[12月28日17時00分 天候:晴 埼玉県さいたま市中央区鈴谷 浦和西警察署入口バス停→国際興業バス新都01系統車内]
事件の後、私達は消防や警察から事情を聞かれた。
もちろん、奇怪な放火事件ということもあり、特に警察からの事情聴取は長引いた。
事情を聴く為として、上落合地区を管轄している浦和西警察署に連行されたものだ。
当初は私達が放火または失火させたものだと思ったらしい。
特に高橋が前科ありの執行猶予者ということで、尚更警察が注目した。
もちろん高橋は暴行や傷害、暴走行為の前科は数犯あれど、放火の前科は1つも無い。
それに、火災は私達が家の中にいて巻き込まれたものだ。
もしも仮に私達が放火犯だったとして、自分達を首を絞めるような放火の仕方などするだろうかという反論をした。
ようやく疑いが晴れたところで、今度は私達が被害者として被害届を出すことになった。
要は放火殺人未遂だな。
あの火災は、明らかに私達を焼死させようとした誰かがやったものだ。
そして、終わった頃には火が暮れていた。
警察にいる時に、善場主任から電話があった。
何だったら、善場主任が身元引受人になっても良いとまで言ってくれた。
もしかしたら、警察にも何か言ってくれたのかもしれない。
とにかく、私達が警察署から出た時には日が暮れていた。
愛原「取りあえず、絵恋さん達が待つイオンモールに行こう。確か、近くのバス停からバスで行けるはずだ」
高橋「はい」
尚、不動産屋の松浦氏は、不動産会社が寄こした迎えの車に乗って行った。
高橋「あのバーコードヘッド、俺達も乗せてけってんだ」
愛原「まあまあ。俺達はあの家を買いに来た客じゃないしな」
もしも客だったら、それこそマンションまで乗せてくれたかもしれない。
愛原「肝心の家が全焼しちゃったけど、蓮華さん、報酬払ってくれるかな?」
高橋「これでタダ働きだったら、あのクソ女、レイプしてやりますよ」
愛原「首を刎ねられないように気を付けてな?」
ようやくバス停に着いて、バスを待っていると、私のスマホに着信があった。
パールからだった。
パール「もしもし?愛原先生ですか?」
愛原「あー、パール。悪いな、待たせて。ちょっと、大変なことになっちゃって……」
パール「それは構わないんですけど、こっちはもっと大変なことになって……」
愛原「何だ?今度はイオンモールが放火されたのか?」
パール「そうじゃないんです。リサ様が車の後ろでお待ちになっていたんです」
愛原「えっ、リサがそっちにいるのか!?」
パール「さようでございます」
愛原「で、リサの何が大変なんだ?」
確かリサは、『鬼』を発見して急いで追い掛けた。
ようやく、その『鬼』の首でも持ってきたのだろうか?
