[2月10日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]
夕食を4人で囲む。
金曜日はカレー。
リサが大好きなビーフがゴロゴロ入ったビーフカレーだった。
尚、辛さは私に合わせて中辛となっている。
辛口が好きなリサと高橋は、これにプラスしてタバスコを掛けたりする。
案の定、リサはカレーをお代わりしていた。
その為、炊飯器は家庭用としてはやや大型の物を導入している。
リサ「誰か来てたの?」
愛原「ああ、善場主任がな」
リサ「善場さんが?わたし、何もしてないよ?」
愛原「いや、違う。何故だか知らないが、公一伯父さんからレターパックが来たから、善場主任に通報したんだ」
リサ「先生の伯父さんも、ブルマ送って来たの?」
愛原「まさか。SDカードだよ。動画が入ってるヤツ。公一伯父さんと、蓮華のお祖父さんが闇取引している所を盗撮したものだよ」
リサ「盗撮ぅ?」
高橋「あれはあの爺さんがやったんですかね?」
愛原「だろうな。だって、公一伯父さんが送って寄こしたんだから」
高橋「何の為に送って来たんですかね?」
愛原「多分、闇取引を持ちかけてきたのは、栗原重蔵氏だ。持ちかけて来たのは向こうであって、こちらから売り込んだわけじゃないという言い訳でもしたかったんじゃないの?或いはその闇取引を持ち掛けて来た人物を告発することで、自分の罪を軽くしようとしたとか……」
高橋「司法取引っスか」
愛原「それに近い。でも、日本では司法取引の制度なんて無いのにな」
高橋「情状酌量の余地を狙うってことっスか?」
愛原「でもなぁ。逃げ続けていたら、情状酌量もヘッタクレも無いぞ」
高橋「確かにそうですね。……日野博士って誰っスかね?」
愛原「また新しい人物が登場したか」
リサ「日野博士……」
リサは首を傾げた。
愛原「どうした?」
リサ「日野って苗字、珍しいかなぁ?」
愛原「珍しくはないが、しかし俺の知り合いにはいないな。東京都日野市とか、日野自動車とか、そういう所では有名だが。それがどうかしたのか?」
リサ「日本版リサ・トレヴァーの中で、唯一の男子の『10番』って、日野って名乗ってたんだよね」
愛原「! そうなのか!」
ただの偶然かもしれないが……。
愛原「他に学校で、日野って苗字の人はいないか?」
リサ「うーん……知ってる人にはいないね」
愛原「でも、よくよく考えてみたら変な話だな。日本版リサ・トレヴァーって、対象者は皆女の子なのに、どうして『10番』だけ男子なんだ?」
リサ「さあ……」
リサは首を傾げた。
もちろん、男子でも実験できないか試してみたと言えばそれまでだ。
しかし、実験のコンセプトが……。
愛原「『10番』って、霧生市の研究所にいたか?」
リサ「知らない。少なくとも、皆セーラー服を着てたから、いなかったと思うよ。もちろん、日本版リサ・トレヴァーって、全員が霧生市の研究所にいたわけじゃないからね」
愛原「そ、そうだよな」
どんな些細なことでもいいから、気になったことがあったら連絡して欲しいという善場主任の言葉もあった。
私は一応、リサが出したヒントを善場主任にメールで送った。
善場主任はまだ仕事をしていたのか不明だが、すぐに、『かしこまりました。調査の対象とさせて頂きます。情報ありがとうございます』という返信があった。
リサ「……あーっ!」
更にリサは何かを思い出したようだ。
愛原「こ、今度は何だ!?」
リサ「わたしが奥日光の屋敷に捕まってた時、わたしを検査したり、採血したお医者さんがいたの」
愛原「検査にかこつけて、お前から材料の血を取ろうとしたわけだろ?」
リサ「そう。白衣に名札が付いてたんだけど、それ……『日野』って書いてあったような気がする」
愛原「なにぃっ!?」
それも改めてメールした。
すると、これも善場主任は、『確認します』とのことだった。
愛原「ガセじゃないよな?」
リサ「嘘じゃないよ。ただ、確信ではないけど」
