[7月12日17:56.湘南モノレール大船駅→JR大船駅 アリス研究所の面々、十条伝助、キール・ブルー]
2面1線のホームに、3両編成のモノレールが入線してくる。
〔「ご乗車ありがとうございました。大船、大船、終点です。お忘れ物、落し物の無いよう、ご注意ください。JR線はお乗り換えです」〕
降車ホーム側に降り立った乗客達は敷島達のような旅行客も去ることながら、どちらかというと地元客の方が多いように見えた。
「敷島君のことじゃから、乗り換え先の電車も考えてあるのじゃろうな?」
と、十条。
「お察しください」
敷島は笑みを浮かべて答えた。
「宿は江ノ島じゃなかったのね」
と、MEIKO。
「悪いな。さすがにシーズン中ということもあって、直前では取れなかった。都内がやっとだったよ」
「あーあ。浜でバーベキューとかやりたかったのになぁ……」
ボヤくMEIKOに、
「あんた達はその焼いた物が食べれないでしょう?」
と、さすがのアリスも突っ込んだ。
「アタシのラボの前なら、バーベキューでも花火でも何でもOKよ」
「ははは……。海は無いけどな」
「それより参事、十条博士はお疲れです。早くJR線のホームへ」
キールが敷島を促した。
「ああ、そうだな。本当に浜じゃ色々あったし」
「迷子捜しとか土左衛門回収とかね」
MEIKOはイタズラっぽく笑った。
「だから迷子じゃないって!」
「土左衛門じゃないって!」
2人の少年・青年ボーカロイドは赤い女性ボーロカイドに文句を言った。
「ドンマイドンマイ。プロデューサー、東海道線あっち?」
「乗り換えるのは東海道線じゃないぞ」
「えっ?」
「まあ、どうしても東海道線に乗り換えたいというのなら止めないけど、そこら辺は自分で考えて行動してください」
「リン、自分で考えろって」
MEIKOはすぐ横にいた少女ボーカロイドに振った。
「うーん……」
リンは腕組みして考える。
そして徐に荷物の中から、持ってきたビーチボールを膨らませると、
「誰かボール遊びしませんかー!?」
「はーい!」(レン&ミク)
「何も考えてなかったろー?お前らー?」
[同日18:23.JR横須賀線1816S電車5号車 上記メンバー]
〔この電車は横須賀線、各駅停車、東京行きです。……〕
「大船駅始発の、それも東京駅止まりを狙うとは、敷島君もやるのぉ……」
十条が感心したように言った。
「日本の鉄道だけですよ。アムトラックやグレイハウンドについては、理事やアリスの足元にも及びません」
「んふふふ……。そうかね?」
電車は定刻通りに発車した。外国から見れば、これって凄いことらしい。
〔この電車は横須賀線、各駅停車、東京行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。グリーン券を車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、戸塚です〕
「宿泊先のホテルで、一席設けてありますので、夕食はそちらで……」
敷島は十条に耳打ち。
「おう。これはすまんの」
都内のマンション暮らしの十条は宿泊しないで、敷島の設けた一席の後で帰宅する予定である。
「ところで、KAITOはどうして電源を切ったりしたんだ?」
敷島は座席に深く腰掛けて“省電力モード”に入っていたKAITOに話し掛けた。
「脱出不可能じゃなかったんだから、潮が満ちてくる前に脱出すれば良かっただろ?」
最初、電源が切れたのはバッテリー切れのせいだと思っていた。
だが、バッテリーパックを調べてみると、バッテリーの残量は半分以上も残っていた。
「それが、異物がボクの体に当たった反応がありまして……。それでどういうわけだか、電源が落ちてしまったんです」
「自動復旧もしないで?」
「はい」
「アリス」
敷島はアリスに振った。
「KAITOの電源が切れた辺りの履歴を調べて見ると、『過電流』で切れたことになってるね」
「ええっ?落雷でもあったか?あんなにカンカン照りだったのに……」
「強いて言うなら、今夜遅くに東京駅周辺はゲリラ豪雨に見舞われることになっておる」
と、十条。
「雷怖い~!」
怖がるリン。
人間にとっても落雷は命に関わるものだが、それは精密機械の塊たる彼ら(彼女ら)も同じこと。
敵への攻撃として高圧電流を放つこともできるエミリーでさえ、それを受ける方には滅法弱い。
兵器としても使えるマルチタイプの弱点だ。
以前は海水への耐性が無かったため、それも弱点とされていたが、改良を受けてそれは克服されている。
