[5月16日23:00.天候:雨 アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン市郊外 DC Inc.ヒューストン工場]
エミリーはシンディよりも損傷が激しかった為、部品調達などが容易な工場に搬送された。
幸い、人手も工場の従業員などを借りることができ、修理は順調に進んだ。
工場に運び込まれたロイドはエミリーだけでなく、残骸となったジャニスとルディ、そしてマーティであった。
ジャニスとルディにあっては社内でも公表されていたが、マーティはまだ実験中であった為か、知られていなかった。
平賀はエミリーの修理を最優先にしても良い上、それに関する支援を受けられる代わり、ジャニス達の調査への協力を頼まれた。
デイライト・アメリカにも研究者はいたのだが、あの騒ぎで大部分が殺されたり、重傷・重体になったりして、満足に調査できる状態ではなかったからだ。
「……これで良し。あとは、新しいバッテリーを装着して起動させるだけ」
手伝いや見学していたデイライト社員からは歓声が上がった。
充電済みの新しいバッテリーを装着して起動させると、エミリーが目を覚ました。
そして起動時に行う、ロボット三原則の唱和を行う。
これは特に規格で決まっているわけではないが、日本製の特徴である。
「お疲れさまでした、平賀教授」
同じく立ち会いをしていた鳥柴が声を掛けてくる。
「すぐに宿舎に入ってお休みください」
「そうさせてもらいます。いや、さすがに30代に入ったばかりくらいまでは3徹(3日間徹夜)しても大丈夫だったのに、そろそろキツくなって来ましたよ」
「本来でしたらこの後、ジャニス達の調査のお手伝いをお願いをする所ですが、状況が状況なだけに、後日にしてもらうようお願いしておきました」
と、鳥柴が言った。
「まあ、時間も時間というのもあるんですが」
「日本時間だと、真昼なんですがねぇ……」
平賀が部屋の外に出ようとすると、エミリーがついて来ようとする。
「あ、エミリー。ちょっとタバコ吸って来るから、そこで待っててくれ。まだ、コードやらケーブルやら外してない」
「……イエス。プロフェッサー平賀」
確かに、エミリーの体には何本かそれが繋がったままだった。
エミリーは平賀達を見送ると、上半身を再び台の上に横たえた。
シンディと交信しようとするが、シンディが応答しない。
但し、接続はされるので、恐らく充電中なのだろう。
GPSで追うと、アーカンソー州リトルロックにいることが分かった。
製造されて間もない“ヒヨっ子”なら、慌てて姉妹機の所に駆け付けようとして一騒動起こすところだが、長年稼働して学習を重ねているエミリーなら、シンディの置かれている状況を“予想”でき、当たっていそうな確率の高い予想は深刻なものではない為、慌てる必要は無い。
しばらくして平賀が戻ってくると、体中に接続されていたコードなどが外された。
「よし。すぐに服を着たら、出発するぞ」
「イエス」
エミリーは修理中は全裸状態であり、渡されたいつものコスチュームを着た。
基本的にシンディとは構造の同じ服だが、シンディが肘まで隠れる革手袋を嵌めるのに対し、エミリーは手首までの白い手袋(運転手やホテルのドアマンなどが着ける物)を着ける。
以前はシンディと同じ革手袋を着けていたが、南里が在世していた頃、平賀が進言したことがあり、それが通った形だ。
どうしても黒い革手袋は威圧感があり、エミリーを世の為・人の為に働かせるのなら、白手袋の方が良いと。
シンディにあっては平賀の管理下に無い為、余計なことを言わないだけだ。
ただ、敷島も薄々感じているのか、自分の会社で秘書として働かせている間は手袋を取らせている。
ブースターを内蔵したブーツを履くと、
「お待たせ・しました」
「よし。じゃ、行こう」
鳥柴が、
「夜のヒューストンも治安が悪いので、車でお送りします」
「お願いします。まあ、こっちには強力な護衛がいますけどね」
平賀は後ろからついてくるエミリーのことを暗に言った。
「ギャングの1つや2つ、1日で潰せます」
「お任せ・ください」
「ま、まあ、取りあえずはホテルに入って、お休みください」
キャデラックでホテルに送られたが、クエントは入院中である為、運転手は別の人物であった。
確かに途中で、ストリートギャング……ではないだろうが、恐らく夜の町の治安を悪くしているであろう集団をちらほら見ることができた。
先ほどのヒューストン工場は郊外にあるからまだいい上に、セキュリティもしっかりしている。
ホテルも高級な部類に入り、ホテル荒らしに注意すれば良い。
「敷島さん達は、もう寝てるかな」
「イエス。シンディは・充電中と・思われます。それは・既に・敷島社長や・ドクター・アリスが・お休みに・なられている・公算に・なるかと」
「そうだな」
ヒルトンホテルに入ると、その部屋は広く、エミリーを保管して寝るにはちょうど良かった。
「もうバッテリーは満タンに近いが、取りあえず、コードは繋いでおく。明日、100%の状態で動けるようにしておいてくれ」
