報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「帰宅のトラブル」

2023-10-01 20:55:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月17日16時30分 天候:晴 東京都台東区上野 スタバ→JR上野駅・国電ホーム]

 小一時間ほど話し込んでいた『魔王軍』メンバー達であったが、レイチェルが外を見た。

 レイチェル「外が暗くなってきました。そろそろ帰宅の時間です」
 淀橋「えっ、もう?」
 小島「ホント、冬場は暗くなるのが早いね」
 リサ「時間的には、まだまだでしょ?」
 淀橋「時間的には、ね」
 小島「ぶっちゃけ、夕方のラッシュが始まる前には帰りたい」
 淀橋「その通り」
 リサ「そういうものか……。まだ、若干明るいよ?」
 レイチェル「オーマガトキ、ですね。日本では、一番モンスターが出ると言われる時間の……」
 リサ「オーマガトキ???」
 小島「逢魔が時、ね。よく知ってるね、レイチェル?」
 レイチェル「日本語を勉強した時に、そういう情報が来ました。確か、こういう時間を言うのでしたね?」
 小島「そうだね。具体的には、夕方と夜の境目。まあ、薄暮の時ってところかな」
 淀橋「逢魔が時どころか、ここには24時間エンカウントする魔王様がいらっしゃるけどね」
 リサ「むふー!……って、いや、さすがに夜は寝るよ?」
 小島「そりゃそうだ」
 レイチェル「どうして日本では、夕方と夜の境目の時にモンスターが出やすいのですか?」
 小島「科学的にも所説あって、薄暮の時間って、まだ人間の目が夜の暗さに慣れてない時間なんだよ。だから、交通事故もその時間に多く発生しやすいってね。つまり、錯覚を起こしやすい時間ってわけ。そんな時に錯覚を起こして、何でもない何かを妖怪とか幽霊とかと見間違えたんじゃないかなーって言われてるよ」
 リサ「さすがはコジマ。博識」
 小島「ネットの情報ですよ。知識とは別」
 淀橋「それを雑学にして覚えられるんだから羨ましいわ。あーあ……来週のテスト……」
 リサ「私の『寄生虫』のおかげで、赤点取らずに済んだでしょ?」
 淀橋「もう1度、『寄生虫』もらえます?」
 リサ「無理。電撃使いになったら、皆死んじゃった」
 淀橋「そんなぁーっ!」
 小島「たまには魔王様の力じゃなく、自分で勉強しなさいよ」
 淀橋「それで赤点回避できたら、苦労はしねーっつの」
 小島「いや、勉強は苦労するもんでしょ」
 淀橋「万年上位のコジマに言われてもねぇ……」
 レイチェル「とにかく、話の続きは明日にしましょう」

 というわけでレイチェルにより、『魔王軍幹部会合』は終了した。
 食器やトレーを返却口に戻し、店を後にする。

 リサ「夏場だと、ガンガン明るいのに……」
 小島「その代わり、ガンガン暑いけどね」

 ここで地下鉄組とJR組に分かれるはずである。
 『魔王軍』のメンバーの中には京成線で通学している者もいるが、『四天王』にはいなかった。

 淀橋「あれ、レイチェル?日比谷線じゃなかったっけ?」
 レイチェル「秋葉原までは、リサと一緒に帰ろうと思います。秋葉原からでも、日比谷線には乗れるので」
 淀橋「ふーん……。まあいいや。私は定期券的に日比谷線だから、そっちから帰るわ」

 淀橋は北千住である。
 それならJR常磐線でも良いのだが、北千住止まりの電車に乗れば、常磐線より空いているのと、上りは逆に北千住始発の電車で座って通学できるからである。
 別に楽して通学したいのではなく、痴漢対策の為だそうだ。
 やはり立つより、座っている方が痴漢の被害には遭いにくい為。

 小島「じゃあね」
 リサ「おつかれー」
 レイチェル「さよならです」

 尚、小島は京浜東北線で王子だそうだ。

 リサ「どっちも電車1本で通学できて羨ましい」
 レイチェル「リサは、どうしても乗り換えですね」
 リサ「そう。東京中央学園大学も池袋だから、進学後も乗り換えだ」
 レイチェル「それは大変ですね。ドミトリーには入らないのですか?」
 リサ「ドミトリー?……ああ、寮のこと?寮に入れば、徒歩通学できるのにね。でも、BSAAが許さないだろうな。レイチェルの力で何とかしてよ」
 レイチェル「Sorry.私は養成学校生なので、それは無理です」
 リサ「やっぱりか……」

