[10月2日12:00.天候:曇 宮城県遠田郡美里町某所 愛原公一の家]
チェーンカッターを入手したリサ達は、再び家の中へ戻った。
家の外は化け物がいたが、中は相変わらず静かなものだ。
異変さえなければ、長閑なものである。
リサ:「お昼ごはん」
愛原:「今からかよ!?」
リサ:「もうお昼だし」
リサは家の中の時計を指さした。
真っ昼間なのに薄暗いのは、雲っているからだろう。
リサは台所に行くと、勝手に冷蔵庫を開けた。
すると、中には公一が作り置きしていたであろうお握りが2つほど入っていた。
リサ:「おー!」
愛原:「これは伯父さんが昼食用に作り置きしていたヤツだろう。勝手に食べるのは……」
リサ:「美味しい」
愛原の注意も効かず、リサは冷蔵庫の中を食べ漁った。
高橋:「こういう所はゾンビ同然だな」
高橋も呆れたように言う。
愛原:「しょうがない。俺達は先に、袋棚の封印を解こう」
高橋:「分かりました」
愛原と高橋は、仏間の方へ行ってしまった。
リサはお握りの他、焼き魚や冷凍庫にある生の牛肉までペロリと平らげた。
リサ:(そういえば、この仕事が終わったら、焼肉食べ放題なんだった。それなら、腹8分目っていうし……)
リサは最後に冷蔵庫に入っていたペットボトルのお茶を飲んで、それから昼食を終えた。
大食のBOWが冷蔵庫の中身をどれだけ食べたかは、【お察しください】。
リサ:「先生の後を追おう」
だが、その前にトイレに寄ることにした。
元は公民館だった建物なので、トイレは男女に分かれている。
もっとも、政令指定都市にあるような公民館と違い、それはとても小さく、実際は集会所に近い広さである。
リサはその女子トイレに立ち寄って、用を足した。
リサ:「ん?何これ?」
洋式便器の下に、バルブハンドルが落ちていた。
周りを見渡すと、トイレの水を供給する水道管に付いていたバルブハンドルのようだった。
確かに、これではレバーを押しても水が流れない。
急いで、取り付けなければ。
しかし、手を伸ばして届く所にハンドル取り付け位置があるわけではない。
だが、こういう時、BOWは便利だ。
リサは右手から触手を出すと、それでバルブハンドルを掴み、スーッと伸ばして、ハンドルの位置にそれを取り付けた。
そして、それを回すと水が流れる音がした。
それからレバーを押すと、便器に水が流れたのである。
リサ:「おー、リサ・トレヴァーで良かった。……でも、早く人間に戻りたい」
用を足してから洗面所で手を洗っていると、何かが落ちる音がした。
振り向くと、さっきのバルブハンドルである。
どうやら、元々取り付け具合が良くなかったようだ。
もうここのトイレを使う者はいないだろうから、放っておいても良いのだが……。
リサ:「ん。一応、持って行こう」
リサはバルブハンドルを手に、トイレから出た。
愛原:「遅かったな。腹一杯になったか?」
仏間に行くと、既に袋棚の鉄扉は開扉されていた。
リサ:「腹8分目。で、さっきトイレに行ってきたから、またお腹空くと思う」
愛原:「夕食までには、仕事終わらせたいなよな」
リサ:「で、奥には何があったの?」
愛原:「隠し扉&エレベーターだ」
リサ:「エレベーター!?」
仏壇の下を潜るように進むと、1つの小部屋に入る。
位置関係からして、女子トイレと隣り合わせになっているはずだ。
そこには、古めかしい木製扉のエレベーターがあった。
リサが以前聞いた機械の音は、これだったのか。
小部屋の照明も、電球1個というものだった。
だが、その電球というのがLED電球であることから、この小部屋は今も使われている。
ということは、そのエレベーターも使われているということだ。
リサ:「それじゃ早く、下に……」
愛原:「それが電源が入ってなくて、ボタンを押しても、うんともすんとも言わないんだ」
リサ:「それじゃ……」
愛原:「ここに、スイッチを入れる鍵穴がある。どこかで、鍵を見つけてこないと」
高橋:「え?また、大手町中央ビルから鍵を借りてくるんスか?」
愛原:「いやあ、これは三菱じゃないだろう。とても古い……恐らく、オーチス辺りじゃないか?」
高橋:「じゃあ、どうするんですか?」
愛原:「今も使われているのなら、きっとこの家のどこかに鍵があるはず。で、どうやらその鍵の在り処、あの秋葉氏が知っていたようだ」
愛原は秋葉が持っていたメモ書きを取り出した。
『ELVキー→仏壇→足し算』と書かれていた。
高橋:「足し算って何スか?」
愛原:「分からんな」
リサ達は、取りあえず一旦、仏間に戻ることにした。
仏間に戻って、仏壇を調べてみる。
すると仏壇の下に、小さな引き出しが8つあるのに気付いた。