パール「全裸だったんです」
愛原「は!?」
パール「私、モールの立体駐車場の最上階に車を止めていたんです。先生方から何の連絡も無かったので、御嬢様がついに痺れを切らしてしまいまして……。それで、様子を見に行こうってなったんです。で、車に戻ったら、車の後ろに隠れるようにして全裸のリサ様が……」
愛原「何で裸なんだよ!?」
パール「何でも、『男の鬼にマッパにされた。火を吐く鬼だった』と」
愛原「はあ!?」
本当なら焼死するレベルだろう。
しかし、リサも鬼……というか、鬼型BOW。
確かに炎に巻かれたくらいでは死なない。
皮膚はその時は焼け爛れたとしても、すぐに回復してしまう。
だが、服は普通の人間の服だ。
それは燃えてしまうだろう。
それで、全裸だったようだ。
愛原「それで、どうしてイオンモールの立駐にいたんだ?」
パール「リサ様の猛反撃で、その『鬼』は逃げ出したそうです。それが、モールの近くだったそうなんですよ」
あの近くには首都高が通っている。
『鬼』の男は、半死半生ながら、長距離トラックの荷台に飛び乗って、それで逃げたというのだ。
愛原「分かった。俺達も、バスでそっちに行くところだ。リサは?」
パール「取りあえず、車の中にいて頂いております」
愛原「車の中に毛布があっただろ?取りあえず、それに包まってもらえ」
パール「かしこまりました」
高橋「先生、バス来ました」
愛原「ああ」
ヘッドライトを点灯し、バス停にいる私達を見つけたバスは、左ウィンカーを上げて私達の前に停車した。
〔白鍬電建住宅、イオンモール与野経由、さいたま新都心駅西口行きでございます〕
引き戸式の中扉が開いて、私達はそこからバスに乗り込んだ。
平日の夕方ということもあり、席は空いておらず、私達は吊り革に掴まった。
〔発車致します。ご注意ください〕
私達が乗り込み、何名かの乗客を降ろしたバスは、2つの乗降扉を閉めて発車した。
〔♪♪♪♪。このバスは白鍬電建住宅、イオンモール与野経由、さいたま新都心駅西口行きです。次は彩の国さいたま芸術劇場入口、彩の国さいたま芸術劇場入口でございます〕
私は左手で吊り革に掴まりながら、善場主任にメールを送った。
リサが追い掛けたのは、男の『鬼』であること。
その『鬼』は、火を吐く能力があること。
リサも電撃使いであることから、その男の『鬼』も、何がしかのBOWである可能性があることを送信した。
善場主任は了解した旨を返信した後、リサと合流して、もっと詳しい話を聞くようにと指示してきた。
愛原「よし。善場主任への報告は、これでいいだろう」
高橋「さすが先生っス」
思えばバスに乗ってしまったが、この場合はタクシーを呼んで向かうのが正解だったかもしれないな。
[同日17時20分 天候:晴 同区円阿弥 円阿弥バス停→同区本町西 イオンモール与野バス停]
〔♪♪♪♪。次はイオンモール与野、イオンモール与野でございます。……〕
途中から車内が空いてきたので、私と高橋は空いた座席に座った。
そして、ようやく下車バス停が近づいてくる。
私は降車ボタンを押した。
〔次、止まります。……〕
この辺りは県道を走行するが、途中で国道17号線新大宮バイパスを横断したり、首都高の下を潜ったりする。
当然そこと接するわけだから、大型車は路線バスだけではないということだ。
その国道をひたすら走るのか、はたまたこの近くの首都高入口から首都高に乗るのか、長距離トラックとすれ違ったりする。
その理由は、イオンモールもあるからだろう。
イオンモールに搬入に来るトラックの中には、他の地方から来た長距離トラックとかも含まれているはずだ。