「イエス。プロフェッサー平賀」
エミリーはバスルームのバスタブに湯を張った。
平賀の為に動くエミリーを見て、
「……うん。自分も、これでいいと思う」
と、頷いた。
(アメリカ人の考えるマルチタイプは、日本人の自分らが考えるマルチタイプとは違うみたいだな。アルバート所長は、まるで自分達がマルチタイプをメイドロイドの代わりとして使うことを否定していたが、大いなる誤解だ。メイドロイドの仕事もできるというだけで、それだけに使うというわけではないんだがな)
「プロフェッサー平賀、お湯の・温度は・42度で・よろしいですか?」
「それで頼む」
「イエス」
もちろん、バスタブの蛇口に温度を調整できるスイッチがあるわけではない。
エミリーが手を入れて、そのセンサーで温度を測っているのである。
「風呂上がりに、マッサージも頼む。さすがに、今回は疲れた」
「かしこまりました。お湯の・用意が・できました」
「うん。ありがとう」
敷島は色々とビジネスマンとしての策略を練っているようであり、マルチタイプの研究を全てデイライト・ジャパンにさせるよう、重役に提案するつもりであるという。
但し、敷島の立場はあくまで外部であるため、アリスにそれを言わせるつもりであるようだ。
アルバート所長の失敗を見て、平賀もその方が良いと思うようになった。
(そもそも、人間そっくりのロイドを作るなんて発想、日本ならではだからな。確かに、日本に全て任せてもらった方がいいかもしれない)
ロボット産業の草分け的企業であるデイライト・コーポレーションだったが、この事件でもって、人間型ロイドの開発には懲りただろうから……。
エミリーはシンディよりも損傷が激しかった為、部品調達などが容易な工場に搬送された。
幸い、人手も工場の従業員などを借りることができ、修理は順調に進んだ。
工場に運び込まれたロイドはエミリーだけでなく、残骸となったジャニスとルディ、そしてマーティであった。
ジャニスとルディにあっては社内でも公表されていたが、マーティはまだ実験中であった為か、知られていなかった。
平賀はエミリーの修理を最優先にしても良い上、それに関する支援を受けられる代わり、ジャニス達の調査への協力を頼まれた。
デイライト・アメリカにも研究者はいたのだが、あの騒ぎで大部分が殺されたり、重傷・重体になったりして、満足に調査できる状態ではなかったからだ。
「……これで良し。あとは、新しいバッテリーを装着して起動させるだけ」
手伝いや見学していたデイライト社員からは歓声が上がった。
充電済みの新しいバッテリーを装着して起動させると、エミリーが目を覚ました。
そして起動時に行う、ロボット三原則の唱和を行う。
これは特に規格で決まっているわけではないが、日本製の特徴である。
「お疲れさまでした、平賀教授」
同じく立ち会いをしていた鳥柴が声を掛けてくる。
「すぐに宿舎に入ってお休みください」
「そうさせてもらいます。いや、さすがに30代に入ったばかりくらいまでは3徹(3日間徹夜)しても大丈夫だったのに、そろそろキツくなって来ましたよ」
「本来でしたらこの後、ジャニス達の調査のお手伝いをお願いをする所ですが、状況が状況なだけに、後日にしてもらうようお願いしておきました」
と、鳥柴が言った。
「まあ、時間も時間というのもあるんですが」
「日本時間だと、真昼なんですがねぇ……」
平賀が部屋の外に出ようとすると、エミリーがついて来ようとする。
「あ、エミリー。ちょっとタバコ吸って来るから、そこで待っててくれ。まだ、コードやらケーブルやら外してない」
「……イエス。プロフェッサー平賀」
確かに、エミリーの体には何本かそれが繋がったままだった。
エミリーは平賀達を見送ると、上半身を再び台の上に横たえた。
シンディと交信しようとするが、シンディが応答しない。
但し、接続はされるので、恐らく充電中なのだろう。
GPSで追うと、アーカンソー州リトルロックにいることが分かった。
製造されて間もない“ヒヨっ子”なら、慌てて姉妹機の所に駆け付けようとして一騒動起こすところだが、長年稼働して学習を重ねているエミリーなら、シンディの置かれている状況を“予想”でき、当たっていそうな確率の高い予想は深刻なものではない為、慌てる必要は無い。
しばらくして平賀が戻ってくると、体中に接続されていたコードなどが外された。
「よし。すぐに服を着たら、出発するぞ」
「イエス」
エミリーは修理中は全裸状態であり、渡されたいつものコスチュームを着た。
基本的にシンディとは構造の同じ服だが、シンディが肘まで隠れる革手袋を嵌めるのに対し、エミリーは手首までの白い手袋(運転手やホテルのドアマンなどが着ける物)を着ける。
以前はシンディと同じ革手袋を着けていたが、南里が在世していた頃、平賀が進言したことがあり、それが通った形だ。
どうしても黒い革手袋は威圧感があり、エミリーを世の為・人の為に働かせるのなら、白手袋の方が良いと。
シンディにあっては平賀の管理下に無い為、余計なことを言わないだけだ。