高橋「後でウソでしたってバレたら、研究所行きだぞ?」
リサ「だから、ウソじゃないって!」
愛原「ハハハ。善場主任は、どんな些細な情報でもいいって言ってるんだ。間違いだったとしても、別に怒られたりはしないよ」
リサ「それは良かった」
夕食が終わると、リサは再びテスト勉強の為に自室に戻り、私はリビングに移ると、ノートPCで先ほどの動画を確認した。
善場主任から、SDカードをコピーして保存しても良いと言われたからだ。
改めて私の方でも動画を観直して、何か新たな気づきでもあれば儲け物だからである。
高橋「先生、食後のコーヒーです」
愛原「ありがとう」
高橋「それにしても先生の伯父さん、都合良く隠しカメラを仕掛けたものですね」
愛原「まあ、栗原重蔵氏から闇取引を持ち掛けたわけだろ?そうなると、アポを取ってから会ったということになる。一両日中にというわけにはいかないだろうから、事前に重蔵氏は伯父さんにアポを取ったはずだ。そして、アポを取られた伯父さんは、会う前に隠しカメラを仕掛けたんじゃないかな?」
高橋「なるほど、そうっスか……」
愛原「闇取引を持ち掛けられたと、後で告発するとか、自分が疑われたら、それで司法取引紛いのことでもしようと思ったのかもな」
高橋「それは凄い」
画像を見る限り、特に他に変わった所は無い。
やはり、伯父さんがいざとなったら不利にならぬよう、予め隠し撮りしていたものなのだろう。
高橋「明日はどうしますか?俺達はまあ、リサのブルマに名前の刺繍してやりますけど……」
愛原「俺も待機してるよ。もしかしたら善場主任から、緊急の仕事が入るかもしれないからな」
高橋「はい」
愛原「あ、名前と言っても、苗字だけな?『愛原』と入れればいい」
高橋「あ、はい。『愛原』っスね。字体は?」
愛原「まあ、大体が明朝体だな」
高橋「明朝体っスね……」
高橋はメモをしていた。
私は私で何もすることがないから、リサの勉強でも看てやるかな……。
夕食を4人で囲む。
金曜日はカレー。
リサが大好きなビーフがゴロゴロ入ったビーフカレーだった。
尚、辛さは私に合わせて中辛となっている。
辛口が好きなリサと高橋は、これにプラスしてタバスコを掛けたりする。
案の定、リサはカレーをお代わりしていた。
その為、炊飯器は家庭用としてはやや大型の物を導入している。
リサ「誰か来てたの?」
愛原「ああ、善場主任がな」
リサ「善場さんが?わたし、何もしてないよ?」
愛原「いや、違う。何故だか知らないが、公一伯父さんからレターパックが来たから、善場主任に通報したんだ」
リサ「先生の伯父さんも、ブルマ送って来たの?」
愛原「まさか。SDカードだよ。動画が入ってるヤツ。公一伯父さんと、蓮華のお祖父さんが闇取引している所を盗撮したものだよ」
リサ「盗撮ぅ?」
高橋「あれはあの爺さんがやったんですかね?」
愛原「だろうな。だって、公一伯父さんが送って寄こしたんだから」
高橋「何の為に送って来たんですかね?」
愛原「多分、闇取引を持ちかけてきたのは、栗原重蔵氏だ。持ちかけて来たのは向こうであって、こちらから売り込んだわけじゃないという言い訳でもしたかったんじゃないの?或いはその闇取引を持ち掛けて来た人物を告発することで、自分の罪を軽くしようとしたとか……」
高橋「司法取引っスか」
愛原「それに近い。でも、日本では司法取引の制度なんて無いのにな」
高橋「情状酌量の余地を狙うってことっスか?」
愛原「でもなぁ。逃げ続けていたら、情状酌量もヘッタクレも無いぞ」
高橋「確かにそうですね。……日野博士って誰っスかね?」
愛原「また新しい人物が登場したか」
リサ「日野博士……」
リサは首を傾げた。
愛原「どうした?」
リサ「日野って苗字、珍しいかなぁ?」
愛原「珍しくはないが、しかし俺の知り合いにはいないな。東京都日野市とか、日野自動車とか、そういう所では有名だが。それがどうかしたのか?」