パールからの又聞きではあるが、どうやらリサとの戦いに敗れた『鬼』の男は、そんなトラックの荷台に便乗して逃げたようなのだ。
そのトラックが何だったのかが特定できれば、そいつがどこに逃げたのかも分かるのではないか。
そう思った。
〔「イオンモール与野です」〕
バスが停留所に到着し、折り戸式の前扉が開く。
ここでは私達を含め、下車客は数人しかいなかった。
その代わり、バス停には長蛇の列ができている。
空いていたバスも、ここからまた混雑するようだ。
高橋「モールに着きましたが、どうします?」
愛原「まずはリサが待っている車に行こう。パール達もそこにいるから」
高橋「パールの野郎、先生のお出迎えに来いってんだ」
愛原「別にいいよ。もしかしたら、またその『鬼』が襲ってくるかもしれない。しかも、今度は絵恋さんがいる。全裸のリサでは戦いにくいだろう。そんな時、ナイフ使いのパールがいれば安心だ」
高橋「あのレズガキも空手の黒帯らしいっスから、大丈夫だと思いますけどね」
愛原「まあまあ。とにかく、先を急ごう」
バスを降りた私達は、足早にモールの中へと向かって行った。
事件の後、私達は消防や警察から事情を聞かれた。
もちろん、奇怪な放火事件ということもあり、特に警察からの事情聴取は長引いた。
事情を聴く為として、上落合地区を管轄している浦和西警察署に連行されたものだ。
当初は私達が放火または失火させたものだと思ったらしい。
特に高橋が前科ありの執行猶予者ということで、尚更警察が注目した。
もちろん高橋は暴行や傷害、暴走行為の前科は数犯あれど、放火の前科は1つも無い。
それに、火災は私達が家の中にいて巻き込まれたものだ。
もしも仮に私達が放火犯だったとして、自分達を首を絞めるような放火の仕方などするだろうかという反論をした。
ようやく疑いが晴れたところで、今度は私達が被害者として被害届を出すことになった。
要は放火殺人未遂だな。
あの火災は、明らかに私達を焼死させようとした誰かがやったものだ。
そして、終わった頃には火が暮れていた。
警察にいる時に、善場主任から電話があった。
何だったら、善場主任が身元引受人になっても良いとまで言ってくれた。
もしかしたら、警察にも何か言ってくれたのかもしれない。
とにかく、私達が警察署から出た時には日が暮れていた。
愛原「取りあえず、絵恋さん達が待つイオンモールに行こう。確か、近くのバス停からバスで行けるはずだ」
高橋「はい」
尚、不動産屋の松浦氏は、不動産会社が寄こした迎えの車に乗って行った。
高橋「あのバーコードヘッド、俺達も乗せてけってんだ」
愛原「まあまあ。俺達はあの家を買いに来た客じゃないしな」
もしも客だったら、それこそマンションまで乗せてくれたかもしれない。
愛原「肝心の家が全焼しちゃったけど、蓮華さん、報酬払ってくれるかな?」
高橋「これでタダ働きだったら、あのクソ女、レイプしてやりますよ」
愛原「首を刎ねられないように気を付けてな?」
ようやくバス停に着いて、バスを待っていると、私のスマホに着信があった。
パールからだった。
パール「もしもし?愛原先生ですか?」
愛原「あー、パール。悪いな、待たせて。ちょっと、大変なことになっちゃって……」
パール「それは構わないんですけど、こっちはもっと大変なことになって……」
愛原「何だ?今度はイオンモールが放火されたのか?」
パール「そうじゃないんです。リサ様が車の後ろでお待ちになっていたんです」
愛原「えっ、リサがそっちにいるのか!?」
パール「さようでございます」
愛原「で、リサの何が大変なんだ?」
確かリサは、『鬼』を発見して急いで追い掛けた。
ようやく、その『鬼』の首でも持ってきたのだろうか?