 小島の帰る王子と、リサ達が向かう秋葉原駅は反対方向なので、電車のホームが違う。
 そこで、改札を入ったコンコースで別れることになる。

〔まもなく3番線に、東京、品川方面行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。次は、御徒町に、停車します〕

 ホームで電車を待っていると、リサは不審そうな顔でレイチェルを見た。

 リサ「もしかしてさ、わたしのこと、監視してる?」
 レイチェル「BSAAの隊員として当然です」
 リサ「わたしは許可を得て、1人で通学してるんだよ?」
 レイチェル「しかし、遠隔では監視されてます。BOWの監視も、立派なBSAA隊員の任務です。その訓練です」
 リサ「勝手に訓練するなよ……」

 電車がやってくる。

〔うえの~、上野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、御徒町に、停車します〕

 リサ達が乗車するのは先頭車である。
 これはもちろん、リサに課せられた制限だ。
 リサが列車に乗る場合は、先頭車また最後尾に乗らなければならない。
 これはもしリサが列車内で暴走した場合、中間車だと外から攻撃しにくいからであるのが理由とのこと。
 もしやむを得ず中間車に乗る場合は、事前にBSAAに申告しなければならない。
 だが、今回はリサが暴走したわけではなかった。

 男A「だーっ!!ふざけんなーッ!!」

 電車のドアが開くと同時に、1人の中年男がキレながら飛び降りて来た。

 リサ「ん!?」
 レイチェル「Huh?」
 男A「フザけたこと抜かすと、この女殺すぞーっ!!」
 リサ「いでっ!?」

 男Aは突然、ナイフを取り出すと、リサの首にそれを突き刺した。
 近くにいた女性客が悲鳴を上げる。
 リサの首からは血が噴き出した。

 リサ「何すんだ、このクソ野郎!!」

 ところが、そこはBOW。
 ナイフで首を刺されたくらいでは死なない。
 刺された所から噴き出た血は、水道の蛇口を締めるかのように見る見るうちに止まっていき、刺し傷もどんどん塞がって行って、最後には傷跡1つ残さず塞がってしまった。

 リサ「制服が汚れたじゃんか!!」

 バリバリバリバリバリバリバリ

 男A「ぎゃああああっ!!」

 リサは男Aの腕を掴むと、放電した。
 その衝撃で、男Aがもう片方の手に持っていた箱を放り投げた。
 そこに入っていたのは、大型の蜘蛛が数匹。
 そのうちの1匹がリサの体を這ってくる。

 リサ「うん、美味しいじゃん」

 リサはその一匹を掴み上げると、口の中に入れてバリボリ食べた。

 男A「ああーっ!ボクの花子ちゃんを食べたぁぁぁぁっ!!」
 男B「いや、こいつがデカい蜘蛛を紙の箱なんかに入れて持ってたから注意したんですよ。『そんなのに入れるな』って。そしたら、逆ギレしやがって……」
 レイチェル「!!! 離れてください!Tウィルスの反応がします!!」

 レイチェルは持っていた何かの測定器で、蜘蛛数匹を測定していた。
 何でも、見た目はハエトリグモなのに、やたらデカいと思ったからである。
 リサが食べた個体だけで、アシダカグモくらいの大きさがあった。
 そしてレイチェルが測定した結果、Tウィルスに感染した蜘蛛だったのである。

 リサ「うん、この蜘蛛も美味しい」
 男A「ボクのサオリちゃんがァァァァッ!!」
 鉄道警察A「いいから、ちょっと話を聞かせてもらうからこっちに来て!!」
 鉄道警察B「すると、日暮里駅でさっきの男が乗って来て、それであなたが注意したんですね?」
 男B「そうです。だいたい、5~6匹はいたんですが……」
 レイチェル「ちょっとリサ!最後の1匹はBSAAがサンプルでもらうから!」
 リサ「えー……」
 男B「……ほとんどあの女子高生が食べたみたいで……」

 尚、このもようを目撃したTwitter(X)のユーザーは、『どこからツッコんでいいのか分かんねー』とポストし、フォロワーからは、『取りあえず、山手線は運転見合わせってことでOK?』と、リポストされたという。

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