引き出しの右上にはそれぞれ、小さく『壱』『弐』『参』『肆』『伍』『陸』『七』『八』と書かれていた。
愛原:「この数字を足して、何らかの数字にすると開くというわけかな?」
高橋:「何の数字ですか?」
愛原:「知らん」
愛原は、まず『壱』の引き出しを開けた。
すると、この中にはマグナムの弾が入っていた。
愛原:「高橋、弾を補充しろ」
高橋:「あざっす」
そして、その隣の『弐』の引き出しをあける。
しかし、そこには何も入っていなかった。
次に、『参』の引き出しを開ける。
その中には、薬液の入った瓶が入っていた。
リサ:「これ、回復薬だよ。グリーンハーブを調合したものだね」
愛原:「じゃあ、これも頂いておこう」
そして、次の『肆』の引き出しを開けようとした。
だが、開かない。
愛原:「これは開かないか……」
しかし、その次の『伍』の引き出しも、『陸』の引き出しも、とにかく残りの引き出しは全く開かなかった。
愛原:「参ったな……。恐らく、開かない引き出しのどこかに、エレベーターの鍵が入っているかもしれないのに……」
高橋:「ピッキングか何かで開けますか?」
愛原:「つったって、鍵穴なんて無いだろ」
高橋:「それもそうですね……」
愛原:「多分、今開いてる引き出しも、何かの条件に合っているから、開いているんだろうな」
高橋:「もしかしたら、『一度に開けられる引き出しは、3つまで』とか?」
愛原:「あー、なるほど。しかし、それだと、『足し算』はどこに行ったんだ?」
高橋:「まあ、取りあえずやってみましょう」
愛原は取りあえず、全部の引き出しを閉めた。
今度は、『八』の引き出しを開けようとする。
だが、開かない。
それどころか、『七』の引き出しも開かなかった。
愛原:「これは一体、どういうことなんだ!?」
試しにもう一度、『壱』の引き出しを開けてみる。
これは開いた。
では、『壱』の引き出しを閉めて、『弐』の引き出しを開けようとすると、開かない。
愛原:「???」
どうやら、無条件で開く引き出しは『壱』だけのようだ。
何とかして、『肆』以降の引き出しを開けたい。
さて、一体どうやれば、『肆』以降の引き出しを開けられるだろうか?
チェーンカッターを入手したリサ達は、再び家の中へ戻った。
家の外は化け物がいたが、中は相変わらず静かなものだ。
異変さえなければ、長閑なものである。
リサ:「お昼ごはん」
愛原:「今からかよ!?」
リサ:「もうお昼だし」
リサは家の中の時計を指さした。
真っ昼間なのに薄暗いのは、雲っているからだろう。
リサは台所に行くと、勝手に冷蔵庫を開けた。
すると、中には公一が作り置きしていたであろうお握りが2つほど入っていた。
リサ:「おー!」
愛原:「これは伯父さんが昼食用に作り置きしていたヤツだろう。勝手に食べるのは……」
リサ:「美味しい」
愛原の注意も効かず、リサは冷蔵庫の中を食べ漁った。
高橋:「こういう所はゾンビ同然だな」
高橋も呆れたように言う。
愛原:「しょうがない。俺達は先に、袋棚の封印を解こう」
高橋:「分かりました」
愛原と高橋は、仏間の方へ行ってしまった。
リサはお握りの他、焼き魚や冷凍庫にある生の牛肉までペロリと平らげた。
リサ:(そういえば、この仕事が終わったら、焼肉食べ放題なんだった。それなら、腹8分目っていうし……)
リサは最後に冷蔵庫に入っていたペットボトルのお茶を飲んで、それから昼食を終えた。
大食のBOWが冷蔵庫の中身をどれだけ食べたかは、【お察しください】。
リサ:「先生の後を追おう」
だが、その前にトイレに寄ることにした。
元は公民館だった建物なので、トイレは男女に分かれている。
もっとも、政令指定都市にあるような公民館と違い、それはとても小さく、実際は集会所に近い広さである。
リサはその女子トイレに立ち寄って、用を足した。
リサ:「ん?何これ?」
洋式便器の下に、バルブハンドルが落ちていた。
周りを見渡すと、トイレの水を供給する水道管に付いていたバルブハンドルのようだった。
確かに、これではレバーを押しても水が流れない。
急いで、取り付けなければ。
しかし、手を伸ばして届く所にハンドル取り付け位置があるわけではない。
だが、こういう時、BOWは便利だ。
リサは右手から触手を出すと、それでバルブハンドルを掴み、スーッと伸ばして、ハンドルの位置にそれを取り付けた。
そして、それを回すと水が流れる音がした。
それからレバーを押すと、便器に水が流れたのである。
リサ:「おー、リサ・トレヴァーで良かった。……でも、早く人間に戻りたい」
用を足してから洗面所で手を洗っていると、何かが落ちる音がした。