パール「全裸だったんです」
愛原「は!?」
パール「私、モールの立体駐車場の最上階に車を止めていたんです。先生方から何の連絡も無かったので、御嬢様がついに痺れを切らしてしまいまして……。それで、様子を見に行こうってなったんです。で、車に戻ったら、車の後ろに隠れるようにして全裸のリサ様が……」
愛原「何で裸なんだよ!?」
パール「何でも、『男の鬼にマッパにされた。火を吐く鬼だった』と」
愛原「はあ!?」
本当なら焼死するレベルだろう。
しかし、リサも鬼……というか、鬼型BOW。
確かに炎に巻かれたくらいでは死なない。
皮膚はその時は焼け爛れたとしても、すぐに回復してしまう。
だが、服は普通の人間の服だ。
それは燃えてしまうだろう。
それで、全裸だったようだ。
愛原「それで、どうしてイオンモールの立駐にいたんだ?」
パール「リサ様の猛反撃で、その『鬼』は逃げ出したそうです。それが、モールの近くだったそうなんですよ」
あの近くには首都高が通っている。
『鬼』の男は、半死半生ながら、長距離トラックの荷台に飛び乗って、それで逃げたというのだ。
愛原「分かった。俺達も、バスでそっちに行くところだ。リサは?」
パール「取りあえず、車の中にいて頂いております」
愛原「車の中に毛布があっただろ?取りあえず、それに包まってもらえ」
パール「かしこまりました」
高橋「先生、バス来ました」
愛原「ああ」
ヘッドライトを点灯し、バス停にいる私達を見つけたバスは、左ウィンカーを上げて私達の前に停車した。
〔白鍬電建住宅、イオンモール与野経由、さいたま新都心駅西口行きでございます〕
引き戸式の中扉が開いて、私達はそこからバスに乗り込んだ。
平日の夕方ということもあり、席は空いておらず、私達は吊り革に掴まった。
〔発車致します。ご注意ください〕
私達が乗り込み、何名かの乗客を降ろしたバスは、2つの乗降扉を閉めて発車した。
〔♪♪♪♪。このバスは白鍬電建住宅、イオンモール与野経由、さいたま新都心駅西口行きです。次は彩の国さいたま芸術劇場入口、彩の国さいたま芸術劇場入口でございます〕
私は左手で吊り革に掴まりながら、善場主任にメールを送った。
リサが追い掛けたのは、男の『鬼』であること。
その『鬼』は、火を吐く能力があること。
リサも電撃使いであることから、その男の『鬼』も、何がしかのBOWである可能性があることを送信した。
善場主任は了解した旨を返信した後、リサと合流して、もっと詳しい話を聞くようにと指示してきた。
愛原「よし。善場主任への報告は、これでいいだろう」
高橋「さすが先生っス」
思えばバスに乗ってしまったが、この場合はタクシーを呼んで向かうのが正解だったかもしれないな。
[同日17時20分 天候:晴 同区円阿弥 円阿弥バス停→同区本町西 イオンモール与野バス停]
〔♪♪♪♪。次はイオンモール与野、イオンモール与野でございます。……〕
途中から車内が空いてきたので、私と高橋は空いた座席に座った。
そして、ようやく下車バス停が近づいてくる。
私は降車ボタンを押した。
〔次、止まります。……〕
この辺りは県道を走行するが、途中で国道17号線新大宮バイパスを横断したり、首都高の下を潜ったりする。
当然そこと接するわけだから、大型車は路線バスだけではないということだ。
その国道をひたすら走るのか、はたまたこの近くの首都高入口から首都高に乗るのか、長距離トラックとすれ違ったりする。
その理由は、イオンモールもあるからだろう。
イオンモールに搬入に来るトラックの中には、他の地方から来た長距離トラックとかも含まれているはずだ。
パールからの又聞きではあるが、どうやらリサとの戦いに敗れた『鬼』の男は、そんなトラックの荷台に便乗して逃げたようなのだ。
そのトラックが何だったのかが特定できれば、そいつがどこに逃げたのかも分かるのではないか。
そう思った。
〔「イオンモール与野です」〕
バスが停留所に到着し、折り戸式の前扉が開く。
ここでは私達を含め、下車客は数人しかいなかった。
その代わり、バス停には長蛇の列ができている。
空いていたバスも、ここからまた混雑するようだ。
高橋「モールに着きましたが、どうします?」
愛原「まずはリサが待っている車に行こう。パール達もそこにいるから」
高橋「パールの野郎、先生のお出迎えに来いってんだ」
愛原「別にいいよ。もしかしたら、またその『鬼』が襲ってくるかもしれない。しかも、今度は絵恋さんがいる。全裸のリサでは戦いにくいだろう。そんな時、ナイフ使いのパールがいれば安心だ」
高橋「あのレズガキも空手の黒帯らしいっスから、大丈夫だと思いますけどね」
愛原「まあまあ。とにかく、先を急ごう」
バスを降りた私達は、足早にモールの中へと向かって行った。
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