「しかもレンの行動もおかしいわ」
「レンが何をしたの?」
「あんた、そもそも何でジュース買いに行ったりしたの?」
「え?」
「飲めないのは分かってるよね?」
「も、もちろんです。あ、あれ……?そういえば何でだろ……???」
レンは首を傾げた。
ルカは、
「私には『プロデューサー達に買う』って言ってたけど……」
と、答えた。
「沖で遊んでて、何の脈絡も無く?」
「ええ」
「そもそも何で、あのスタッフ達はレンを迷子だと判断したんだ?」
「レンもその時間帯、『過電流』になってるのよ」
「クラゲにでも刺されたかい?中には電気を放つヤツもいるだろう?」
「いやいや、敷島君。キミは恐らくカツオノエボシのことを言ってるのじゃと思うが、あれは放電してるわけではないのじゃぞ?」
「あ、そうなんですか」
「刺されると、まるで感電したかのように感じるので、通称『電気クラゲ』と呼ばれるようになっただけのことじゃ。ボーカロイドくらいになると、あんなクラゲに刺されても、どうってことにないわい」
「そもそも、クラゲがボーカロイドに刺してくるとも思えないわねぇ……。電気ウナギは?あれは本当に放電するでしょう?」
「湘南の海に電気ウナギがいたら、向こうの学会で発表できるよ。確かにまあ、相当な発電量らしいですね?理事」
「うむ。さすがにJRの電流には到底及ばんが、その半分くらいは放電すると聞いたことがある」
「JRの直流電化区間は1500ボルトだから……」
敷島は天井を見上げた。更にその上には、この電車の燃料たる直流電流を流している架線がある。
「……その半分っていうと、750ボルトぉ!?」
「そんなものかの」
「大阪市の御堂筋線が走らせられますなぁ……」
「そんなことより、戻ったらどうしてKAITOの電源が勝手に切れたかとレンがどうして不可解な行動を取ったか解明するよ」
と、アリス。
「分かったよ。ちゃんとした実験結果が出て良かったじゃないか。あとは原因を解明するだけだな」
「はははは。簡単に言うが、意外と難しいかもしれんぞ」
十条は笑って言った。
2面1線のホームに、3両編成のモノレールが入線してくる。
〔「ご乗車ありがとうございました。大船、大船、終点です。お忘れ物、落し物の無いよう、ご注意ください。JR線はお乗り換えです」〕
降車ホーム側に降り立った乗客達は敷島達のような旅行客も去ることながら、どちらかというと地元客の方が多いように見えた。
「敷島君のことじゃから、乗り換え先の電車も考えてあるのじゃろうな?」
と、十条。
「お察しください」
敷島は笑みを浮かべて答えた。
「宿は江ノ島じゃなかったのね」
と、MEIKO。
「悪いな。さすがにシーズン中ということもあって、直前では取れなかった。都内がやっとだったよ」
「あーあ。浜でバーベキューとかやりたかったのになぁ……」
ボヤくMEIKOに、
「あんた達はその焼いた物が食べれないでしょう?」
と、さすがのアリスも突っ込んだ。
「アタシのラボの前なら、バーベキューでも花火でも何でもOKよ」
「ははは……。海は無いけどな」
「それより参事、十条博士はお疲れです。早くJR線のホームへ」
キールが敷島を促した。
「ああ、そうだな。本当に浜じゃ色々あったし」
「迷子捜しとか土左衛門回収とかね」
MEIKOはイタズラっぽく笑った。
「だから迷子じゃないって!」
「土左衛門じゃないって!」
2人の少年・青年ボーカロイドは赤い女性ボーロカイドに文句を言った。
「ドンマイドンマイ。プロデューサー、東海道線あっち?」
「乗り換えるのは東海道線じゃないぞ」
「えっ?」
「まあ、どうしても東海道線に乗り換えたいというのなら止めないけど、そこら辺は自分で考えて行動してください」
「リン、自分で考えろって」
MEIKOはすぐ横にいた少女ボーカロイドに振った。
「うーん……」
リンは腕組みして考える。
そして徐に荷物の中から、持ってきたビーチボールを膨らませると、
「誰かボール遊びしませんかー!?」
「はーい!」(レン&ミク)
「何も考えてなかったろー?お前らー?」
[同日18:23.JR横須賀線1816S電車5号車 上記メンバー]
〔この電車は横須賀線、各駅停車、東京行きです。……〕
「大船駅始発の、それも東京駅止まりを狙うとは、敷島君もやるのぉ……」
十条が感心したように言った。
「日本の鉄道だけですよ。アムトラックやグレイハウンドについては、理事やアリスの足元にも及びません」
