いていた。
その廊下の照明を点ける。
稲生:「そういうことか」
稲生は納得した。
マリアが2階のシャワールームに来ていたのだ。
元々は洗面台があった所をシャワールームに改築した所である。
どうしてわざわざそんなことをしたのかというと、説明するだけで長くなる。
まだ威吹がこの家に同居していた際、威吹と敵対していたり、稲生の類稀な霊力を狙った妖怪達の攻撃が頻発していた時期があった。
そのような背景があってあのようになった次第なのだが、やはり詳しい説明は長くなるので省略させて頂く。
とにかく、敵対妖怪対策の一環として施された増改築がこの家には一部行われており、シャワールームもその一環だったのである。
今でもそのシャワールームは使用可能で、前にもマリアが使用していた。
このシャワールーム、即席で作ったということもあって、電話ボックスほどの大きさのシャワーブースしかない。
つまり、脱衣所が無いのである。
だからシャワー使用直前・直後は、真っ裸の状態で一瞬だけでも廊下にいることになる。
稲生はそれを見てしまったのだ。
稲生:「マリアさん、さっきはどうもすいませんでした」
稲生がブース内にいるマリアに声を掛けると、シャワーの音が止んだ。
そして中から、マリアの声がした。
マリア:「あ、いや……。私の方こそ、勝手に使って申し訳ない。一言言うべきだった」
稲生:「廊下が暗くて、よく見えなかったので安心してください」
マリア:「ああ、分かった」
シャワールームの照明が逆光となっていた感はある。
とはいうものの……。
稲生:(初めて会った時よりも体付きが良くなって、体の痣も少し消えたみたい)
マリアが魔道師になったのは18歳。
それから何年も経って、“魔の者”が拘っていた25歳も過ぎたわけだが、ほとんど体に変化は無いという。
これは契約した悪魔の大体全てが慣習的に行う便宜の1つで、せっかく契約した魔道師に早死されては割りに合わず、また、なるべく長生きしてもらった方が都合が良い(悪魔的には元が取れる)ということで、ほぼ不老不死の状態にしてしまうというものである。
人間に対してはこのような便宜は図らない。
むしろ搾り取れるだけ搾り取って早死させた方が、その後で魔道師になってもらえるからである。
それでもマリアは少しだけだが、体が成長して人間時代に受けた暴力による傷痕も消えて来たように見えた。
稲生:「またお前か……」
部屋に戻ると、部屋の片隅に三角座りしている妖艶な女性がいた。
かつては黒ギャルの姿をしていたが、今は白ギャルの姿をしている。
七つの大罪の悪魔の一柱、“色欲の悪魔”アスモデウスの化身に他ならなかった。
化身なので、色々な姿に変化できるわけだ。
もし稲生がマスターに認定されたら、契約悪魔の第一候補としてエントリーされている者である。
仲が良いのか、マリアの契約悪魔である“怠惰の悪魔”ベルフェゴールと一緒に行動していることが多い。
今回はベルフェゴールの姿は無かった。
アスモデウス:「襲わないの?今ならあのコ、杖も持っていないし、真っ裸だから簡単にヤれるよ?」
アスモデウスはからかうように笑った。
キャミソールへそ出しにホットパンツの姿は、正に完璧な痴女である。
稲生:「冗談言うな。わざわざ嫌われるようなことはしないさ」
アスモデウス:「童貞さんはカタいねぇ……」
稲生:「悪かったな!契約もしていない悪魔の囁きには乗らんよ」
アスモデウス:「おっ、契約していたら聞くんだ?」
稲生:「だから、色々と便宜を図ってくれるんだろ?分かってるよ。お前達の『信心』は」
アスモデウス:「いいねぇ。色々と勉強してるんだねぇ。よーし。じゃ、しょうがないからそのホットになった下半身は、お姉さんが何とかしてあげようっ!」
稲生:「いや、いいよ!絶対気がついたら、いつの間にか勝手に契約書にハンコが押されてるってオチだから!」
アスモデウス:「ちっ!」
稲生:「やはりか!……僕はもう寝る!」
アスモデウス:「でもその下半身じゃ寝れないでしょ?」
稲生:「自分で何とかするからいいよ」
アスモデウス:「それならぁ……」
アスモデウスはスーッと消えて、またスーッと現れた。
アスモデウス:「これでも使って」
アスモデウスの手には使用済みのブラ・ショーツが握られていた。
淡いピンク色の控え目なデザインである。
稲生:「マリアさんのじゃないか!ダメだよ!早く戻してこい!」
アスモデウス:「本当にカタいねぇ……。ま、私と契約したら、あのコと好きなだけヤれるよう『便宜』を図ってあげるねぇ……」
稲生:「分かったから、早く!」
アスモデウス:「はいはい」
