報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「動き出す鬼」

2023-07-11 20:13:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月31日23時30分 天候:曇 栃木県那須塩原市某所 ホテル天長園8階・展望レストラン]

 部屋に戻って銘々に過ごしていたリサ達だったが、内線電話が掛かって来た。
 それはフロントからで、『年越しそば』ができたので、どうぞ食べに来てほしいというものだった。
 そこでリサ達は、再び8階の展望レストランに向かった。

 上野利恵「どうぞ、縁起の良い年越しそばでございます」
 愛原「ありがとう」

 展望レストランはガラガラだった。

 愛原「他に食べに来る客はいないのか?」
 利恵「天長会の信者さん達は、食べてすぐ聖堂に向かわれるので、1階のレストランで召し上がっておられます。愛原様方は、特別にこちらで」
 愛原「そうなんだ。お気遣い、ありがとう」

 テーブルの上には、丼に盛られた肉そばがあった。
 普通、年越しそばというと、掛けそばを思いつくのだが……。

 リサ「むむっ!肉がいっぱい」
 利恵「姉さんに合わせてのことですよ」
 愛原「わざわざ、この為だけに牛肉を?」
 利恵「フードロス対策の為です」

 それを聞いて、リサはピンと来た。
 具材が、夕食の1人鍋に出て来たすき焼きとよく似ているのだ。
 ネギやシイタケ、牛肉や蒲鉾はすき焼きの具材にも使われる。

 リサ「なるほど。食材の有効活用か。頂きます」
 利恵「姉さん、どうかこれで許し……」
 リサ「……先生を食い殺そうとしたくせに、これだけで許せるわけないだろ」

 リサは赤い瞳でギロリと利恵を睨みつけ、牙を剥き出して反論した。
 尚、この2人は実の姉妹ではなく、遠い親戚の従姉妹同士であることが分かっている。
 2人ともタイプは違えど、人食い鬼型BOWであり、人間だった頃の記憶が殆ど無くなるため、どのような姉妹関係だったのかさえ忘れてしまう。
 因みにリサはGウィルスとTウィルスのブレンドだったものが、紆余曲折を経てTウィルスが無くなり、代わりに特異菌が入っている。
 利恵はTウィルスと特異菌。
 Gウィルスの方が変化しやすい為、強さはリサの方が上だとされるが……。

 利恵「……ですよね、ごめんなさい」
 リサ「フン……」
 愛原「それより早く食べよう。そして、残さず食べるんだぞ。日付が変わる前に食べきらないと、縁起が悪いんだからな」
 高橋「さすがは先生です」
 リサ「承知!」
 利恵「それと愛原様」
 愛原「何だ?」
 利恵「明日のお帰りなのですが、年末年始は送迎バスがお休みで……」
 愛原「ああ、知ってる。バスのフリーパスは明日まで有効だから、明日はバスで帰るよ」
 利恵「申し訳ございません」
 愛原「いいよいいよ。どうせ、電車でゆっくり帰るし」
 利恵「それでしたら、チェックアウトをゆっくりなさいませんか?」
 愛原「えっ?」
 利恵「明日はお正月ですし……」

 利恵の提案は意外なものだった。
 リサは正直あまり食指が動かなかったのだが、愛原と絵恋が思いっきり食指が動いたことにより、自分もそれに乗らざるを得なかった。

[1月1日02時12分 天候:晴 栃木県北部某所 某街道沿いの廃業したドライブイン跡]

 作者が中高生の時、地方ではまだ暴走族が生き残っていた。
 そんな彼らは『お正月暴走』または『初日の出暴走』と称し、朝日に向かって夜通し暴走行為を行っていた。
 今、そんな暴走族は殆ど壊滅しており、夢よもう一度とばかりに、大人の旧車会が似たような行為をすることはたまにあるという。
 しかし今回、現場となった場所には、もっと若い暴走族達がたむろしていた。
 たむろというか、むくろというか……そんな状態である。
 どんな状態かというと……、一言で言えば死屍累々。
 暴走族同士の抗争だろうか?
 いや、違う。
 暴走族達は、たった1人の男に潰されようとしていた。
 その男とは……。

 鬼の男「ナメた口聞きやがって……!人間の分際で……!!」
 暴走族A「ご、ゴメンナサイ……許してくだひゃい……」

 鬼の男に首を掴まれ、持ち上げられた暴走族の男は、顔中血だらけであり、手足の骨は折れ、尿失禁を起こしていた。
 次の瞬間、ゴキュッ!という音がして、暴走族の男は鬼の男に首を捩じられて絶命した。

 鬼の男「くそっ!しかも男ばっかりか!使えねぇ!」

 鬼の男はかなり苛立った様子で、牙を剥き出しにし、死体となった男の肉に齧りついた。

 鬼の男「不味い。やっぱり人間の肉は、女に限る」

 そう呟いて、鬼の男はリサの顔を思い浮かべた。

 鬼の男「あれで男だと?信じられねぇ……。あれは絶対ウソだ。何かの間違いだ。あんなかわいいコが男だなんて……!」
 暴走族B「うう……助けてくれ……」

 その時、まだ生きている暴走族がいた。
 それはメンバーの中でも、女顔の伊達男と呼ばれる者だったと鬼の男は思い出した。

 鬼の男「待てや、コラ!」
 暴走族B「ひいっ!!」
 鬼の男「脱げよ」
 暴走族B「た、助けて……」

 鬼の男は暴走族Bの下半身を脱がした。
 男なので、当然アレが付いている。
 鬼の男は、それを【ぴー】して、【ぴー】して去勢させた。

 暴走族B「うぎゃああああああっ!!」
 鬼の男「ちっ、いちいちうるせーんだよ。オメーんとこのチームに女がいねぇから、こんなことになるんだ」

 無理やり断種・去勢された暴走族Bは、白目を剥いて、泡を吹いていた。

 鬼の男「ふっ、なるほど……」

 鬼の男はニヤリと笑った。

 鬼の男「こうなったら、あいつのチ○○引っこ抜きゃいいよなァ!?ふははははははははは!!」

 その時、背後に現れる者がいた。

 栗原蓮華「さっきから騒がしいと思っていたら、ここにいたのか。人食い鬼が」

 蓮華は剣道着を着用しており、手には栗原家に伝わる宝刀の一振りを手にしていた。
 これで鬼の首を刎ねれば、どんな鬼でも2度と首が繋がることはないとされている。
 実際、蓮華はこれで日本版リサ・トレヴァーの首を何人も刎ねて来た。

 鬼の男「おおっ!人間の女!やっと美味い肉が食えるぞ!」
 蓮華「あいにくと、そこの暴走族が最後の食事になる」

 蓮華は日本刀を構えると、鬼の男と対峙した。
 勝負の結果は……次回に続く!

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