リサ「日本版リサ・トレヴァーの中で、唯一の男子の『10番』って、日野って名乗ってたんだよね」
愛原「! そうなのか!」
ただの偶然かもしれないが……。
愛原「他に学校で、日野って苗字の人はいないか?」
リサ「うーん……知ってる人にはいないね」
愛原「でも、よくよく考えてみたら変な話だな。日本版リサ・トレヴァーって、対象者は皆女の子なのに、どうして『10番』だけ男子なんだ?」
リサ「さあ……」
リサは首を傾げた。
もちろん、男子でも実験できないか試してみたと言えばそれまでだ。
しかし、実験のコンセプトが……。
愛原「『10番』って、霧生市の研究所にいたか?」
リサ「知らない。少なくとも、皆セーラー服を着てたから、いなかったと思うよ。もちろん、日本版リサ・トレヴァーって、全員が霧生市の研究所にいたわけじゃないからね」
愛原「そ、そうだよな」
どんな些細なことでもいいから、気になったことがあったら連絡して欲しいという善場主任の言葉もあった。
私は一応、リサが出したヒントを善場主任にメールで送った。
善場主任はまだ仕事をしていたのか不明だが、すぐに、『かしこまりました。調査の対象とさせて頂きます。情報ありがとうございます』という返信があった。
リサ「……あーっ!」
更にリサは何かを思い出したようだ。
愛原「こ、今度は何だ!?」
リサ「わたしが奥日光の屋敷に捕まってた時、わたしを検査したり、採血したお医者さんがいたの」
愛原「検査にかこつけて、お前から材料の血を取ろうとしたわけだろ?」
リサ「そう。白衣に名札が付いてたんだけど、それ……『日野』って書いてあったような気がする」
愛原「なにぃっ!?」
それも改めてメールした。
すると、これも善場主任は、『確認します』とのことだった。
愛原「ガセじゃないよな?」
リサ「嘘じゃないよ。ただ、確信ではないけど」
高橋「後でウソでしたってバレたら、研究所行きだぞ?」
リサ「だから、ウソじゃないって!」
愛原「ハハハ。善場主任は、どんな些細な情報でもいいって言ってるんだ。間違いだったとしても、別に怒られたりはしないよ」
リサ「それは良かった」
夕食が終わると、リサは再びテスト勉強の為に自室に戻り、私はリビングに移ると、ノートPCで先ほどの動画を確認した。
善場主任から、SDカードをコピーして保存しても良いと言われたからだ。
改めて私の方でも動画を観直して、何か新たな気づきでもあれば儲け物だからである。
高橋「先生、食後のコーヒーです」
愛原「ありがとう」
高橋「それにしても先生の伯父さん、都合良く隠しカメラを仕掛けたものですね」
愛原「まあ、栗原重蔵氏から闇取引を持ち掛けたわけだろ?そうなると、アポを取ってから会ったということになる。一両日中にというわけにはいかないだろうから、事前に重蔵氏は伯父さんにアポを取ったはずだ。そして、アポを取られた伯父さんは、会う前に隠しカメラを仕掛けたんじゃないかな?」
高橋「なるほど、そうっスか……」
愛原「闇取引を持ち掛けられたと、後で告発するとか、自分が疑われたら、それで司法取引紛いのことでもしようと思ったのかもな」
高橋「それは凄い」
画像を見る限り、特に他に変わった所は無い。
やはり、伯父さんがいざとなったら不利にならぬよう、予め隠し撮りしていたものなのだろう。
高橋「明日はどうしますか?俺達はまあ、リサのブルマに名前の刺繍してやりますけど……」
愛原「俺も待機してるよ。もしかしたら善場主任から、緊急の仕事が入るかもしれないからな」
高橋「はい」
愛原「あ、名前と言っても、苗字だけな?『愛原』と入れればいい」
高橋「あ、はい。『愛原』っスね。字体は?」
愛原「まあ、大体が明朝体だな」
高橋「明朝体っスね……」
高橋はメモをしていた。
私は私で何もすることがないから、リサの勉強でも看てやるかな……。
NPO法人デイライトや、かつては大製薬会社社長の斉藤秀樹を手堅い固定客にしていた愛原は医者や弁護士より勝ち組だったんだなw