アスモデウスはマリアの下着を手に、シャワールームに戻った。
マリア:「無いと思ったらオマエか!」
ベルフェゴール:「全く。アスモのお茶目さん♪」
アスモデウス:「いいじゃない。好きな人だったら、これくらい……」
マリア:「アホか!」
ベルフェゴール:「そういう問題じゃないよねぇ……」
因みにベルフェゴールはタキシード姿のジェントルマンになっているが、マリアは気にしていなかった。
どうせ悪魔だからというのがあるのだろう。
マリア:「この悪魔め!」
ベルフェゴール:「まあまあ。ボク達悪魔も、契約先を探すのに色々と苦労しているんだよ。察して察して」
マリア:「うるさいな」
アスモデウス:「ベルフェの契約手口も面白いけど、アタシはあんまそこまでしたくないなぁ……」
ベルフェゴール:「まあ、やり方は悪魔それぞれだから。やっぱり『消耗品』の人間と契約するより、魔道師の方が利益率は高いよね」
アスモデウス:「言えてる。そもそもこれって……」
ベルフェゴール:「うん、そうだね。だからこの場合は……」
マリア:(傍から見たら株投資家の話だな。こいつら……)
マリアはノースリーブのワンピース型の夜着を羽織り、脱いだ服とタオルを持って1階に下りた。
マリア:「まだ油断はできないから、ユウタの護衛頼むぞ。私も師匠に契約の口添えしてやるから」
アスモデウス:「はーい」
ベルフェゴール:「じゃ、ボクは外を見張っておこう」
マリア:「何かあるのか?」
ベルフェゴール:「2ヶ月早い月見酒♪」
マリア:「コラぁ!」
結構好き放題やってます。
やっぱり、何事もマイペースが1番!
信行は自己責任ですから。
4番は、どう考えてもバッドエンドな感じ。
お釈迦になって(あっ!!やばっ)
マイペースでいいんですよ。
誓願なんかに捕われたりしたら、顕正会と何ら変わらないじゃないですか。
顕正会のことは教義から何から何まで全否定したい武闘派さん達ですが、誓願に捕われた折伏法だけは否定できなくなりますよ。
何せ顕正会が街頭折伏するだけで大騒ぎしていたのに、自分達はやってるんですからね。
教義が正しいから自分達はやって良いというのが理由であるのなら、顕正会員だってそう思ってやってるんだから、結局人のことは言えないってことです。
てなわけで、私も誓願を度外視したマイペースが1番だと思っています。
誓願をブッちぎって何が悪い!
今回の選択肢を皆さんに選んで頂かなかったのは、ヒントが後になってやってくる卑怯なタイプだったからです。
この話の最後で、ベルフェゴールが外を見てこようなんて言ってるでしょ?
2ヶ月早い月見酒なんて冗談言ってますが、実は外はとても危険な状態になっていた……というネタです。
2階から飛び降りても、頭から落ちなければ死にはしませんが、契約悪魔が外を警戒する状態の中、単身外へ飛び出すことは、それはつまり死亡フラグ以外の何物でもないということです。
先にベルフェゴールが外を見張る展開だったら、ちょっと皆さんにやって頂こうと思ったんですけどね。
……あ、因みに①もバッドエンドです。
裸を勝手に見られたマリアがヤンデレ化して、稲生の寝込みを襲うというキャラ崩壊必至の展開です。
➁もヘタすりゃ確認しに行って襲われてバッドエンドかと思われるかもしれませんが、いやいや意外とサウンドノベル系ではそういう展開になることは少ないんですよ。
お疲れ様です。
バッドエンド・・・からの~?
思い切って、4番っ!!!!!
あくまで契約先の顧客である魔道師に警戒されない為の営業の一環である。
何しろ飽食(悪食)の悪魔ベルゼブブにあっては、RPGやファンタジー系マンガ・小説ではラスボスまたは大ボスを張る実力派だ。
それの同僚達がアスモデウスやベルフェゴールなのだから、彼らの実力の強さを窺い知ることができるというもの。
その大ボスクラスのベルフェゴールが、
「ちょっと外を見張って来る。ちょっとした月見酒だ」
と、冗談かましているが、大ボスクラスがそんなことをするとは……。
あー、すいません。
今回のは話の流れの都合で、選択権は無しにしちゃったんですよ〜。
ただ、上記で解説した通り、④はバッドエンドです。
ヒントになるはずのベルフェゴールの動きが後になっちゃったんで。
①の眠りの世界へ現実逃避も、サウンドノベルゲームの世界ではなかなかの死亡フラグなんですよ。
ヤンデレ化したマリアでもいいですし、たまたま件のやり取りを見ていたヤンデレ魔女が稲生を殺害しに行くという展開でもいいですが、つまり①もバッドエンドということで。
まもなく稲生にアクションストーリーが訪れまして、その時には皆さんに選んで頂く選択肢を御用意する予定です。