「んふふふ……。そうかね?」
電車は定刻通りに発車した。外国から見れば、これって凄いことらしい。
〔この電車は横須賀線、各駅停車、東京行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。グリーン券を車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、戸塚です〕
「宿泊先のホテルで、一席設けてありますので、夕食はそちらで……」
敷島は十条に耳打ち。
「おう。これはすまんの」
都内のマンション暮らしの十条は宿泊しないで、敷島の設けた一席の後で帰宅する予定である。
「ところで、KAITOはどうして電源を切ったりしたんだ?」
敷島は座席に深く腰掛けて“省電力モード”に入っていたKAITOに話し掛けた。
「脱出不可能じゃなかったんだから、潮が満ちてくる前に脱出すれば良かっただろ?」
最初、電源が切れたのはバッテリー切れのせいだと思っていた。
だが、バッテリーパックを調べてみると、バッテリーの残量は半分以上も残っていた。
「それが、異物がボクの体に当たった反応がありまして……。それでどういうわけだか、電源が落ちてしまったんです」
「自動復旧もしないで?」
「はい」
「アリス」
敷島はアリスに振った。
「KAITOの電源が切れた辺りの履歴を調べて見ると、『過電流』で切れたことになってるね」
「ええっ?落雷でもあったか?あんなにカンカン照りだったのに……」
「強いて言うなら、今夜遅くに東京駅周辺はゲリラ豪雨に見舞われることになっておる」
と、十条。
「雷怖い~!」
怖がるリン。
人間にとっても落雷は命に関わるものだが、それは精密機械の塊たる彼ら(彼女ら)も同じこと。
敵への攻撃として高圧電流を放つこともできるエミリーでさえ、それを受ける方には滅法弱い。
兵器としても使えるマルチタイプの弱点だ。
以前は海水への耐性が無かったため、それも弱点とされていたが、改良を受けてそれは克服されている。
「しかもレンの行動もおかしいわ」
「レンが何をしたの?」
「あんた、そもそも何でジュース買いに行ったりしたの?」
「え?」
「飲めないのは分かってるよね?」
「も、もちろんです。あ、あれ……?そういえば何でだろ……???」
レンは首を傾げた。
ルカは、
「私には『プロデューサー達に買う』って言ってたけど……」
と、答えた。
「沖で遊んでて、何の脈絡も無く?」
「ええ」
「そもそも何で、あのスタッフ達はレンを迷子だと判断したんだ?」
「レンもその時間帯、『過電流』になってるのよ」
「クラゲにでも刺されたかい?中には電気を放つヤツもいるだろう?」
「いやいや、敷島君。キミは恐らくカツオノエボシのことを言ってるのじゃと思うが、あれは放電してるわけではないのじゃぞ?」
「あ、そうなんですか」
「刺されると、まるで感電したかのように感じるので、通称『電気クラゲ』と呼ばれるようになっただけのことじゃ。ボーカロイドくらいになると、あんなクラゲに刺されても、どうってことにないわい」
「そもそも、クラゲがボーカロイドに刺してくるとも思えないわねぇ……。電気ウナギは?あれは本当に放電するでしょう?」
「湘南の海に電気ウナギがいたら、向こうの学会で発表できるよ。確かにまあ、相当な発電量らしいですね?理事」
「うむ。さすがにJRの電流には到底及ばんが、その半分くらいは放電すると聞いたことがある」
「JRの直流電化区間は1500ボルトだから……」
敷島は天井を見上げた。更にその上には、この電車の燃料たる直流電流を流している架線がある。
「……その半分っていうと、750ボルトぉ!?」
「そんなものかの」
「大阪市の御堂筋線が走らせられますなぁ……」
「そんなことより、戻ったらどうしてKAITOの電源が勝手に切れたかとレンがどうして不可解な行動を取ったか解明するよ」
と、アリス。
「分かったよ。ちゃんとした実験結果が出て良かったじゃないか。あとは原因を解明するだけだな」
「はははは。簡単に言うが、意外と難しいかもしれんぞ」
十条は笑って言った。
東日本も10年後どうなることやら・・・・・
で同じ本州会社の西日本は数十年後も走っていることでしょうwwwww
地元の人にとってはアレかもしれませんが、少なくとも、
「JR西日本ではまだあれが走っている」
ということで、鉄ヲタが訪問してくれることでしょう。
ほら、これでもう経済効果発生ですw