ただ、敷島も薄々感じているのか、自分の会社で秘書として働かせている間は手袋を取らせている。
ブースターを内蔵したブーツを履くと、
「お待たせ・しました」
「よし。じゃ、行こう」
鳥柴が、
「夜のヒューストンも治安が悪いので、車でお送りします」
「お願いします。まあ、こっちには強力な護衛がいますけどね」
平賀は後ろからついてくるエミリーのことを暗に言った。
「ギャングの1つや2つ、1日で潰せます」
「お任せ・ください」
「ま、まあ、取りあえずはホテルに入って、お休みください」
キャデラックでホテルに送られたが、クエントは入院中である為、運転手は別の人物であった。
確かに途中で、ストリートギャング……ではないだろうが、恐らく夜の町の治安を悪くしているであろう集団をちらほら見ることができた。
先ほどのヒューストン工場は郊外にあるからまだいい上に、セキュリティもしっかりしている。
ホテルも高級な部類に入り、ホテル荒らしに注意すれば良い。
「敷島さん達は、もう寝てるかな」
「イエス。シンディは・充電中と・思われます。それは・既に・敷島社長や・ドクター・アリスが・お休みに・なられている・公算に・なるかと」
「そうだな」
ヒルトンホテルに入ると、その部屋は広く、エミリーを保管して寝るにはちょうど良かった。
「もうバッテリーは満タンに近いが、取りあえず、コードは繋いでおく。明日、100%の状態で動けるようにしておいてくれ」
「イエス。プロフェッサー平賀」
エミリーはバスルームのバスタブに湯を張った。
平賀の為に動くエミリーを見て、
「……うん。自分も、これでいいと思う」
と、頷いた。
(アメリカ人の考えるマルチタイプは、日本人の自分らが考えるマルチタイプとは違うみたいだな。アルバート所長は、まるで自分達がマルチタイプをメイドロイドの代わりとして使うことを否定していたが、大いなる誤解だ。メイドロイドの仕事もできるというだけで、それだけに使うというわけではないんだがな)
「プロフェッサー平賀、お湯の・温度は・42度で・よろしいですか?」
「それで頼む」
「イエス」
もちろん、バスタブの蛇口に温度を調整できるスイッチがあるわけではない。
エミリーが手を入れて、そのセンサーで温度を測っているのである。
「風呂上がりに、マッサージも頼む。さすがに、今回は疲れた」
「かしこまりました。お湯の・用意が・できました」
「うん。ありがとう」
敷島は色々とビジネスマンとしての策略を練っているようであり、マルチタイプの研究を全てデイライト・ジャパンにさせるよう、重役に提案するつもりであるという。
但し、敷島の立場はあくまで外部であるため、アリスにそれを言わせるつもりであるようだ。
アルバート所長の失敗を見て、平賀もその方が良いと思うようになった。
(そもそも、人間そっくりのロイドを作るなんて発想、日本ならではだからな。確かに、日本に全て任せてもらった方がいいかもしれない)
ロボット産業の草分け的企業であるデイライト・コーポレーションだったが、この事件でもって、人間型ロイドの開発には懲りただろうから……。
んっ?さんの
>一方で巌虎さんは
「何を書こうがアク禁にしない」と云ってますが
最近、私があそこに登場しないのは
何故なのか解りますか?ww
第一号ですか?
それとも知らないうちにアク禁にされてる人が居るとか。
しかし、言ってることとやってることが違っていた。
でも淺井昭衛の弟子だから、師匠の真似をしているだけ何でしょう。w
>学会員さん達は日蓮正宗を破門されて、どう思うのだろうか。
いや、「破門を勝ち取った」と豪語しておきながら、「勝手に破門しておいて」と言う輩がいるようでね。
上層部と末端の違いでしょう。
52年路線の延長で、いつかはと目論んでいたみたいですが、独立すると日蓮大聖人の名前が使いにくくなる。
でも、破門されたのなら大石寺が悪いてシナリオですね。
事の発端になった、録音テープですか。
結局テープの内容が違った。
だけど、謝罪もない。そんなこんなで、破門に発展。
破門した宗門が悪い。
これで、堂々と独立教団の道に進めた。
だから、魂の独立と言うわけです。
魂を束縛されていたて事でしょう。
これがホンね。
勝手に破門は末端の人間が、会合や聖教新聞でこれでもかとすり込まれた内容。
本当に勝手に破門なら、魂の独立とか言わないでしょ。
乗務員さんは冥界鉄道公社からの出向ですw
私は法華ツアーのツアーコンダクターですねw
それより巌虎さんは御自身のブログで、私のコメントに対して「何か誤解している」とのことですが、やはり何かしたのは事実のようですね。
少なくとも、「何か誤解されるようなことをした」という自覚はお持ちのようですので。
私はもう、あそこへの書き込みはしません。
雲羽さんは「歓迎されてる」ですから、
今まで通り書き込みして下さいdv_jw
そのようですが、特定の書き込み者の脅迫に屈して、特定の方を排除するようなブログに書き込みしたくなくなりましたよ。
巌虎さんから具体的な説明があるまで、書き込みは控えます。