振り向くと、さっきのバルブハンドルである。
どうやら、元々取り付け具合が良くなかったようだ。
もうここのトイレを使う者はいないだろうから、放っておいても良いのだが……。
リサ:「ん。一応、持って行こう」
リサはバルブハンドルを手に、トイレから出た。
愛原:「遅かったな。腹一杯になったか?」
仏間に行くと、既に袋棚の鉄扉は開扉されていた。
リサ:「腹8分目。で、さっきトイレに行ってきたから、またお腹空くと思う」
愛原:「夕食までには、仕事終わらせたいなよな」
リサ:「で、奥には何があったの?」
愛原:「隠し扉&エレベーターだ」
リサ:「エレベーター!?」
仏壇の下を潜るように進むと、1つの小部屋に入る。
位置関係からして、女子トイレと隣り合わせになっているはずだ。
そこには、古めかしい木製扉のエレベーターがあった。
リサが以前聞いた機械の音は、これだったのか。
小部屋の照明も、電球1個というものだった。
だが、その電球というのがLED電球であることから、この小部屋は今も使われている。
ということは、そのエレベーターも使われているということだ。
リサ:「それじゃ早く、下に……」
愛原:「それが電源が入ってなくて、ボタンを押しても、うんともすんとも言わないんだ」
リサ:「それじゃ……」
愛原:「ここに、スイッチを入れる鍵穴がある。どこかで、鍵を見つけてこないと」
高橋:「え?また、大手町中央ビルから鍵を借りてくるんスか?」
愛原:「いやあ、これは三菱じゃないだろう。とても古い……恐らく、オーチス辺りじゃないか?」
高橋:「じゃあ、どうするんですか?」
愛原:「今も使われているのなら、きっとこの家のどこかに鍵があるはず。で、どうやらその鍵の在り処、あの秋葉氏が知っていたようだ」
愛原は秋葉が持っていたメモ書きを取り出した。
『ELVキー→仏壇→足し算』と書かれていた。
高橋:「足し算って何スか?」
愛原:「分からんな」
リサ達は、取りあえず一旦、仏間に戻ることにした。
仏間に戻って、仏壇を調べてみる。
すると仏壇の下に、小さな引き出しが8つあるのに気付いた。
引き出しの右上にはそれぞれ、小さく『壱』『弐』『参』『肆』『伍』『陸』『七』『八』と書かれていた。
愛原:「この数字を足して、何らかの数字にすると開くというわけかな?」
高橋:「何の数字ですか?」
愛原:「知らん」
愛原は、まず『壱』の引き出しを開けた。
すると、この中にはマグナムの弾が入っていた。
愛原:「高橋、弾を補充しろ」
高橋:「あざっす」
そして、その隣の『弐』の引き出しをあける。
しかし、そこには何も入っていなかった。
次に、『参』の引き出しを開ける。
その中には、薬液の入った瓶が入っていた。
リサ:「これ、回復薬だよ。グリーンハーブを調合したものだね」
愛原:「じゃあ、これも頂いておこう」
そして、次の『肆』の引き出しを開けようとした。
だが、開かない。
愛原:「これは開かないか……」
しかし、その次の『伍』の引き出しも、『陸』の引き出しも、とにかく残りの引き出しは全く開かなかった。
愛原:「参ったな……。恐らく、開かない引き出しのどこかに、エレベーターの鍵が入っているかもしれないのに……」
高橋:「ピッキングか何かで開けますか?」
愛原:「つったって、鍵穴なんて無いだろ」
高橋:「それもそうですね……」
愛原:「多分、今開いてる引き出しも、何かの条件に合っているから、開いているんだろうな」
高橋:「もしかしたら、『一度に開けられる引き出しは、3つまで』とか?」
愛原:「あー、なるほど。しかし、それだと、『足し算』はどこに行ったんだ?」
高橋:「まあ、取りあえずやってみましょう」
愛原は取りあえず、全部の引き出しを閉めた。
今度は、『八』の引き出しを開けようとする。
だが、開かない。
それどころか、『七』の引き出しも開かなかった。
愛原:「これは一体、どういうことなんだ!?」
試しにもう一度、『壱』の引き出しを開けてみる。
これは開いた。
では、『壱』の引き出しを閉めて、『弐』の引き出しを開けようとすると、開かない。
愛原:「???」
どうやら、無条件で開く引き出しは『壱』だけのようだ。
何とかして、『肆』以降の引き出しを開けたい。
さて、一体どうやれば、『肆』以降の引き出しを開けられるだろうか?
もっとも、実家のは3つしか引き出しがありませんでしたが。
そして、引き出しに数字が振られていて、何だか『足し算』をヒントにして開けるというネタは、PS1のホラーアクションゲーム『エコーナイト』から拝借しました。
もっとも、ゲームのは引き出しではなく、ロッカーでしたが。